暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

東京教室の稽古・・・文月の日ノ丸

2015年07月30日 | 稽古備忘録・・・東京教室の稽古
                                    むくげは「祇園守」
7月28日はS先生・東京教室のお稽古でした。

35℃の表示が並ぶ猛暑日が続いていたので、ついボヤキが・・・。
「こんな時に着物で東京まで出かけるなんて・・・」
それを聞いた息子から
「この暑さに着物なんて気違いじみているよ。無理せず明日は休んだら・・・」
その言葉でやっと「着物で涼しい顔で行きましょう!」という決心が着きました。

その日の科目は、真之炭、真之行台子、名水点、洗茶巾と続き、午後から唱和式、茶通箱付花月でした。

名水点はKさん、注連縄、御幣、名水を自分で用意されて稽古に臨みました。
「名水の定義とは・・・所望した名水の頂き方は茶通箱の二服目の濃茶と同じ・・・」
S先生のご指導にも熱が入ります。
お客さまに入られたYさんとIさんから
「頂いた名水が冷やされていて美味しかった!」と伺い、Kさんの心意気を感じました。
稽古といえども稽古する人の気持ち次第で、おもてなしの場になることにハッと気が付きました。
これからの稽古の指針を頂いた気がして、稽古の楽しみが増えました(Kさん、ありがとう!)。

                         
                                姫檜扇水仙

私の稽古科目は唱和式、次第は花寄せ、香(亭主が出香)、濃茶(亭主)、薄茶(花月)、和歌、唱和となります(詳しくはこちら)。
花寄せで自分が入れた花の和歌を詠み、後ほど色紙にしたため、順番に唱和します。
重硯箱が運び出され、和歌を色紙に筆で書く様子、和歌を朗々と唱和する場面が王朝の雅な絵巻物のようで、七事式で一番お気に入りかも。

                         
                                     紅と白の撫子

むくげ、水引草、小判草、矢筈薄を持参し、むくげの和歌を心づもりしていました。
ご亭主Oさんが中央の古銅花入に姫檜扇水仙を、正客Oさんが竹吊舟に純白のむくげを、
次客I氏が紅と白撫子を瓢花入へ、三客Iさんが鳴子百合と底紅の白いむくげを旅枕へ、
そして暁庵が残っていた籠花入に矢筈薄とピンクのむくげを入れました。

                       
                      むくげは「日の丸」               むくげは「桃園」

そして和歌・・・どの和歌も素敵でご紹介したいのですが、二首だけここに記します。

   日の丸   七十年廃墟の上に立ち上がり
            日の丸の花 更に伸び行く    Iさま

   むくげ   朝露に袖をぬらして手折るかな
            一日一生 むくげの花を      暁庵

Iさまからメールが届きました。
「前略・・・・歌を詠むのは苦手で、唱和はと~っても気が重かったのですが、
 今日は暁庵さんへ向けて詠みました」(・・・アリガトウ・・・感激

三つのむくげの名前を改めて調べてみました。
純白のむくげ(祇園守)、底紅の白いむくげ(日ノ丸)、ピンクのむくげ(桃園)でした。

むくげが花盛りの暑い夏が続きますが、
「ワァ~イ! 夏休みだぁ~」で、当分ブログもお休みかな??
お元気でお過ごしくださいませ。
                                  

追伸)
文月のお菓子は銘「月ヶ瀬」(錦玉?)、御製は浅草の千茶でした。



熱い夏  割り稽古に汗して

2015年07月25日 | 暁庵の裏千家茶道教室

暑中お見舞い申し上げます

35℃を超える猛暑日が続いていますが、如何お過ごしでしょうか?
暁庵は茶道教室へ入門されたKさんとM氏と割り稽古に汗しています。

割り稽古とは(茶道大辞典より)
点前作法の最も基本となる諸動作を部分的に稽古することをいう。
初心者が点前の稽古に入る前などに行う。帛紗さばきや茶巾・茶筅の扱いなど。

