暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

暁庵の茶道教室の初釜 in 2018・・・(2)

2018年01月25日 | 暁庵の裏千家茶道教室


     ( 大雪の日に   2018年1月22日(月)15時頃撮影) 
 
(つづき)
後座の床は、中釘に一重口の竹花入を掛け、ウグイス神楽、紅白の椿を生けました。
後座の亭主Fさんの打つ銅鑼が席入りの時を告げています。
  大・・・小・・・大・・・小・・中・中・・・大

銅鑼を聴く度に音色、大小の大きさ、間合いが好くなっているのがわかり、精進ぶりが嬉しいです。
全員が濃茶を頂くので、先ずFさんに黒楽茶碗に3人分点てて頂きました。
「お服加減は如何でしょうか?」「大変美味しく頂戴しています」

ここで亭主を三客Uさんと交代して後の5人分を点ててもらい、末席へ暁庵も入り、濃茶を頂きました。
「5人分を点てるのは初めてなので・・・」とUさんは不安そうでしたが、「お稽古の通りに練れば大丈夫」と陰でエールを送ります。
湯相、濃さや練り加減もほど好く、とても美味しい濃茶でした。
濃茶は「喜雲」(小山園詰)、前席の菓子は「菱花びら餅」(打出庵製)です。

Uさんに仕舞い付けと道具拝見まで担当して頂きました。
一碗目の黒楽茶碗は銘「あけぼの」覚入作、二碗目は李朝・井戸茶碗です。
存在感のある茶入は瀬戸肩衝、加藤光右衛門造(加藤十右衛門の二男)、
異国情緒漂う柔らかな仕覆は始めて見る裂地で、たしか亀甲鶴文双魚緞子だったような?
茶杓は銘「丹頂」、紫野・藤井誡堂師作です。


     ( 大雪の翌日   2018年1月23日(火)10時頃撮影)

ここで後炭手前となり、正客N氏の登場です。
胴炭がすぐ割れるほど火がまわっていたので
「あっちちっ!!」かなり熱そうな様子で炭を調えた後に、匙香、湿し灰が撒かれ、胴炭から逆回りに炭を継いでいきます。
後炭で丸管と割管と枝炭を一緒に持つところが女性にとって難しく、美しく持つのが見せ場の一つなのですが、スイスイとなんでもないように炭を置いていきました。
「流石、力持ち・・・」と女性群はため息でした。



後炭が終わり、亭主Fさんが煙草盆、干菓子、百人一首の入った姫箪笥を運びだし、薄茶は員茶之式風でしました。
百人一首の札を詠み上げ、下の句の札を持っている人が唱和し、干菓子と薄茶を頂き、お点前をします。

  光孝天皇   君がため はるの野に出でて 若菜つむ
           わが衣手に ゆきはふりつつ

  伊勢大輔   いにしへの 奈良の都の 八重桜
           けふ九重に 匂ひぬるかな


     
最初と最後の札の人が始めの準備と仕舞い付けをしなくてはならないのですが、初参加のHさんとTさんがそわそわしだしました。
お二人とも最初と最後の札にはあたらなかったので、安心して薄茶を頂き、お点前に集中できたようです。
大勢の人前でするお点前はきっと緊張したり、その緊張が心地好かったりしたことでしょう。
また来年も参加して下さると嬉しいです。
お茶の神様の配材で、最初と最後はN氏が札を引きました。

それぞれのお役をしっかり務めながら2018年1月20日初釜が無事に終わりました。
きっときっと、ドキドキ心配あり、刺激的な体験あり、貴重な学びあり、美味しい濃茶と懐石ありの初釜だったことでしょう。
今年も楽しく仲良くそして元気にお茶の道を歩いてまいりましょう!


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暁庵の茶道教室の初釜 in 2018・・・(1)

2018年01月24日 | 暁庵の裏千家茶道教室

 (失敗して初釜の写真が1枚もありません・・・ 去年のを使いました)


2018年1月20日(土)は暁庵の裏千家茶道教室の3回目の初釜でした。

茶席は横浜市中区の茶席「K」です。
せっかくの機会なので茶事形式でお役を適宜交代し、全員にお点前をして頂きました。

初座の亭主はKさん、初座の正客はN氏、次客KEさん、三客Fさん、四客Hさん、五客Tさん、詰Uさんです。
次客KEさんは五葉会のメンバー、社中Tさんが急用のため欠席となり、急遽参席してくださり感謝です。
Fさん社中のHさんとTさんが初めて参加し、ぐっと平均年齢が下がったかしら。
中立で亭主交代し、後座の亭主はFさん、三客はUさん、詰がKさんに代わりました。
そんなわけで、暁庵が半東&水屋を務めました。

