(孤高の大欅・・・葉を落とし、逞しい裸体の彫像みたいに堂々と立っている)
12月22日はS先生の東京教室の今年最後のお稽古でした。
3つの班に分かれていて、暁庵の属する2班が個人点前をご指導いただきました。
その日の科目は、真之炭手前(Oさん)、大円真(Rさん)、台子の濃茶(暁庵)、台子の貴人清次薄茶(Iさん)、昼食をはさんで、逆勝手上げ台目で薄茶(I氏)、貴人清次濃茶付花月(3班)、壷莊付花月(1班)でした。
・・・そして、いつもいろいろな刺激を頂いています。
(白椿の大木・・・炉開きの頃から咲き始め、いつもお世話になっています)
その1つ、Rさんが大円真をなさいました。
Rさんの大円真をうらやましく思いながら拝見していました。というのも奥伝はどれも長く、途中で左膝が悲鳴を上げそうなので遠慮しています。
コロナウイルス対策で客は一人、Iさんです。縁高でお菓子が運ばれ、お点前が始まりました。
いつも美味しいお菓子が用意されていますが、この日は練り切りで銘「紅歌(こうか)」(浅草・千茶製)でした。
大円真の菓子は7種なので、Rさんは「紅歌」の他に6種のお菓子を用意していました。6種は主にドライフルーツで、プルーン、デーツ(DATE)、ピーカンナッツ、ナッツ、クルミ菓子、林檎(生)です。中にはRさんの故郷のアメリカから持ち帰ったものや自家製も含まれていました。
今までに何度も奥伝をご指導頂いていましたが、お菓子の持ち出しは思いつきませんでもうびっくりし、 同時にS先生のお稽古に対するRさんのお気持ちがひしひしと伝わってきました。
お茶の稽古とは先生から一方的に学ぶものではなく、教わる方もそれなりの努力をしてこそ良い稽古になる・・・と思っていたので、Rさんに大いに刺激を受け、とても感動したのです。
(青空に映える五葉松・・・大好きな木だが2本あったのが1本になってしまった)
もう1つは、逆勝手上げ台目薄茶の客をしました。
上げ台目という設定も珍しいですが、逆勝手も新鮮でした。
台目切は、茶室の炉の切り方(八炉)の1つで、出炉の形で点前畳が台目畳のことを言い、点前畳が丸畳の場合は上げ台目切と言います。
興味深いお話をS先生から伺いました。台目構え(台目切炉・中柱・釣棚からなる点前座の構えをいう)について南方録に興味ある記述「台目構えには台子が封じ込められている」があるそうです(詳しくはこれから南方録を調べますが・・・)。
それで、水指、茶入、茶筅などを置く位置が台子と同じなのだ・・・と大いに納得です。
お点前さんはI氏、逆勝手を感じさせないようなすらすらと美しいお点前で、薄茶を点ててくださいました。大海を薄茶器にしたご趣向に目を奪われ、割り高台の萩茶碗や唐津焼水指に魅せられました。
茶杓をお尋ねすると、能がお好きだったという玄々斎作で銘「幽清」と応えられ、一瞬、「ここが能舞台でI氏のお茶事に来たみたい・・・」と思ったほどです。
「どうぞお仕舞を・・・」のタイミングを逸して困っていたら、さりげなく白湯を入れてくださいました。「薄茶も白湯も美味しゅうございました。ありがとうございます!」
・・・・S先生と素敵なお仲間とお稽古できることに感謝して、足腰が痛くっても頑張って続けていけたら・・・と願っています。