基本の基なので侮れませんし、初心者にとって割り稽古はなかなか大きな壁なのです。
しっかり集中して基本動作を正しく身に着けないと、いつまでも壁を乗り越えられませんし、へんな癖がついても困ります。
それで、7月だけ特別に稽古回数を3回に増やしてもらいました。

                      

第1回目・・・先輩たちの小習いを見学しながら、濃茶、薄茶、菓子のいただき方を学んでもらいました。
その後、二人になり、帛紗さばき、棗や茶杓の清め方、茶筅通し、茶巾の扱いなどの割り稽古です。

第2回目・・・この日は二人だけの稽古日なので、襖の開け閉め、ご挨拶の仕方、帛紗さばきなどの割り稽古のあとで、
初めて盆略点前で自分で薄茶を点て自服していただきました。
「ご自分で点てた薄茶はいかがですか?」
「美味しいです・・・(上手に点てられてほっとした様子に秘かに拍手!)」

                     

第3回目・・・一人ずつ別の日を設定して割り稽古と盆略点前をしてもらいました。
この日は襖を開け、歩き方、回り方など足運びを何度もやってもらいました。
「薄茶一服さしあげます」と挨拶し、盆を運び、建水を運び、盆略点前です。

盆略点前は手続き2回、鉄瓶から湯を入れ薄茶を点てる本番が2回、
一服目は私が客となりましたが、喉が渇いていたので超!美味しかったです。
二服目は亭主が客にもなって、自分で点てた薄茶を客席で呑んでもらいました。
こちらも美味しそう・・・。
薄茶は清浄の白(一保堂)、干菓子は柚子琥珀、抹茶落雁などでした。

                      
                           本番以外の割り稽古は専らこちらで・・・

先輩と一緒、二人一緒、一人の稽古といろいろな形の稽古を取り入れてみましたが、
KさんもM氏もとても熱心なので、割り稽古の大きな壁を無事に乗り越えてくれそうです。
八月の前半は夏休みですが、後半また頑張りましょうね。
九月には柄杓を扱う稽古へスムースに入れそうで、秋の到来が楽しみです。

                               昨日プールへ行ったら 

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朝茶事(稽古茶事)を終えて

2015年07月24日 | 暁庵の裏千家茶道教室
                               白いホタルブクロ (季節の花300)
7月20日、朝茶事(稽古茶事)をしました。

5月に茶道教室を開いた時から、稽古と並行して稽古茶事もできたら・・・と秘かに考えていました。
そのことを茶友Kさんに相談すると
我が家の茶室・汲古庵で、うちの社中と共同で稽古茶事をしたらどうかしら?
 料理方はSさんにお願いしてみましょうよ・・・」
と頼もしいお言葉が返ってきました。
・・・それで、風炉と炉の時期に1回ずつ、お役を交代して稽古茶事に取り組むことになり、第1回が朝茶事でした。

参加者の住まいが離れているため、席入は9時半です。
正客Fさんと詰Kさんと待ち合わせ汲古庵へ到着すると、庭に水がたっぷり打たれ、
キラキラと露を含んだ白いホタルブクロ、紅の水引、紫の桔梗などがお出迎えです。
関守石に案内されて玄関へ導かれ、冷房の効いた寄付で身支度をしました。

                      

さて、従来の茶事とは違い、暁庵は4人のお客様の客方指導を務めさせて頂きました。
亭主Hさんと半東T氏はK先生社中なので、K先生が亭主方指導です。
茶事の雰囲気を壊さないように予め朝茶事のレジュメをつくり、ご挨拶しました。

ご挨拶
お茶の稽古の大きな目的の一つに「茶事へお客様をお招きし、おもてなしすること」があります。
茶事をするには点前の習得をはじめ、道具組、客組、茶事の約束事、水屋など学ぶことだらけで、
茶事が敬遠されているのが現実かもしれません。
それではいつまでもお茶本来の愉しみ方や茶道の神髄を修得することができませんので、
先ずは楽しく茶事の経験を積み重ねて頂きたいと思いました。
志を同じくするK先生、料理方のSさまと協力して、このたび朝茶事をいたすことになりました。
私自身も初心に帰り、茶事を学び考える良い機会と楽しみにしております。
どうぞ宜しくお願い致します。             
                            暁庵 