席入は11時です。
10時20分頃に着くと、皆さま、素敵な御着物でいらしてくださり、お正月らしい華やかな雰囲気が漂っています。
特筆すべきはN氏でしょうか、黒無地・染抜き五つ紋の着物に縞の袴(幻の仙台平らしい)姿がよくお似合いです。
座がきりっと引き締まり、初釜の正客にふさわしい装いです。
我が晴れ着ですが、昨年と同じ地紋のある藤色に扇面流水模様の色留袖、紺地に梅と尾長鳥を刺繍した袋帯を締めました。
着物は母の形見、帯はN先生から頂戴した大切なものです(何を着たか、書いておかないとすぐ忘れるので、お付き合いください)。

さて、茶席「K」の水屋ですが、下火が奥から運ばれ、ふんわりと美しく調えられた炉灰の上に熾った菊炭を置くと、シアワセ感がじんわり・・・。
釜がとても素敵でした。どっしりと大きく優雅な釜は芦屋釜の写しでしょうか。
あとで伺うと高橋敬典造とのこと。松の地紋、鬼面の鐶付、梅の摘み、味わいのある蓋、何度も魅入ってしまいます。

          

詰Uさんが板木を打つ音が心地好く響き、さぁ!初釜の茶事のスタートです。
梅干と結び昆布の入った福茶をお出しし、腰掛へご案内しました。
やがて、水桶を持って亭主Kさんが迎え付けに出ました。
頃合いをはかり準備していた濡れ釜を掛けます。

席入り後の挨拶では暁庵と亭主Kさんが一緒に入り、新年のご挨拶を交わしました。
お一人ずつ、新年の抱負や思うところを話して頂きましたが、健康のこと、お茶のこと、仕事とのバランス、心構えや目標など・・・伺っていると、人それぞれいろいろな思いや課題を抱えながらお茶の道を歩み、生きているのだなぁ~と。
私は、お茶との出逢いからいろいろなご縁を頂戴し、それをつくづく幸せに思っていること、
そして皆さまもお茶のご縁を大切にし、大きく育てていってほしい・・・そんなことをお話ししました。

          

待合の掛物は「笑門来福」の色紙、
床の掛物は「彩鳳舞丹しょう」、華厳宗東大寺・清水公照師筆です。
清水公照師の御筆は、五色の羽を輝かせて鳳凰が澄み切った大空を舞っているかのような・・・個性的な味わいのある書で、広い宇宙へ誘っているようでした。
天下泰平の世に現われるという鳳凰、厳しい世界情勢を考えると鳳凰が世界中の大空で飛びかう日が来ることを心から願わずにはいられません。

          

点前座には、宗旦好みの青漆爪紅及台子(せいしつ つまぐれ きゅうだいす)に青交趾七宝つなぎの皆具。
及台子の天板中央に大棗(住吉蒔絵、正春造)、左側に羽根と香合を荘りました。

初炭になり、懐石、中立まで亭主Kさんが大奮闘でした。
香合は高砂蒔絵のある溜塗「ぶりぶり香合」、香は坐忘斎お好みの「松涛」(松栄堂)です。

席に入れば、もうすべて亭主におまかせで、水屋で心配していてもどうにもならないのですが、一番心配していたのは懐石の時の挨拶でした・・・でもすぐに心配するのをやめました。
「一夜漬けです」とKさんは言っていましたが、なかなか堂々とした亭主ぶりが嬉しく大拍手です。
茶事の亭主役、懐石の給仕も初めてでしたが、多少の失敗があってもこれも勉強と思っていただければ・・・と。

縁高を運びだし、いよいよ中立です。


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2018年稽古初めは真之行台子

2018年01月21日 | 暁庵の裏千家茶道教室



1月10日は「暁庵の裏千家茶道教室」の稽古初め、気合を入れて真之行台子となっていました。

1月5日、帰省していた息子たちが帰ってしまうと、家の中が急に静かに淋しくなりました。
「そうだわっ! 真之行台子の稽古をしてみよう」と稽古始めの準備を始めました。

床の軸は、利休居士「四規七則」(紫野黄梅院・太玄和尚筆)にしました。

  和・・・人の道は和する調和すること
  敬・・・人に心より尊敬・敬意を持って対すること
  清・・・常に清浄を保って生活すること
  寂・・・何がおころうと心乱し動じてはならぬ


読み上げるたびに茶の原点に思いを馳せ、身が引き締まる利休居士悟道のお言葉です。

青磁の尺立を暮れに購入したので、青磁の皆具が揃いました。
水指は太鼓胴、蓋置は三つ人形ですが、気品高くなかなか素敵な一揃えです。
天板にあけぼの棗を荘ると、一際お正月らしい設えとなりました。




読者の方からブログの再開を喜ぶメールを頂戴し、嬉しく拝読しました。
ありがとうございます!
諸事が重なったためブログをお休みしましたが、大きな理由は右膝の怪我でした。

