暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

京町家情報センター

2011年11月29日 | 京都へ家うつりします
「京都に住んでみたい・・・」
という夢を叶えるべく、やっと動き始めました。
引っ越しは諸事情で3月半ば以降と決まっていますので
それまでに住む家を決めなくてはなりません。

「京都ではどんな暮らしをしたいの?」
「どのあたり(何区)に住みたい?」
「マンションそれとも一戸建て?」
「住まいの条件(家賃、広さ、間取り、築年数、交通・買物の便、周辺環境)は?」

自問自答してみると、学習不足もあって曖昧な回答でした。

「暮らしながら、京都の年中行事や和文化を体感してみたい・・・」
北白川あたりが理想だけれど、友人のいる龍安寺近くもよさそう~」
「こじんまりした町家が第一希望」
「和室(京間)があって、喧嘩しても好いように2部屋は欲しいし・・・」

言葉に表せないことも多く、実際に見て歩いて
「ピッピッ!」ときた家に住みたい・・のです。

「きっちりと条件を決めないで、出会いを大切にしたい」
なんだか結婚相手を決めるみたいでワクワクしてきました。
でも、出会いのチャンスやアドバイスが必要なので、以前から気になっていた
「京町家情報センター」の門をたたきました。 11月19日のことです。

               

「京町家情報センター」は、京町家の保存・再生・活用をめざして
京町家を借りたい人、貸したい人、買いたい人、売りたい人へ不動産情報を
提供したり、町家の持ち主から再生・活用の相談を受けたりと、
さまざまな活動を行っている市民ネットワークです。

市民だけでなく趣旨に賛同した不動産業者もユーザー登録でき、
京町家物件の情報収集や仲介を受けることが出来ます。

例えば、登録した不動産業者が自社で取り扱っている京町家の物件を
情報センターに提出します。
提出された物件は、町家再生研究会により調査され、
その町家の歴史的、文化的な位置づけや改修の処方箋をつくり、
不動産業者へコメントして返します。

同時にセンター登録物件としてユーザーへ公開し、
登録不動産業者はコメント付の物件案内を見ることができます。
町家を捜しているユーザーはインターネットで閲覧でき、
気に入った物件があれば仲介の登録不動産業者へ問い合わせができます。

                

ユーザー登録のために「京町家情報センター」へ行くと、
事務局の城さんが待っていて、丁寧に対応してくださいました。
町家に対するお互いの考え方を話したり、聴いたりすることが重要なので、
面談しているそうです。
趣旨や仕組みを納得してから登録し、登録料は2000円でした。

その折、わかりにくい「京町家」の定義を城さんにお尋ねしました。
「京町家」とは二つの条件を備えたもので、
一つは、伝統的工法で建てられていること。
もう一つは、都市型住宅(昔の)であること。
都市型の定義ですが、京都市街地(町なか? 地図を頂きました)に
建てられていることだそうですが、今一つわかりにくい。

友人のいる右京区龍安寺近くは「市街地」から外れているので、
「町家」ではなく戸建貸家になるそうです。
そして、手持ちの物件情報から3軒分をコピーしてくださいました。

この後は、物件を扱う登録不動産業者との直接取引になるのですが、
私たちのように京都のことも町家のこともよくわからない者にとって、
「京町家情報センター」との出会いは心強い味方を得た思いがしました。

              
               (京町家情報センター近くにある
                 廣野了頓(ひろのりょうとん)邸跡)


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ライトアップ 長屋門公園紅葉の茶会

2011年11月27日 | 茶事
和服姿のきれいどころ(私たち茶会スタッフのことです・・)4名が
17時過ぎに長屋門公園へ到着すると、はや日はすっかり暮れていて、
たくさんの人たちが今日のイベントの準備をしていました。

母屋前の広場には手づくりの灯篭がたくさん並べられ(100基?)、
次々と蝋燭が灯されていきました。
東日本大震災への追悼や励ましの言葉が書かれています。
長屋門ならではの温もりのあるライトアップに感激です。

ライトアップされた楓や欅は、昼間よりも一層鮮やかになり、
闇と光の交錯する舞台で静かに舞い始めました。
床の軸は、「舞秋風」。
耳付きの萩の花入に白侘助を入れました。
香合は狸、信楽焼です。
久しぶりに火が入った炉も湯気をたてている釜も嬉しそう・・・。

               

               

第1席は18時から・・のつもりでしたが、
「公報に載せた18時30分からにしてください」とのことで、
のんびりしていると、
Akatsuki庵さんのブログと 暁庵の茶事クロスロードを見て来ました・・」
と4名さまが第1席(7名)へ入ってくださいました。
お出まし頂き、ありがとうございます!

とっても嬉しいことでしたが、ここで問題が発生。
「ブログを見て来ました。何か頂けるそうですが・・」
確かに京都のささやかなおみやげをいくつか用意していました。
ですが、長屋門公園の方からクレームがつきました。
「公共の機関なので、公報を見て来てくださった一般の方々と
 待遇に差があるのは困ります」
・・・言われてみればごもっともなことで、深く反省しました(シュン)。
それで、考え迷った結果、何も差し上げないことにいたしました。
ブログを見て来てくださった方々に多大な期待を抱かせたことを反省し、
お詫び申し上げます。 ごめんなさい!

