暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

主菓子と干菓子

2009年06月30日 | 茶事


「主菓子と干菓子は西洋風でどうかしら?」
開港150周年の茶事には横浜らしい菓子をお出ししたい
と思いました。
注文をつけるだけの私に横山さん曰く。
「一生懸命、無い知恵を絞ってみますね(・・・ありがとう!)」

主菓子の銘は「黎明(れいめい)」。
栗入りの暖かいパンプディングにラム酒で香りを付けた
カスタードソースかけ。
温かいうちに召し上がっていただきます。

干菓子は「掛け橋」と「夢路」。
「掛け橋」はジンジャー入りビスケット。
どこか懐かしく、小気味よい味です。
お客さまから「とても美味しいので商品化したらどうかしら?」
と有難いご提案までいただきました。

「夢路」はアーモンド入りメレンゲ。
夢路をたどるような、上品な甘みにアーモンドが
アクセントになっています。
初回のメレンゲは和三盆を使ったため、湿気を吸って
べたつきましたが、二回目は見事に改良されていました。
良き相棒に恵まれて感謝しています。

写真は主菓子の「黎明」です。
どれもとても美味しくお薦めです。

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横浜開港150周年を祝う茶事献立

2009年06月29日 | 茶事
「横浜開港150周年を祝う茶事」の献立を紹介します。
仕入れによって毎回茶事献立が少し違いますが・・・。
                        
 
                
汁     赤合わせ味噌  
         ひじき入り つと豆腐
向付    牛舌のゼリー寄せ
煮物碗   帆立しんじょう
         隠元 人参  じゅんさい  青柚子

焼物    鯛
炊き合せ  海老の丸  冬瓜  空豆
和え物   ホワイトアスパラガス
箸洗    松の実
八寸    もろこしと大葉のかきあげ
       蒸し鶏
香物    三種
                    

向付の「牛舌のゼリー寄せ」、焼物の「鯛」、和え物の「ホワイトアスパラガス」、
八寸の「蒸し鶏」は、開港当時の船上料理を横山さんがアレンジしたものです。

写真は和え物の「ホワイトアスパラガス」。
文献に因み缶詰を使用しています。
よ~く冷やしたものを召し上がっていただきました。

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清川村・別所の湯

2009年06月28日 | 閑話休題
6月25日(木)布絵を作っている親友と別所の湯へ行きました。

「美術館やランチもいいけれど、別所の湯でのんびりしない?
布絵の作品も見て貰いたいし・・・」
海老名駅で待ち合わせ、車で清川村(神奈川県)へ向かいました。

最初に清川村の物産を販売している「清流の館」へ。
新鮮で安い野菜、山菜、山野草、木工品を買うのを
いつも楽しみにしています。
この日は真竹、おからハンバーグ、吾亦紅の鉢を買いました。

別所の湯に着き、「6時間1000円」のチケットを購入し、
早速お風呂へ。

お目当ては、深山の趣を感じる露天風呂と水風呂です。
山の木立を見上げながら入る露天風呂は
気分爽快、のぼせ難いので長々と浸かっています。
体が火照ってくると、水風呂で冷やします。

水風呂は五右衛門風呂のような鉄釜で、
川から水を引いているのでしょうか、
滔々と水が流れ込んでいます。 (写真)

身体を沈めザワッと水が溢れ出る瞬間、
冷たさに皮膚がシュワッと収縮する瞬間、
何とも言い難い心地よさです。

風呂も休憩室の広間も空いていましたので
昼食後、布絵の作品を広間のテーブルに並べ
ミニ展示会をしました。

キャベツ、ニガウリ、ピーマン、トマトなど
身近な野菜を描いたタペストリー、
茶事に使う色紙、製作途中の里芋を描いた大作など。
お風呂で一緒になった方々にも見てもらい、友人も嬉しそう。

結局、約6時間を風呂と広間で過ごし、二人とも身も心も
リフレッシュして別所の湯を後にしました。
「秋にまた来ようね!」

             


立礼の茶事・・・濃茶は船室で

2009年06月27日 | 茶事
ぎぼうし、洋種山ごぼう、突抜き忍冬を
ひさご籠に活けました。

午後になって風が強くなってきましたので
後座はデッキから船室へ移っていただきました。

点茶盤に織部の燭台を置き(船室は暗いので・・)、
蝋燭の揺らめきの中一心に濃茶を練ります。

濃茶は「涼翆の雫」。
翆晶庵のオリジナルで、静岡産の無農薬の茶です。
「大変おいしゅうございます」
のお言葉に心がほぐれます。

湯相火相がよろしいので後炭を略し
薄茶をさしあげました。
「薄茶は?」
「・・・・・・・」
茶銘がでてきません。すると
「下船まで時間がありますから、ごゆっくりどうぞ」
とユーモラスなお正客さま。

しばらくして、やっと思い出しました。
「翆晶庵の詰で、彩晶の輝きでございます」
下船前に思い出せて良かったです。
最近ぽっと忘れる事が多くなりました・・・。

茶事修行中ですが、つくづく茶事は生き物で
なかなか筋書き通りには参りません。
そこが茶事の面白いところと、最近やっと
思うようになりました。

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立礼の茶事・・・懐石はデッキで

2009年06月26日 | 茶事
亭主として始めての立礼の茶事です。
ご挨拶のあと、お客さまに黒船ボーハタン号へ
乗船していただきました。

デッキに設えたテーブル席に見立てて、
喫架に懐石をお出ししました。
最初の一献はマティウスのスパークリング・ロゼです。
ボーハタン号の楽隊に登場願って、フォスターの名曲を
BGMにしながらワインと懐石を味わっていただきました。

煮物碗、焼物、炊き合わせ、和え物・・・
どれも美味しく、賞味していただきたいものばかりです。

懐石の運びはいつもより楽ですが、長盆を置くところがなく、
半東さんの助けが随所に必要でした。
点前中も、香合、茶碗など拝見の取次ぎに半東さんが大活躍。

初炭を終え、主菓子を味わっていただきながら
横山さんから「船上料理を取り入れた懐石」について
食材や調理の秘伝(?)をお話してもらいました。

正座も大変ですが、狭い円椅に長時間座っているお客さまも
腰や尻が痛くなったのではないでしょうか?
中立の時、腰掛待合で正座していたお客さまもいらしたとか。
背もたれのある円椅を・・・と思ったりします。
新しい円椅、お家元ぜひ御一考をお願いいたします。

お茶の先輩には
「膝を悪くして正座は無理なので、伺いたいけれど
 茶事へいけません・・・」
という方々が多いのですが、今回はお出ましいただけました。
その方々のためにも立礼の茶事をもっと取り入れたいと
思っています。

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