忘れもしません・・・2017年11月21日のことです。
11月5日に鎌倉・建長寺へ出かけた折、左足首を捻挫しました(一昨年は円覚寺で足指の骨折)。
捻挫がだいぶ良くなったので、口切の茶事に向けて膝(腿?)の筋トレをしていた時でした。
バキーンまたはボキボキッという嫌な音がし、右膝に激痛が走りました。
立つことも歩くこともできず、3日間松葉杖状態でした。
整形外科のU医師から
「MRI検査の結果、レントゲンではわからなかった損傷個所が2つ見つかりました。
 ここで無理をすると悪化するかもしれない瀬戸際なので、当分(1~3ヶ月)安静にしていてください。
 散歩や重い荷物を持つのもダメです。2週間ごとに診察を受けてください」
「先生、私お茶をしているのですが、正座ができるようになりますか?」
「う~ん、正座ですか、ダメかもしれませんが、とにかく様子をみましょう」

早く治したい一心で安静を心がけ、1ヶ月余が経ちました。
(その間、キャンセルのしまくりで、ご迷惑をお掛けしました・・・
暮れには痛みも違和感もなくなり、U医師の診察を受けると
「順調に回復しているので正座をしても大丈夫でしょう。
 風呂中で正座するなど、少しずつ正座に取り組んでください。散歩も大丈夫ですよ」 「ヤッター!

・・・それで1月5日、久しぶりの自分の稽古です。
先ずは炉の前の点前座に座ってみようとすると・・・
「あらっ!座れないわ! どうしましょう」 ショックでした 

毎日1時間以上散歩し、柔軟や筋力をつける体操など、膝や腿のリハビリに取り組んでいました。
正座も短時間なら出来るようになったので、お点前も大丈夫と思っていたのですが、
手で支えないと点前座に座れないし、立つこともできないのです(ショボン・・・)。

初稽古までの短い間、あれこれ葛藤していました。
右膝故障でも椅子に座って稽古の指導は続けていたのですが、
「このまま点前座に座れないとお茶事ができなくなる。どうしよう!
 どうしたらスムースに座れるようになるかしら?」

そのうち、現状をあるがままに受け入れて
「もう少し時間が掛かるかもしれないけれど、暖かくなるまで散歩など運動しながらあせらず身体の回復を待とう」
と今は思うようになりました。






1月10日、Fさんがステキな辻が花の着物で真之行台子の稽古にいらしゃいました。
暁庵は深緑の無地紋付の着物に、縞に金の鶴の刺繍のある綴織(?)の帯を締めました。
新年早々の初稽古なので、二人とも気合だけは十分で稽古に没頭しました。
・・・つくづくこのように奥伝の稽古に勤しんでくれる生徒さんがいることが嬉しくまた有難く思いながら・・・。

奥伝は一つ一つの所作を正しく身に着けることも大事ですが、とにかく地道に稽古を積み重ねることが一番です。
積み重ねていくうちにいろいろな疑問が湧いては消え、消えては新たな疑問が湧き、そして何よりも身体が自然体で美しく動くようになるのです。
Fさんの所作や動きがこの2年余でとても美しくなったのがとても嬉しいです。





午後はN氏とUさんが初稽古にいらっしゃいました。
みんなで花びら餅をほうばり、初釜に向けて台子で後炭手前、重茶碗、薄茶点前のお稽古をしました。
お二人ともステキな着物姿でいらしたのですが、稽古に夢中で写真がないのが残念・・・。


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2018年 謹賀新年

2018年01月19日 | 暮らし

       遠くに富士山、大山、丹沢山塊を臨んで   2018年1月1日撮影


新年あけまして おめでとうございます


年賀のご挨拶が大変遅くなり、ご心配をお掛けしました。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
いろいろありましたが(のちほどゆっくり書きます)、元気で新年を迎えましたので、ご安心ください。
さて、年初のブログなので2018年正月に思ったことを書いてみます(実は1月1日に半分くらい書いてありました)。

「桃栗3年柿8年、柚子の大馬鹿18年、銀杏の気違い30年」

これはツレから聞いたのですが、桃栗3年柿8年のあとの言葉が新鮮でした。
あとの言葉は地方によって違うみたいで、

  桃栗3年柿8年、梅はすいすい13年、柚子は大馬鹿18年、
  林檎ニコニコ25年、女房の不作は60年、亭主の不作はこれまた一生

  桃栗3年柿8年、柚子は9年でなり下がり、梨のバカめは18年

  桃栗3年柿8年、柚子の大馬鹿18年、銀杏の気違い30年

など他にもいろんなパターンがあるとか。
果樹を植えたら、その実がなるまでに相応の歳月を待たねばならないことから、何事も成就するまでにそれ相応の年月がかかるということを表わしています。






お茶を始めて長い年月が経ちましたが、本気でスイッチが入ったのはとても遅く、強いて言えば「銀杏の気違い30年」でしょうか。
それでもゴールは程遠く、次の言葉をエールのように言い聞かせて歩んでいます。

「桃栗3年柿8年、柚子の大馬鹿18年、銀杏の気違い30年、お茶は一生90年」

課題がいっぱいのお茶の道を命の尽きるまで歩んでいきたい・・・
そして、お茶に出逢った幸せを心に刻んでいきたい・・・と。
人生100年の時代の到来と言われていますが、とりあえず90歳現役をめざしています。
皆さま、どうぞ、宜しくお付き合いくださいませ。