暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

のぼうの城  忍城へ(1)

2012年01月30日 | ハイキング・ぶらり散歩
「これ、面白いから読んでみたら・・・」
昨秋、手渡されたのが、「のぼうの城」(金子竜著 小学館)でした。
忍城(おしじょう)攻防戦を書いた小説を一気に読みました。

しばし、「のぼうの城」にお付き合いくだされっ!

天正18年(1590)、豊臣秀吉は天下統一を阻む、最後の勢力である小田原北条氏を
討伐するため軍を進め、関東一円は戦さの渦中にありました。
武蔵国北部に勢力を誇る成田氏の居城・忍城(現・埼玉県行田市)へも
豊臣方の大軍が迫ります。

石田三成を総大将に、大谷刑部ら2万を超す軍勢が忍城を取り囲みました。
忍城の軍勢は農民兵を含めてもわずか2千人。 
ところが、のぼうさま(でくのぼうのこと)と呼ばれている城代・成田長親(ながちか)は
武力に物を言わせ、強引に開城を迫る石田三成軍のやり方に反発し、
「戦いつかまつる」
開城するはずが、無謀にも決戦を宣言してしまいます。

                 
                        (忍城おもてなし甲冑隊・・・忍城にて)

成田長親、甲斐姫、正木丹波守、柴崎和泉守、酒巻靱負(ゆきえ)らの
主要登場人物が生き生きとえがかれ、彼らの個性と地の利をを生かした、
戦いぶりが痛快で見事です。
沼に囲まれた忍城へ攻め入った三成軍は湿地帯で足を取られ、
訓練されたゲリラ戦術により、さんざんな目に合い、敗退します。

緒戦で大敗した三成は、利根川と荒川の間に長大な堤を築き、
川の水を引き入れる、水責めという奇策をとります。
三大水責めの一つという忍城水責めは壮大なスペクタル感あり、
意外性ありで面白く、詳しくはご一読をお勧めです。
今秋、野村萬斎、佐藤浩一、成宮寛貴ら出演の映画も封切られるとか・・・楽しみです。

小説を読んで以来、大いに興味をそそられ
「いつか忍城を訪ね、史跡をまわってみたい」と思っていました。

                 
                         (グリーンロードの埴輪たち)
1月15日(日)の早朝、埼玉県行田市へ向いました。
高崎線・行田駅で降りると、駅下にある行田市観光案内所に寄って
地図や情報をいっぱい頂いてから、貸自転車(無料)を借りしました。

その日は風もなく、冬にしては温かな日和でした。
冬枯れの田園地帯を新幹線に添って走り、石田堤(鴻巣市)を目指しました。(つづく)

       のぼうの城 忍城へ(2)へ              


楽しさを感じる片づけ方

2012年01月27日 | 京都へ家うつりします
引っ越しの準備をしなくっては・・・と、気ばかりあせっています。
「何をどういう風に手を付けたらいいのかしら?」
茶友YさんへSOSのメールをしました。

  「京都へ持っていく荷物の取捨選択を始めていますが、
   すっきりお暮しのYさんにぜひともアドバイスをお願いします。
   一番苦手な分野かも? 」

  「片付けは大変でしょう。暁庵さんの場合、全て引っ越しされるわけではないので
   本当に必要な物だけお持ちになればいいわけです。
   着物類は多いでしょう。でも草履は数足、靴やバッグもそうですね。
   またキッチン用品など(この間宗箇展の時におしゃもじを買ったように)
   使い勝手の良いものだけにしましょう。・・・・・(中略)・・・

   要すれば「ときめく物」だけお持ちになって、残りはこの際「断捨離」しましょう。
   物は捨てなければどんどん増え続けます。
   本当に必要な物は買ってもいいですが、
   その場合は古くて使わなくなったもの、着なくなった洋服などは捨てることです。
   以上語り始めると止まりませんが、何かご質問ありましたら、なんなりとどうぞ! 」    

いつも寡黙なメールのYさんですが、どんぴしゃりの得意分野だったらしく、
本当に語り始めると止まらない勢いを感じました。

                

   「早速ですが、質問があります。
    どうせ片づけなくてはならないので、少しでも楽しくやりたいと思います。
    楽しさを感じる片付け方とは?? 
    また、捨てなければよかった・・と後悔したことはありますか? 」

すると、楽しさを感じる片づけ方の極意を教えてくれました。

   「さて、一つ目のご質問。楽しさを感じる片付け方。少々難問です。
    例えば整理ダンス(六段)を一竿全部片付けるとします。   
    一気に片付けようとすると、物が散乱し、収拾がつかなくなってしまいます。
    辛くなってしまいますよね。ですから、今日は一段だけ片付けようとする。
    そうすると意外に速く片付き、満足感が得られます。
    また弾みがついて次の一段あるいはもう一段も片付くかもしれません。

