暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

聴花の茶事・・・(3)後座と花

2024年05月30日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

   (後座の床・・・大山蓮華とアケビ)

つづき)

後座が閑まるのを待って、緊張感の高まりを感じながら濃茶点前をしました。濃茶点前のこの瞬間が大好きです。

袱紗を四方に捌きながら気持ちを調え、点前に集中していきます。先ずは茶入、それから茶杓を清め、茶筅通しをしてから茶碗を拭き上げます。

濃茶はお二人で1碗とさせていただきました。茶入から二人分を掬いだし、湯を入れて練り始めると、馥郁とした茶香が立ち上り茶室を満たしていきました。前回の「ひねもすのたり正午の茶事」では何度も湯を足しましたが、今回は湯量がスムースに決まり、ゆっくり練って差し上げました。

お服加減を伺うと、「美味しく頂戴しています」の声に安堵して2碗目にかかりました。

1碗目の茶碗は黒楽、一入作の銘「不老門」です。2碗目は、小堀遠州流のお客さまでしたので茶碗は御本三島、愛称「伊備津比売(いびつひめ)」を選びました。

濃茶は坐忘斎お好みの「延年の昔」(星野園詰)です。

2碗をゆっくりお飲みいただいてから、床の花の話になりました。

 

    (朝の蕾が少しずつ開いて・・・「色即是空」)

鉄燈明台の花入(白洲正子好み)に大山蓮華とアケビを生けました。

花はいつも時間を掛けて探しますが、今回はご近所のSさん宅の大山蓮華に決めていました。

「大山蓮華を分けて頂けませんか?」勇気を出してSさん宅を初めて訪ねると、「どうぞお使いください。前日ではなく当日の朝に蕾を選んだ方がよいのでは・・・」とSさん夫妻。茶事の4日前のことです。

当日8時過ぎに伺うと、S氏が大山蓮華の大木から純白の蕾の枝を2本切り分けてくださいました・・・

濃茶の茶入は薩摩焼の胴締め、15代沈壽官作です。仕覆は能衣装裂で、仕覆をお習いした小林芙佐子先生の仕立てです。

茶杓は前掲の銘「花の宿」、紫野高桐院の松長剛山師の御作です。

後炭を省略し、茶箱・花点前で薄茶を差し上げました。

それで、濃茶に使った水指、杓立、建水を水屋へ下げて、風炉を点茶盤の中央に置き直し、座卓の小さな机を建水用の台にしました。

お点前は半東KTさん、暁庵が半東を務めます。

      (麻の葉模様一閑張の茶箱です)

山道盆に茶箱を載せて持ち出し、KTさんの花点前が始まりました。

鉄瓶ではなく釜を使用するので、建水に蓋置、柄杓を掛けて持ち出します。点茶盤の点前座は狭く、盆や蓋置の位置などの工夫が必要ですが、ベテランのKTさんに全てお任せです。

茶箱の薄茶では茶碗に古帛紗が付き添っていて、薄茶を頂きながら茶碗と古帛紗も鑑賞して頂きました。茶碗は、ギヤマン、ペルシャ碗の写し、ホトトギス画の平茶碗、牡丹画の平茶碗です。

棗、茶杓、茶筅筒、茶巾筒、仕覆、茶箱が拝見に回されましたが、盆にのせて拝見して頂きました。小堀遠州流の方も正客に見習って、袱紗を広げてしっかり拝見してくださって嬉しかったです。

  (拝見の時の写真です・・・ピンボケでごめんください)

茶箱は麻の葉模様一閑張です。半東KTさんがウン十年前に最初の先生から茶名拝受の時に頂いた、記念の宝物でした。その後、少しずつ茶箱の中身を買い足していったそうです。

棗と茶筅筒は溜塗、仕覆は格子花鳥紋、茶杓銘は「かきつばた」です。

中でもギヤマンの主茶碗が素敵でサプライズがあり、暁庵のお気に入りなのですが、写真が・・・。ホトトギス画の茶碗を記念に掲載します。

      (ホトトギス画の茶碗と古帛紗)