               

第1席から第3席まで、お客さまと親しくお話ししながら
薄茶点前にて一服差し上げました。
お菓子は「紅葉」、薄茶は伊藤園の「宝尽の白」です。
第2席は男性お一人でしたが、堂々と愉しまれて喫み終えた頃に
ステキな着物姿の女性が席へ入りました。

「どうしても長屋門公園とこの茶会へ・・・」
ブログを見て東京から来てくださったのです。
お気持ちを嬉しく受け止め、Hさんのお点前で一服喫んで頂き、
水屋へ戻るとAkatsuki庵さんもYさんもいません。
「あらっ?}
水屋は水屋で、椅子席のお客さまへの点てだしに追われていたみたいです。

琵琶演奏の後の第3席は、男性4名(小学生1名)と女性2名のお席でした。
「クロスロードを見て・・・」と終了後に伺いました。
お茶をされている方でしたが、席中では年配の男性をたててらして、
謙虚な姿勢に感心したり、若い男性なのでついウキウキしたり・・・。

               

「お点前をしながらライトアップされた紅葉を堪能させて頂き、
 とても幸せな時間でした」とスタッフのHさん。
・・・本当に私も。

いろいろな思い出のある長屋門公園のページに紅葉の茶会が加わりました。

                         

               


追伸)カメラの電池が無くなり、写真はAkatsuki庵さんのご提供です。
    いつもいろいろ有難うございます。


古都 紅葉のライトアップ

2011年11月25日 | 閑話休題
明日(11月26日)は横浜市長屋門公園で紅葉のライトアップのもと、
紅葉の茶会が行われます。
紅葉を愛でながら、薄茶点前にて一服差し上げたく、
茶会スタッフ(有志です)一同お待ちしています。
琵琶演奏もございます。 詳しくは「紅葉の茶会のご案内」をご覧ください。

しばらくブログをお休みして関西方面へ出かけていました。
20日に有馬温泉で大学の同窓会があり、その前後に京都に滞在し、
紅葉を楽しみつつ来春から住む家探しという、大変欲張った旅でした。

18日に「京都御所」見学の後、これだけではもったいない気がして
夜の京都観光を・・・と思い立ちました。
清水寺、将軍塚公園、青蓮院、知恩院などがライトアップされ、
昼とは一味違う紅葉の景が楽しめそうです。
ポスターを見て国宝の三門のある知恩院に決まりました。

四条通りを八坂神社へ向い、円山公園の側を通り、知恩院へ着くと
大勢の人が17時30分からの開門を待って並んでいます。
2011年の知恩院ライトアップでは、法然上人800年大遠忌を記念して、
三門の内部を特別公開中(11月5日~27日 17時30分~21時30分)なので、
凄い人気です(拝観料は800円)。

               

最初に院内にある友禅苑へ行きました。
友禅染の祖・宮崎友禅斎の誕生300年を記念して
昭和29年に造られた新しい庭園だそうですが、とても趣のある庭でした。
池に映る紅葉のグラーデーションの中に聖観世音菩薩が浮かび上がり、
神秘的な佇まいです。聖観世音は高村光雲作です。

友禅苑の茶室で、銘「うすもみじ」の主菓子と、きめ細かく点てられた薄茶を
幻想的な露地の灯りと紅葉を鑑賞しながら頂戴しました。

                 

               

御影堂、阿弥陀堂を参拝し、いよいよ三門です。

三門は、元和7年(1621年)に徳川二代将軍秀忠によって建立されました。
高さ約24メートル、幅約50メートルの巨大な三門ですが、
楼上内部へ一歩入って目を見張りました。
中央にお釈迦さま、左右に十六羅漢像を従えて、
楼上曼荼羅のような仏教空間に圧倒され、思わず座り込みました。

この空間に出会うことができ、ここに長く座って居られることが
この世の極楽なのかもしれません・・・。
天井には中央に龍がいて、天女が舞っています。
さまざまな楽器が描かれ、今にも音曲が聴こえてくるようです。
天井画は狩野探幽を中心とした狩野派によって描かれました。

知恩院のライトアップ、明日27日までですが、お勧めです。
それから、京都の紅葉は12月初旬が好さそうですよ。

                
                           (知恩院 阿弥陀堂)

                                         

長屋門公園・紅葉の茶会のご案内

2011年11月18日 | 茶事
  紅葉舞秋風

紅葉が美しさを増す時候になりました。
横浜市長屋門公園もステキな秋の装いに変わりつつあります。

               
               
今年はじめて紅葉の庭がライトアップされます。
夜の紅葉を愛でながら、
薄茶と琵琶演奏を楽しむ紅葉の茶会が下記の通り催されます。

囲炉裏のぬくもりに包まれた築200年の古民家にて
美味しい薄茶を点て、心をこめておもてなしをいたします。
どうぞ、長屋門公園・紅葉の茶会へお出ましくださいませ。

茶会は茶券がいりますが、その他は参加無料です。
茶券の予約・お問い合わせは長屋門公園へお願いいたします。
    紅葉の茶会              
  日時  11月26日(土)
  場所  横浜市長屋門公園 和室
       (〒246-0023 横浜市瀬谷区阿久和東1-17)    
        TEL&FAX 045-364-7072

