暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

いちねん会・・・二人貴人且座

2016年08月03日 | 七事式&いちねん会
                     

海の日の祭日7月18日は、文月のいちねん会でした。

久しぶりの着物の外出です。
夏に着物を着る・・・
心身が引き締まる思いがして嫌いではありませんが、それなりの気合がいります。
テレビ「「女ひとり70歳の茶事行脚」」(再放送のビデオ)を見て、半澤鶴子さんのシックな着物姿にうっとり!
「何を着て行こうかしら?」 と久しぶりに心ときめきました。

夏季講習の時に誂えてからあまり着ていない(たぶん5年間は袖を通していない)
薄ピンク色の絽の無地紋付、白地に紫と銀の流水模様の帯、紺の帯締めを選びました。
暑さ対策で、下着は着物用ブラジャーと「うそつき」、絽の腰巻です。
「うそつき」は亡母がつくってくれた上だけの夏用襦袢、
見頃は綿、袖は絽(合繊)なので洗濯機で洗えるので重宝しています。

しっかし、それでも暑いですが、そこは心意気・・・涼しい顔でがんばります。
大好きないちねん会のお仲間も思い思いの素敵な着物姿で勢ぞろい、
夏の着物姿もまた好いものだなぁ~と、改めて見惚れてしまいました。

前々日にあわてて科目を確認すると、二人貴人且座、壺荘花月、一二三之式(台天目)でした。
「う~ん、これってハード過ぎるんじゃない?」
夕去りの茶事支度に没頭したいのは山々なれど、もうやるっきゃない!
茶壺を持ち出して飾り紐の稽古です。
一二三之式と二人貴人且座は教本でイメージトレーニングですが、
二人貴人且座の後半の部分が本を読んでるだけではどうしても頭に入ってきません。
「あとは実地でやりながら考えよう・・・」と覚悟を決めました。

                      

二人貴人且座は、正客と半東が貴人という設定で且座を行います。
迎え付けはいつものように東(亭主)だけ、そのまま東の座へ着きます。
送り礼は、半東(貴人)が先、東と出て、二人でします。
花、炭(風炉中拝見あり)、香(東から本聞き)と進んでいきました。

                      

濃茶になり、東は先ず貴人茶碗に正客と半東の二人分の濃茶を練ります。
次客が貴人茶碗を正客に取次ぎ、自席へ戻ります。
次客の取次は貴人畳に入れませんが、半東は貴人なので堂々と貴人畳に入ります。
(半東Sさんが誠に堂々としているのが見ていて爽快!でした・・・)
東は服加減を聞き、居前に戻り、今度は次茶碗に二人分の濃茶を練ります。

この辺からちょっと複雑になりますので省略して、またの機会に・・・。

薄茶が終わり、半東が貴人茶碗を水屋へ下げるときにも貴人同士なので一礼無しです。
実際にやってみると、東貴人且座よりわかりやすく思いました。

                         

次は壺荘花月、壺を扱う月をKTさんが引きました。
ゆっくり飾り紐を結んでいただいて、薄茶を全員で美味しく頂きました。

ここで昼食、午後はAさんが花(東)を引き、一二三之式を台天目でなさいました。
「ハード過ぎるんじゃない?」と思った科目が全て順調に終わり、皆、大満足の一日でした。

日傘をさして、駅まで歩く皆様の着物姿もステキでした・・・。

                          やっと  「ふっっ~」

山家花月香-2 水無月のいちねん会

2015年06月30日 | 七事式&いちねん会
(つづき)
初心者の私たちのために用意された香は三種、七事式の茶カブキに似ています。
先ず、試香(ためしこう)二ちゅうを聞きます。
   試香  花  一ちゅう
        月  一ちゅう

試香は聞き終わると、「花」や「月」の香銘を名乗って次客へ縁内でまわします。
実際の香席では二ちゅうではなく、たくさんの香を聞くのでわからなくならないように
いちいち香銘を名乗るそうです
それから試しの二香に ウ(試香で聞いていない未知の香)をうち混ぜて、この三種が本香となります。
   本香  花  一ちゅう
        月  一ちゅう
        ウ  一ちゅう

本香は一つずつ二種焚かれるので、三回以上ゆっくり聞いて香の特徴や印象を記憶するように・・・とのことでした。
本香になると、香銘ではなく「出香(しゅっこう)」と言って次客へまわします。