薄茶は「金輪」(丸久小山園)、振り出し(志野焼)の金平糖は緑寿庵清水製です。もう1つ、ガラスの大皿で「千代古禮糖 (ちよこれいとう) 」(諸江屋製)をお出ししました。

薄茶ではお話がいろいろ弾み、終始なごやかで楽しく、終わってしまうのが残念に思うほどでした・・・皆さまの一座建立に感謝いたします。

素敵なお客様、お手伝い頂いた半東KTさんと懐石小梶由香さんに心から御礼を申し上げて、これにて終わりといたします。 

ありがとうございました。     (4)へ続きます)

 

     聴花の茶事・・・(4)後礼のお手紙へ続く  (1)無我へ  

             (2)花ものがたりへ 

     聴花の茶事の支度中です

 

 


聴花の茶事・・・(2)花ものがたり

2024年05月28日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

つづき)

初炭の後、お客さまが持ち寄ってくださった「花に因むもの」の花ものがたりが始まりました。

その人ならではの素敵な花ものがたりがあり、もう感動しながら拝聴しました。そしてその方の貴重で素晴らしい時間(人生の一コマ)をちょっぴり共有できたように思います・・。

「聴花」の記念に写真を掲載します。写真を見るとその方の花ものがたりが思い出せるように・・・ものがたりの詳細については書き表わす文才なく省略いたします。

 

(Iさま・・・白竹の虫籠(池田泰輔作)に紫半夏(カラスビシャクとも)を生けてくださいました)

(SAさま・・・バドワイザーの瓶のような信楽焼花入(大宗匠の発案、伊藤南山作)と、はなの香「思ひのまゝに」)

(FIさま・・・手描きの花の栞、花はナツエビネ、きつりふね、いわしゃじん。移ろいゆく花ですが栞に一瞬の命を留めます)

(KMさま・・・花七宝蒔絵の棗とはな色の袱紗、稽古日誌に書かれたお軸の禅語「花下半日客 月前一夜友」)

お客様だけでなく、亭主・暁庵は前掲の香合「淡墨」の花ものがたりです。

半東KTさんは後座の薄茶席で、思い出のある茶箱を使い花点前で薄茶を点ててくださいました。

懐石担当の小梶さんの花ものがたりは「花菖蒲真蒸」の碗盛でしょうか。目からも舌からもしっかりと堪能しました。

花ものがたりに耳を傾けながら、「聴花の茶事」が愉しく打ち解けて、心に残るものになっていきました・・・ 

 

12時を10分ほど過ぎていましたので、懐石を差し上げました。

 聴花の茶事の献立  小梶由香作成

  飯   一文字

  汁   ホワイトアスパラ 辛子

  向付  鰹たたき とろろ おくら 山葵

  椀盛  花菖蒲真蒸 アスパラ 長ネギ

(花菖蒲真蒸は、黄、白、紫の美しい花の色を出すのに工夫したみたいです・・・)

  焼物  鯛 たたき木の芽

  預鉢  揚げ粟麩 南瓜 いんげん 炊き合わせ

  箸洗  新生姜

八寸  味噌漬寄せ豆腐のバケット そら豆翡翠煮

香物  沢庵 野沢菜

酒(大吟醸)は美しき渓流・楯野川(山形県酒田市産)です。酒豪が多いらしいとの情報で、社中・矢澤氏がチョイスしてくれました。

水屋で半東KTさんと相伴しましたが、とても美味しく短い時間に完食しました。ご馳走様! 