    要するにキッチンを丸々片付けようとするのではなく、
    キッチン収納の引き出し一つでもいいので、
    細々区切って片付けていくとストレスがたまりにくくなります。
    さっぱりして満足し、楽しくなりますよ。

    二問目、今まで捨ててしまって後悔した経験はほとんどありません。
    それよりもなかなか捨てられないで悩む方がストレスを感じます」     

               

Yさんから素敵なアドバイスを頂いて、「やる気」がでてきました。
早速、小さな引出し2個から始めました。
「できた~ぁ!」
これなら私にも出来そうです。 Yさん、ありがとう!  

さらにワンステップ上の片づけの極意をご自宅で伝授してくださることになり、
これまた楽しみが増えました。
さて、そろそろ引出し3個のお片付けをしようかな・・・。

                                
      京都へ家うつりしますの項    (前へ)    (次へ)     (トップへ)  


京都へ家うつり(2) 桐箪笥

2012年01月24日 | 京都へ家うつりします
母の形見の桐箪笥があります。
いつ、どうして我が家へ来たのか、思い出せません・・・。
古いものなので、処分すべきか、修理して使うべきか、悩んでいました。

母は着物道楽で、着物を次々と送り込んできました。
その頃、たぶんお茶もやってなく、仕事をしていた私は
「着物を入れる所がないし、これ以上送ってこないで!」
と断りました。
すると今度は、着物と一緒に箪笥が送られてきたのでした。
(桐箪笥はその一つらしい・・・)

娘がいつか着てくれるだろう、着てほしい・・・と、
着物を送り続けてくれた母が亡くなって2年が過ぎました。
お茶をやっているので着物を着る機会も増え、
「形見の着物を一枚でも一回でも多く着てあげたい」
と感謝しつつ袖を通しています(合掌 )。

                      
                         (古い箪笥を記念撮影)

その桐箪笥を京都へ持っていくことにしました。
「京都で着物を着るのなら箪笥があった方がよいのでは・・・」
という主人の意見もありましたけど、
どうしても捨てることができなかったからです。

それで、暮れに桐箪笥を修理してくれる専門店を探し、
品川にある林タンス店に依頼しました。

正月休みに帰宅した息子たちに話すと、
「やっぱ、おばあちゃんの箪笥は削り直して使い続けるのが正解でしょう」
と嬉しい賛同が得られ、みんなで箪笥を階下へ運び出しました。
すると、見た目以上に傷みが進んでいて、
背面の板が外れて竹釘が露出していたり、底が抜けかけ金具がとれていたり、
我が家へ来てからの歳月を物語っています。

先日、林たんす店へ引き取られていきました。
「二、三十年使えるようにきっちり直します」とのこと、
戻ってくるのが楽しみです。

思わぬ出費ですが、今は迷いがなくなって清々しい気持ちなのです。
形見の着物と箪笥を京都へ一緒に連れて行けるからかもしれませんね・・・。

                              

     京都へ家うつりしますの項  (前へ)   (次へ)    トップへ

いちねん会の初稽古(2) 茶カブキ

2012年01月21日 | 七事式&いちねん会
茶カブキは、室町時代に流行した「闘茶」がしのばれる七事式の課目です。
偈頌は「千古千今裁断舌頭始可知真味」。
(いにしえにいまに ぜっとうをさいだんして はじめてしんみをしるべし)

・・・いつも考え出すとあれこれ迷うので、
全身全霊で味わった最初の判断を大切にしようと心に決めました。
札を引き、正客Kさん、次客暁庵、三客Aさん、亭主はSさん、執筆者はIさんです。

試み茶が「竹田」「上林」の順で、亭主によって点てられました。
湯の量や練り方で微妙に味が違ってくるので、亭主はとても気を遣います。
それに少なくとも四服は濃茶を飲まなくてはならないので、
小服だと有難いのですが、流石でございました。
熱い濃茶を二口ほど、ゆっくり味わいました。

                  

亭主が茶巾を絞って畳み直し、水指の蓋をとり、帛紗を腰に付けると、
「何卒本茶を」
正客のKさんから声がかかり、
亭主は受けて、試み茶の棗を長盆へ戻し、棚正面で長盆を回し棚へ置き、
本茶の用意をします。
最初の本茶一服目が点てられ、味わって三客へ手渡しました。

一の折据がまわってきたので、私は「上林」と書かれた名乗り紙を入れました。
三客(末客)が名乗り紙を入れてから執筆者へ持っていきます。
執筆者Iさんが、客名の下に名乗り紙に書かれた茶師の名を記録します。