香席では必ず執筆者がいて、料紙に筆で記録詞書(ししょ)を書くそうです。
例えば、茶カブキで当りは「¬(カギ)」を記し、全当りは「全」または「叶」と書きますが、
和歌の一部で表わすのが香席らしいと思いました。

   記録詞書(ししょ)  
       花のふすまを    花 当り
       花見ぬ夜の     月 当り
       散りなむ後や    ウ 当り
       その如月の     全 当り
       花散らで       不当

                           

和歌はもちろん西行法師の「山家花月集」からです。

   木の下にたびねをすれば吉野山 花のふすまを着する春風

   同じくは月の折り咲け山ざくら 花見ぬ夜の絶え間あらせじ

   あくがるる心はさても山ざくら 散りなむ後や身にかへるべき

   ねがはくは花の下にて春死なむ そのきさらぎの望月のころ

   花散らで月は曇らぬ世なりせば ものを思はぬ吾身ならまし

和歌で表現する優雅なお香の世界にどっぷりひたり、夢のようなひと時を過ごしました。

それから、肝っ玉かあさん(秘かに尊敬して呼んでおります)ことIさんのセンス溢れるランチタイムです。
吟味して取られた江戸前寿司を中心に、口取り八寸、煮物椀などがテーブルに並びます。
陶芸をなさっていたという亡き父上の作品が料理を引き立て、このランチがとても楽しみです。
ワイワイパクパクガヤガヤパクパク・・・・美味しくってシアワセ・・・。

                              

でもね!これで終わりではありません。
手分けしてお茶の準備をして、これからが定例のいちねん会のお稽古です。
台子で炭付花月、濃茶付花月をがんばりました。

Iさん、香席を設けてくださって、ありがとうございました!
お香のレクチャーと実践が毎回とても勉強になります。
おかげさまでいちだんと心豊かないちねん会になり、堪能しました。   その日は 


          山家花月香-1 水無月のいちねん会 へ戻る
   

  (カメラの画素数オーバー(?)で写真が掲載できず、5月のいちねん会の写真です)
       

山家花月香-1  水無月のいちねん会

2015年06月27日 | 七事式&いちねん会

水無月のいちねん会は6月21日にIさん宅でひらかれました。
Iさんが香席を設けてくださって、一同いそいそと出掛けました。

香席に縁遠い私たちに、用意してくださったのは「山家花月香」(さんがかげつこう)。
漂泊の詩人、西行法師の歌集「山河花月集(または心中集とも)」より和歌五首を選び、
これらが風流かつ優雅な香席の案内人となります。

                    

最初にIさんが「香道と六国五味(りっこくごみ)」と「山家花月香」についてレクチャーをしてくださいました。
何回聞いても覚えが悪い生徒で、申し訳ないです・・・しっかりと書いておきます。

香道と六国五味について

 香道では、香木(沈水香)の分類がいろいろ考えられました。
沈水香の木所(きどころ、品質のこと)によって、伽羅(キャラ、産地はベトナムの奥地)、羅国(ラコク、タイ東南部)、真那賀(マナカ、マレーシア)、真南蛮(マナバン、カンボジア)の四種でしたが、
後に、佐曽羅(サソラ、インド南部)、寸門多羅(スモンダラ、スマトラやボルネオ)の二種を加えて、六種とし、これが香の「六国(りっこく)」といいます。
 六国名は香木の産地に由来すると伝えられていますが、実際には広い地域で産出されています。

 匂いの性質を味の感じ(味位)に置き換える分類方法も考えられました。
「五味」と称し、「酸」は梅のすっぱさ、「甘」は蜜のあまみ、「辛」は丁子のからみ、「苦」は黄壁のにがみ、「鹹(カン)」は塩のからみと伝えられています。
これらを併せて「六国五味」と称します。


実際には、香りの特徴を聞き分けるのも、表現するのも複雑で難しいですが、
余り深くは考えずに、最初の印象を大切にする・・・ことにしました。

                    

Iさんが凛とした香道の所作で、香たどんを香炉へ入れ、
灰を美しく調えていくのを、いつものように一同固唾を呑んで見つめます。
ぴりっとした空気が漂い、お香で一番好きな時間です。