  茶席  第一席 18:00~18:30
       第二席 18:30~19:00
       第三席 19:30~20:00
  琵琶演奏    19:00~19:20
  茶券  500円(主菓子付)  各席10名くらい

  交通アクセス 相鉄線三ツ境駅より徒歩18分
      地図参照: http://members2.jcom.home.ne.jp/9327mzss/use.htm

  (バス情報) 「三ツ境」駅からはバスも利用できます。
         「三ツ境」駅から「上阿久和(かみあくわ)」バス停まで約6分。
         バス停から公園まで徒歩5分です。

         「三ツ境駅」 → 上阿久和(長屋門公園入口)
         乗り場は(2)番です(地図参照)
         ・戸17「戸塚駅東口」(阿久和経由)行き
         ・戸19「戸塚駅東口(湘南泉病院経由)」行き
         時刻表(土曜日)17:00、17:15、17:30、17:45
            (14時~20時まで15分間隔で運行、大人170円)

      
      (菊花展   長屋門公園)      (茶を点てる・・雛の月茶会にて

 追伸) Akatsuki庵さんのブログまたはこのブログを見て参加された方は
        茶会スタッフにどうぞお声掛けください。
        何かよいことがあるかもしれませんよ(?)      

                

  

胸キュンの旧国立公衆衛生院

2011年11月16日 | 美術館・博物館
畠山記念館を訪れた帰り、来た道を白金台駅へ戻りました。
やっとこの頃になって頭の中にある地図が動き始めました。
「日吉坂上」の表示とバス停、「八芳園」も目に入ってきましたが、
趣ある商店が軒を並べていた、以前の白金台の面影は見つかりません。

「もう無いと思うけれど・・・」
とバス停「日吉坂上」へ向かいました。
すると、とっくの昔に壊されたと思っていた旧国立公衆衛生院の建物が
私の記憶と変わらずに聳えていました。

                 
                 
西欧の城砦を思わせる、塔のある赤煉瓦の建物を見た途端、
胸がキュンとなりました。
建築家・内田祥三によって設計され、1938年(昭和13年)に竣工した、
二つの塔のある巨大な建造物です(詳しくは下記参照)。

旧国立公衆衛生院は、日本の公衆衛生の向上を目的とした調査研究機関で、
米国ロックフェラー財団より多額の寄付を受け、1938年に設立されました。
2002年(平成14年)に改組廃止され、現在は国立保健医療科学院となり、
埼玉県和光市へ移転しています。

仕事の関係で何度も通った旧国立公衆衛生院ですが、
今は人が出入りできないように閉鎖されていました。
遠くから写真を撮って帰宅しましたが、
封印が解けたようにいろいろな場面が懐かしく甦ってきました。

                 
                 

1か月の新人研修で、分析機器を動かしデータをとった実験室。
講習会場の講堂は階段式で、高い窓や天井が印象に残っているけれど、
夏は天井の扇風機のみ、暑さでふらふらになったことも・・。

内田ゴシックともいわれる建物の中の一番美しい場所は、
玄関正面のロビーと踊り場のある優雅な階段だと今でも思う。
階段を下りるとき、実験中のことも白衣のことも忘れ、
舞踏会へ行く素敵なドレスの貴婦人になった気分を楽しんだっけ・・。

                
                 

そして、極めつけは化粧室(つまりトイレ)。
「本当にトイレなの?」と思うほどの広い空間は大理石が敷き詰めれ、
優雅に二つの個室がありました。
入るたびに「公衆衛生院にきている」ことを体感させられる、
存在感のあるトイレでした。
男子トイレも同じ思想で作られていることでしょう・・・。
(もちろん、覗いたことはありません、念のため)

                 
                 

旧国立公衆衛生院を見て、実感してもらいたくて
カガミ建築計画の各務氏のブログを拝見して、写真提供をお願いしました。

私にとって、茶の湯ではなく仕事に熱中していた時代の思い出の場所ですが、
各務氏にとっても、子どもの頃忍び込んで、野球をしたり、
建物の中を探検したりと、やはり思い出の場所だったようで、
なんか嬉しくなりました。
写真提供をご快諾いただき、ありがとうございました。

                 
                 
この由緒ある、文化遺産ともいえる建造物が今後も残され、
大事に活用されることを切に願っています。

          (前へ)               


旧国立公衆衛生院の建物

所在地  東京都港区白金台4-6-1
設計者  内田祥三
施工   大倉土木
構造形式 鉄骨鉄筋コンクリート構造、鉄筋コンクリート構造
建築面積 2,923.09平方メートル(884.459坪)
延床面積 15,090.75平方メートル(4,564.748坪)
階数 地下2階、地上7階、塔屋2階
高さ 塔屋約36.20メートル、5階約23.10メートル
着工 1935年(昭和10年)3月
竣工 1938年(昭和13年)10月