次に、二服目が点てられ、のみ終えるとすぐに二の折据、
少し間をとって三の折据がまわされます。
二の折据へ「竹田」、三の折据へ残りの名乗り紙(「客」でした)を入れ、三客へ。
三客も同様に名乗り紙を入れ、二と三を上下に重ね、執筆者へ持っていきます。
執筆者は前と同様に記録します。

二服目の茶碗が返ると
正客は「白湯を頂きたく・・・」と所望し、亭主は白湯を出します。
茶碗が返り、総礼。
亭主はどんどん仕舞つけをしていきます。
建水を引き、茶碗を引き、水次を持ち出し水指へ水を注ぎ、戻ります。

                  
                      ( こいつは新春から・・・  博多人形)

亭主は棚正面から棗の乗った長盆を持って執筆者前へ座り、
初服から順に棗の蓋裏を執筆者へ見せます。
執筆者は蓋裏に書かれた茶師の名を正客の名前の右下、初服の茶師の右肩に書きます。
順に、二服目、三服目を同様に記載します。

亭主は長盆を持って水屋へ下がり、執筆者は正解の人があれば最下段に全(ぜん)と書きます。
複数の全が出た場合には、上座の人が全、次からは叶(かなう)と書きます。

執筆者は奉書を巻いて、巻口の上を内側に少し折り込みます。
亭主が執筆者正面へ記録を取りに出ると、
「次客にお渡しください」と執筆者は挨拶して亭主へ渡しました。
 (ばんざーい! 久しぶりに正解でした・・・)

亭主から奉書が手渡されました。
執筆者は硯箱と文台を持って水屋へ下がり、亭主と互礼。
亭主のみ再び出て送り礼をします。
客は受けて、正客より順番に下がり、水屋で挨拶を交わしました。

初稽古の茶カブキで「全」と、水茎麗しく書かれた奉書を記念に頂戴し、
「こいつは新春から縁起がいいわいなぁ~ぁ」


    いちねん会の初稽古(1)へ        



いちねん会の初稽古(1)

2012年01月19日 | 七事式&いちねん会
松の内8日に壬辰(2012)年最初のいちねん会が行われました。

初釜気分の真っ最中の開催ですので、暮のうちにお尋ねしました。
「12時過ぎに切り上げ、どこか予約して新年会をしましょうか?」
それとも
「いつものお弁当にして、みっちり初稽古をなさいますか?」

皆さまの答えは、メンバーが月1回集まるのは貴重なことなので
稽古を優先したい・・・とのこと。 稽古熱心な仲間に大感激!

待合には大伴家持の年賀の歌、温かみのある芋版の画賛です。
  新しき年の始めの初春の
    けふ降る雪のいや重(し)け吉言(よごと)   大伴家持

床の軸をお読みあげ頂きました。
 「白雲深処金龍躍」  
 (はくうんふかきところ きんりゅうおどる)    
碧巌録の禅語で、紫野明堂和尚筆です。
さらに
  白雲深處躍金龍
  碧波心裏玉兎驚 (へきはしんり ぎょくとおどろく)と続くそうです。

金龍は太陽、玉兎は月を表わしています。
辰年の初めにふさわしく、白雲深き処にも輝かしく太陽が龍の如く登る様子が
眼前に浮かび、どんなに困難な時であっても必ず太陽が昇る明日が来る
・・・と勝手ながら解釈していました(調べてみてくださいね・・)。

                      

課目は、最初にAさんの亭主で回り炭。
亭主は炭台、巴半田、筋半田など回り炭の準備から始めます。
その間に午後の茶カブキの準備です。
亭主(Sさん)が茶を履き、執筆者(Iさん)が折据や執筆の道具を調えました。

回り炭では、複数の炭を持つことと風情ある炭の置き方を
みんなで頑張りました・・・が、埋火から火を熾せず残念でした。
来月の五事式では「埋火から炭火を熾す」ことが上手にいきますように。

                  

平花月で薄茶を頂きましたが、一番難しい課目だったかもしれません・・・。
基本の基ですが、確認事項が続出したり、さっと動けなかったり、
花月の偈頌は「互換機峰看子細」ですが、ほど遠い状態でして
「もう一度、平花月をやりたいわね」と異口同音。

ちょっぴり豪華なお弁当で昼食。
いつもKさんがお手製の椀を用意してくださいます(アリガトウ!)。
この日は海老イモ、鶏の丸(絶品でした!)、人参、青菜、柚子の入った煮物椀。
愛情あふれる煮物椀に舌鼓し、
お弁当もしっかり平らげて午後の茶カブキに備えました。(つづく)

        いちねん会の初稽古(2) 茶カブキへ