山のように盛られた灰山が灰匙や小羽根で綺麗に整えられ、さらに灰山を五つに分け、
それぞれ10の灰筋が火箸でつけられていきます。
最後に聞き筋がつけられ、頂上に空気穴があけられました。
この穴の大きさで火加減を調節します。

あとで伺うと、これは真の灰形だそうです。
家に帰ってから、見よう見まねで香炉の灰を作ってみました・・・(2へつづく)。


       山家花月香-2 水無月のいちねん会へつづく


             

「七事式の会」のお仲間を募集しています

2015年03月12日 | 七事式&いちねん会

今日は東大寺二月堂修二会のお水取りの日ですね。
3月12日の深夜(13日の午前1時半頃)に「お水取り」といって、若狭井から「お香水」を汲み上げ、
観音さまにお供えする儀式が行われます。
「お香水」の一部は参籠者の手へ有難くも頂戴したような・・・。

先日、ハワイ在住のSさまから素敵な写真がメールで送られてきました。
菓子銘はありませんでしたが、「のりこぼし」です。
今日にもメールで作り方を教えていただきたい・・・と思っているところです。

                
                  「のりこぼし」(紙製) by Sさま 

・・・すみません 間違えました。
上記のは紙製だそうで、下のがこなしの「のりこぼし」だそうです。

                
                  「のりこぼし」(こなし) by Sさま

「七事式の会」のお仲間を募集しています
                
京都で暮らしながら、それなりにお茶を頑張っていたつもりですが、
「七事式」は稽古不足を痛感してました。
頭(本)だけではダメでして、実際に身体を動かさないと身体が覚えないのです・・・。
それに皆で気持ちを合わせて行う「七事式」が楽しく、緊張感があり、大好きです。
横浜へ帰って最初にしたいと思ったのは、七事式の勉強会を立ち上げることでした。

会の概要が整いましたので、ご一緒にお稽古する方を若干名募集いたします。
特に資格はありませんが、ご指導をお願いしたN先生は
「七事式を勉強しようという意欲と足腰がしっかりしていることが肝心ですね」
とおっしゃっていました。
私も同様に思っており、あとは楽しく回数を重ねることでしょうか。

・・・茶事ではありませんが、お互いを知る者同士の七事式も深い味わいがありますが、
初めて会うお仲間との七事式もまた新鮮で、新しいご縁を結ぶ喜びがあります。
加えて、ご指導のN先生がとても素晴らしい方なのです。
どうぞ、ふるってご参加ください。

                
                         七事式偈

「七事式の会」の概要をお知らせします。
参加を希望される方、お問い合わせの方はメールをお願いします。

会の名称:七事式の会(仮称)
  (敬愛するN先生にご指導をお願いしています。暁庵もご一緒に5名限定で行います)
募集人数: 2名様
日時:毎月1回、第2または第3金曜日 (初回は5月15日(金)
   10時 ~15時(お昼持参)
場所:暁庵宅 (横浜市旭区)
内容:七事式の研鑽(3科目くらい)
会費:毎月5千円   
期間:5月より1年間(継続は1年後に決めたいと思います)

その他:定員になりましたら、この欄の追伸にてお知らせいたします。
   
                            

追伸) 本日、定員に達しました。(3月15日7時)
    ご検討いただきました皆様に御礼申し上げます。ありがとうございました!
    当ブログにてお稽古、茶会、茶事、ボランティアなどの参加募集をするかもしれませんが、
    引き続き、どうぞ宜しくお願いします。 またの素敵なご縁がありますように・・・。

                              

いちねん会番外編  大炉

2012年02月27日 | 七事式&いちねん会
2月19日に大炉の稽古をしました。
我が家に大炉がないので、Kさんに大炉の稽古を特別にお願いしたのです。
折角の機会ですので、Kさんがいちねん会のメンバーへお声掛けをしてくれました。
それで、全員参加の賑やかなお稽古になりました。

               

初炭と後炭をさせて頂きました。
後炭の風情が味わい深いものなので、密かにあこがれていたのです。
久しぶりに大炉のお稽古をさせて頂き、楽しかった!

               
               

濃茶と薄茶を二回ずつ点てて頂いて、いちねん会・番外編らしく
楽しく有意義な一日でした。
ありがとうございました・・・!


                      

  注)写真のお点前はSさんです。
    柄杓を持つ手、空き手がきれいですね・・・(ため息!)
    筒茶碗と馬上盃で薄茶二服を頂戴しました。