指導要綱は省略し、朝茶事の流れだけ書いておきます。

寄付――待合――板木・白湯――腰掛――迎付――初座の席入(床:掛物、点前座)――主客挨拶――
初炭(風炉中拝見あり)――懐石――主菓子――中立(10~15分)――迎付(銅鑼?)――
後座の席入(床:花、点前座)――濃茶――つづき薄茶 ――主客挨拶(見送り)

                      

この日、亭主デビューを立派に果たされたHさん、おめでとうございます。
K先生社中の方ですが、長いお付き合いなので、落ち着いた所作や美しい点前を目のあたりにして我がことのように嬉しく、感無量でした(・・・涙)。
一生懸命のおもてなしはきっときっとお客様にも伝わったことでしょう。

4人のお客様が味わった懐石は、料理方Sさまが腕をふるってくださいました。
K先生、Sさま、ありがとうございました。
養之如春(これを養う春の如し)、ゆっくり楽しく、私たち自身も一生懸命養ってまいりましょうね。

               7月20日は  、土用の入り、海の日、日の出4時39分(東京)


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文月の稽古・・・行之行・台子点前

2015年07月17日 | 暁庵の裏千家茶道教室
7月15日は暁庵の茶道教室で初めて奥伝の稽古日でした。
科目は行之行・台子点前です。

奥伝の稽古は着物でいたしましょう・・・と申し合わせていましたが、梅雨の最中の猛暑日でした。
首にタオルを巻き、流れる汗をぬぐいながら準備をしていましたが、
FさんとAさんが無事に我が家へ辿り着けるかしら? と案じるほどの暑さです。
冷房をかけ、冷たいタオルと飲み物を用意して待っていると、ゆだったような二人が到着。
その様子に涙がでるほど有難く、私も一生懸命お教えしなくては・・・と思いを新たにしました。

その日、Fさんが選んだ利休百首は
「稽古とは一より習ひ十を知り 十よりかへるもとのその一」

来週、朝茶事(稽古茶事)があるので、暁庵が仮の亭主役で迎えつけをし、
正客Fさんと詰Aさんが蹲を使って席入りし、最初の挨拶を交わしました。
「本日はお暑い中をお出まし頂き、ありがとうございます。
 あまりの暑さで道中倒れてはいないかしら?と心配しておりましたが、ご無事の様子に安堵しております・・・・」
「本日はお招き頂き、暑さもなんのその、ただ嬉しく参上いたしました・・・」
というような挨拶をし、待合、露地、床の掛物について問答が続きます。

                    
                      祇園祭の鉾の短冊

15日は京都・祇園祭の宵々山、翌日は八坂神社のお家元の献茶式です。
懐かしく思い出しながら、待合に鉾の短冊(西陣織)を掛け、しばし祇園祭のお話を・・・。
床は「白雲抱幽石」、玉瀧寺・戸上明道師の筆です。
諸飾りで、有馬籠に紅い水引だけを入れてみました。

いよいよ稽古本番、Aさんの台子炭手前から始めました。
行台子の天板に羽箒と香合を飾り、炭斗、続いて灰器を持ち出します。
八畳を四畳半に設えたので、京都から持ってきた障子が大活躍です。
廻り茶道口ではなく直行なので、足運びに慣れるのに時間がかかるかしら?
茶道口の違いや足運びを経験するのも良い勉強になります。

                  
                     水引だけを有馬籠に入れてみました

Fさん、続いてAさんに行之行・台子点前をして頂きました。
お客様は二名、練られた濃茶を私も頂戴しました。
濃茶は青雲(一保堂詰)、香り良くきりっとした味がお好みです。
点前の特徴、所作、道具などいろいろありますが、奥伝なので・・・。