特に最初の膳にこだわりがあるそうで、汁がとても美味しかった!です。向付の鰹たたきは5月ならではのご馳走で、とろろで食べるのも新鮮でした。きっと一文字も・・・水屋なので私たちは物相御飯です。

懐石終了後に待合へ中立していただき、そちらで主菓子を差し上げました。つづく)

 

      (菓子銘「ベルサイユの薔薇」 石井製)

 

    「聴花の茶事」・・・(3)後座と花へ続く  (1)無我へ  

              (4)お礼のお手紙へ

     聴花の茶事の支度中です

 

 


聴花の茶事・・・(1)無我

2024年05月27日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

           (岐阜県根尾谷の淡墨桜)

 

令和6年5月19日(日)に聴花の茶事をしました。

「聴花の茶事」は初めてなので、あれこれ迷いながらもお客さまやスタッフのご協力のお陰で、楽しい茶事になりました。

先ず道具組ですが、花に因むものは避けようと心がけました。でも、後から考えると3つだけ花のものがありました。

1つは点前座の水指です。揖保川焼の女性陶芸家・池川みどりさん作で草花文が描かれています。池川みどりさんの個展へ初めて行った時に気に入って求めたもので、「黙坐」という銘が付いています。

花の心、言葉、色、香りに耳を傾ける茶事なので、この水指「黙坐」を使いたいと思いました。

2つ目は貝の香合。ウン十年前、最初にお習いした先生から頂戴したもので、ある先輩の手作りの御品です。新米の私がその先輩の前で薄茶点前をすることになり、自分でも信じられないくらい緊張して茶筅を持つ手がブルブル震えてしまいました。

その時に「こんなに緊張感をもたらすお茶ってなんて素晴らしいのかしら! もっともっとお茶を究めたい・・・」と思い、茶の道へのめり込むきっかけになった記念品です。

全体が黒漆で塗られ、表に桜の漆絵が描かれているので、岐阜県根尾谷の「淡墨桜」にあやかって「淡墨(うすずみ)」という銘をつけています。

根尾谷の「淡墨桜」、樹齢1500年以上の枝垂れ桜の老木です。蕾はピンク、満開時は白、散り際は淡墨色に変わるそうです・・・・。

     (「淡墨(うすずみ)」と名付けています)

3つ目は濃茶の茶杓です。紫野高桐院・松長剛山師の御作で銘を「花の宿」といいます。宇和島市在住のK先輩から「花のお茶事の時に使ってね・・・」とだいぶ前に頂いたのですが、「今使わなくっていつ使うの?」と喜び勇んで使いました。

 

前置きが長くなりましたが、お客さまは、正客Ⅰさま、次客SAさま、三客FIさま、詰KMさまの4名様です。

詰KMさまの打つ板木の音が聞こえ、いよいよ茶事のスタートです。

待合の掛物は坐忘斎お家元の寿扇「松風傳古今」、教授拝受の折に頂いた宝物です。

半東KTさんが冷たいレモングラスをお出しし、お客さまの持参した「花に因むもの」をお預かりし、腰掛待合へご案内しました。

実はご案内の手紙に「当日、花に因むものをお持ち出し下さい。そして貴女の花ものがたりを席中でお聞かせください」とお願いしていたのです。

当日までどのような花に因むものをご用意くださるかわからなかったので、亭主側にとってもドキドキでした。いろいろ想像しながら花台一式と花入2つ、茶道具だったら床に莊る古帛紗や帛紗などを用意し、席入り前に持参の品々を床に莊りました。

 

初座の席入り後、4人のお客様と嬉しくご挨拶を交わしました。 

床の掛物は「無我」、林昌寺住職でいらした周藤苔仙師の御筆です。「無我」の意味するところの奥深さに惹かれ、字の読みにくいところも気に入っています。

何か心にひっかかることがある時、この御軸に対面すると「それは全て自分の我にこだわるせいではないか、我の欲望(自尊心、慢心、自己中心など)を捨て去り、無になりなさい。そうすれば心穏やかで閑かな境地へ導かれるでしょう」と言っているように思うのです。

それに今日は「聴花」の茶事です。「無我」の境地にならないと、花が発する声は聞こえないかもしれません。花の声はとてもひそやかなので・・・そんなことをお話ししました。

 