酷暑の中ですが、愉しく充実した稽古ができてほっとしました。
規模も内容も違いますが、夏季講習会の思い出が走馬灯のように脳裏を横切っていきました。
あの時のうだるような暑さと大量の汗、業躰先生の教えの数々、心に残る会話など・・・。

終了後、椅子席へ移り、干菓子と薄茶で喉を潤し、お開きにしました。

                  
                   薮萱草 (やぶかんぞう)が元気です

葉月の前半は夏休みです。
休養を十分取り鋭気を養って、また元気に稽古しましょう。  
                              15日は   

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ご近所さんと七夕茶会

2015年07月11日 | お茶サロン&ご近所さんと茶会

毎年、七夕の季節になると、七夕の茶会をしたくなります・・・
今年の七夕は横浜へ帰って初めてご近所さんへお声掛けしました。
7月7日、一番遠いKさんでも徒歩10分、6名のお客様がいらっしゃいました。

お茶をされていない方ばかりなので、長時間座らないメニューを考え、待合の椅子席をフル回転です。
「お客様6人が揃ったら、この板木を6回たたいて知らせてね」とIさんに頼んでおきました。
遠慮がちな板木の音がし、茶事のように白湯をお持ちしました。

「道中の喉の渇きをいやすため、ほんの一口ですが白湯で喉を潤してください」
「へぇ~」といった感じで皆さま白湯を飲んでいます。
それから、板木や打ち方を説明し、実際に力強く6回打ち、
「お茶ではいろいろな音の合図があるんですよ」
「へえ~」と興味津々に聞いてくださいました。

                    

それから和室へ入り、炭手前を見ていただきました。
あとで、
「途中で何かを箱から出してくべましたが、あれは何ですか?」
「白檀というお香で、温まると佳い香がしてきます。炭の匂いを消すためでもあります」
「白いのも炭ですか? (枝炭の説明をしました)」
「帰りに見たら(風炉を)、真っ赤に炭が熾っていてきれいでした」
「・・・(う~ん!しっかり見てくださって有難くもあり、恐ろしくもありです)」

炭手前が終わると、また、椅子席の待合へ。
短冊と重硯を回して、思い思い好きな言葉や願い事を書いてもらいました。
「墨をするのも筆を持つのも何十年ぶり・・・」
「初めて七夕の短冊に願い事を書きました・・・」
童心に返って幼い日を思い出したり、今は天にいる亡き人を思い出したり、いろいろだったようですが、愉しんで頂けたかしら?

                     

一段落してから、主菓子「織姫」(暁庵製)を待合でお出ししました。
いよいよ和室に座り、うす茶です。
皆さま、真剣に薄茶点前を見つめてくださっています。
「お一人ずつ薄茶を点てていきますので、その間に先ほど書いた短冊を笹に飾ってください。おしゃべりも大いになさってくださいね。
お茶は自分で取りに来て、両手でしっかり茶碗を持ってゆっくり立ってください。飲み方はこのように・・・・」

途中で干菓子をお出しし、6人様に茶碗を替えて二服ずつ点てました。
薄茶は「清浄の白」(小山園詰)、干菓子はハワイの茶友Sさまが送って下さった琥珀糖です。
Sさまの「天の川」の写真が素晴らしく、真似てみましたが・・・。

                        
                              ハワイのSさまから届いた琥珀糖

初対面どうしでもすっかり打ち解けて、お話がはずんで楽しそう。
・・・やっぱり「七夕茶会」をやって良かった! 


翌日、Kさんから葉書が届きました。

 本日はお茶会にお招き頂き、いっとき日常を離れて、心豊かな優雅なひと時を過ごすことが出来まして、有難うございます。
炭手前、美味しいお菓子とお抹茶、硯で墨をすり筆で短冊に願い事!
ちょっと緊張しましたが心地よい刺激になりました。
また、無性に亡き母のことを想い出しました(私も・・・涙 )。
お心づくしのおもてなしに心より感謝申し上げます。

                       

こちらこそ、いつもありがとう! また来てくださいね・・・。