最初に初炭をしました。

都合により後炭を省略するので、朝茶事のように初炭で風炉中の拝見をしていただきます。それでいつになく灰形を頑張り、一つ山前谷の灰形に挑戦してみました。

炭斗はミャンマー籠、火箸は龍玉頭(16代大西清右衛門造)です。「ひねもすのたり正午の茶事」の後にお正客KS様から「これからの立礼の茶事で縁起の良い龍玉頭火箸を是非使ってください」と恵贈されたもので初使いでした。 

香合は貝で銘「淡墨」、香は沈香(松栄堂)です。  つづく)

 

     聴花の茶事・・・(2)花ものがたりへつづく  (3)後座と花へ  

             (4)後礼のお手紙へ

     聴花の茶事の支度中です

 


令和6年皐月の稽古だより・・・灰形づくりの勉強会

2024年05月25日 | 暁庵の裏千家茶道教室

 

令和6年5月1日に灰形づくりの勉強会をしました。

炉の始末と風炉の準備をしなくてはならないので、そのお手伝いを兼ねてゴールデンウィーク中に灰形づくりの勉強会をしました。

希望者を募ると、Y氏とKRさんが希望されたので、お二人の都合に合わせて5月1日(水)に決めました。

天気が心配で予報ばかり気にしていましたが、小雨決行にしたら始まる直前から雨が降り出しました・・・・お天気ならベランダで、雨だったらガレージで灰をふるうことに決めていました。

        (木葉のズイナと紫蘭)

10時半にY氏とKRさんが到着。早速、作業服、眼鏡かゴーグル、マスク、できたら帽子(髪に灰がつくので)などの身支度を調えてもらいます。

作業(稽古内容)は次の通りですが、湿し灰が湿りすぎだったので、3の湿し灰づくりは取り止めにしました。

Ⅰ、風炉2個分の灰を篩う

2.風炉2個の灰形をつくる

3.湿し灰づくりの体験

風炉の灰は朝早くから炭火を入れて温めておきました。炭火を除き、灰がよく渇いているうちに篩うと、効率がとても良くなるからです。

雨が降る中、ガレージで小1時間かかって風炉2個分の灰を篩いました。

      (弁慶くんも応援しています)

ここでランチタイムと休憩です。

午後から灰形づくりに取り掛かりました(こちらは室内で)。

2つの風炉に灰を入れ、それぞれ別の釜を五徳に掛け、先ず釜合わせをしてもらいました。

二文字押切の灰づもりをしてもらいます。それから前瓦を入れ、向うの面の高さや斜面の角度、手前の面の高さや斜面の角度を考えながら筆で形をゆっくり整えてもらいました。

平らな灰匙で灰の上の面をきれいに均しますが、力を入れずに表面だけを滑らせていきます。暁庵が手本をお見せしましたが、こればかりは失敗を恐れず、自分でやってみることが大事です。所々ポイントをお教えしながら、とにかく面を均してもらいました。

次に斜面を切って行きます。物差しを使って切り口が一直線になるように切って行きます。これも手本を示して後はやっていただきました。

最後に火床の始末です。余計な灰を取り除き、炭を置いても釜底につかないような深さが必要ですが、あまり深すぎないようにするのがコツの一つです。

   (最後に藤灰を撒いてもらい完成です・・・

       (完成したもう一つの灰形・・

なんだかんだ言いながらお二人とも完成しました。 

凄い! 初めてにしてはとてもお上手でした。 だって、暁庵は初めての時には最後までたどり着かずに終わったのですから・・・トホホ。

Y氏の感想が面白かったです。

「先生、今日初めて灰を篩って灰形を作りましたが、こんなに大変だとは思いませんでした。何か型があるのかと思っていたので・・・ご指導ありがとうございました」

さらに次のようなメールを頂戴しました。

「先日は灰形のご指導いただき とても勉強になりました。
 正直あんなにも手間がかかるとは 思いもよりませんでした。
 これから風炉の初炭のお稽古が始まるかと存じますが、
 灰形を崩さずそしてお湯がちょうど良く沸くように
 いかにして炭を配置するか 明確な目的として理解ができました」

今日は雨の中、よく頑張りましたね。ご苦労様でした・・・。

 

 (最初の風炉の稽古ではこの灰形で初炭をしてもらいました)

灰形はとにかくやるっきゃない・・・のです。

以前にブログに書いたN業躰先生のお言葉通リでして、「今日は最初の1回ですが、200回を目指してゆっくりと頑張って下さい」とエールを送りました。

 

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撫子咲く舘の茶事に招かれて・・・(2)

2024年05月22日 | 茶事・茶会(2015年~他会記録)

      (皆で「投扇」遊びに興じました)

つづき)

「遊び道具って? トランプかしら?」と皆で待っていると、投扇の道具一式が運ばれ、ご亭主は姿を消しました。
投扇は初めてでしたが面白かったです。力を入れたり、「当てるぞ」という意識があると扇が失速してしまい、無心の境地が求められている気がしました。

 

Yさまと暁庵は何回やっても全く当たらず、Iさま夫妻の応援にまわりました。

Iさま夫妻が十回目くらいに相次いで当たり流石です。

一汗かいたのでこれにて終了し階下の居間へ向かいました。

   

      (まだ雨が降り続いています・・・

居間のガラスのテーブル席で懐石を頂きました。
折敷に四つ碗がでてきましたが、一文字はリゾット、汁はコーンクリームスープ、
向付は帆立のカルパッチョ風、イタリアンの懐石は美味しく全てサプライズでした。

 

  (一文字は熱々のリゾット、汁はコーンクリームスープ)

短時間ですべてお一人でなさった手際にもびっくりしました。 
次々と出て来る懐石料理にドキドキし、使われている食材も珍しく舌鼓を打ちながら完食です。(食べるのが忙しく写真がありません・・・)

ご馳走様でございました。

 

           

懐石が終わり、後座の薄茶席へ席入りしました。
襖を開けて思わず「あっ!」と小さな叫びが・・・先ほど「装飾扇面経」が掛けられていた床に小さな竹花入が吊るされ、ピンクの薔薇(そうび)が生けられていました。

とても小さな花と花入が、四畳半の空間全てを支配しているような迫力と魅力を発しています。

      (小さな、小さな花と花入とI氏)

涼しさを感じる煙草盆と干菓子(八つ橋)が運ばれ、薄茶が始まりました。

小堀遠州流独特(?)の重ね茶碗で茶碗が運ばれ 薄器と置き合わされました。

心を込めて点ててくださった薄茶、少しぬるめなのが好ましく喉を優しく潤していきます。
撫子画の平茶碗(半七作)で頂きましたが、撫子は巻26「常夏」でしょうか

他にも茶道具にご亭主Sさまの源氏物語への思いや物語りが散りばめられていて、Sさまが作り出す源氏物語の世界がなんて!すてきなのだろう・・・うっとりでした。

I氏がご亭主様の薄茶を点ててくださり、ご亭主もゆっくりお話が出来て嬉しそう・・・。

 

 

さて、席中の源氏物語ですが、その一つ、繊細な細中次には桐の蒔絵があり巻1「桐壷」。

極めつけは茶杓でしょうか。ずっ~と気になっていた個性的な茶杓の作者は海田曲巷氏で、銘は源氏物語に因むもの・・・とだけ記しておきます。茶杓の優美な仕覆は十七世紀のフランス製の古裂(更紗だと思う?)で作られ、嬉しく拝見させて頂きました。

小さな竹花入のお話が心に残っています。

裏千家十一代玄々斎お好みの竹花入の写しを三田富子さんが作らせたとのことでした。最近、三田富子さんの著書「取り合わせのくふう 茶道具」を読み直しているので不思議なご縁を感じました。
皆さまと「この花入にどんな花を生けたいですか?」と話し合ったのも好い思い出です。

思い出すたびに心がほっこりと温かくなるおもてなしが忘れられません・・・
本当にありがとうございました。

 

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