暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

再び車で四国遍路・・・「ネスト・ウエストガーデン土佐」に泊まる

2022年06月29日 | 再び車で四国遍路

      (ホテル「ネスト・ウエストガーデン土佐」)

      (すぐ近くの浜辺には流木や鳥の足跡が・・・)

 

今回の四国遍路の旅で泊まりたかった宿が高知県に2つありました。

高知県幡多郡入野の「ネスト・ウエストガーデン土佐」と高知県津野町にある「星ふるビレッジTENGU」です。

「ネスト・ウエストガーデン土佐」は歩き遍路の時に傍を通って以来、「いつか泊まってみたい」と憧れていました。今まで2回宿泊していますが、毎回泊まりたくなるホテルです。

部屋はシンプルなツインのバストイレ付、窓から海や灯台、松原が見えますが、ホテル全体のナチュラル感が気に入っています。別棟に広い浴場があり、温泉ではないのですが、とても癒されました。

素敵なホテルだと思うのですが、宿泊者が少なく、そこも気に入っているところです。

 

     (ワイルドな花壇やグリーンが魅力的なガーデンテラス)

    (ホテル内のショップ・・・手づくり製品を売っています)

早朝、散歩に出ると、すぐ近くに「志々島の大くす」で紹介した「母の塔」がありました。

乳がたっぷり出そうな盛り上がったおっぱい、肉付きたっぷりの腹回り、太く逞しい手足、とても親近感を覚えます。

母へのオマージュの碑があり、原始古代から一家の長として強く、慈愛に満ち、太陽のように輝やいている「母の塔」です。

       (「母の塔」と母へのオマージュ)       

  

      (寄せてはかえす白波と戯れて・・・)

       (鳥の小さな足跡をいっぱい見つけました・・・)

海岸へは5分足らず、そこは砂地の浜辺になっていて、盛り上がっては砕け散る波をみつめ、幼子のように戯れていると、心が洗われるような気がします。 人気のない砂浜には鳥の足跡が鮮明に残り、いろいろな足跡を発見!しました。

アートにしたいような流木がたくさん流れ着いていて、1本を旅の記念に持ち帰りました。点前座の結界に使えたら・・・と。

朝食後、9時過ぎに出発し、この日(6月4日、5日目)は38番金剛福寺月山神社40番観自在寺をお詣りし、宇和島城天守閣に初めて上り、宇和島泊でした。(つづく)

 

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再び車で四国遍路・・・阿羅漢のお言葉

2022年06月28日 | 再び車で四国遍路

    阿羅漢のお言葉・・・28番大日寺門前の仏具屋さんにて

 

6月3日(4日目)、「リゾートホテル海辺の果樹園」を8時半に出発し、次の順に札所を回りました。

この日はお気に入りのホテル「ネスト・ウエストガーデン土佐」(高知市幡多郡入野)を予約していたので、長距離移動の日になりました。(珍しく36番青龍寺~37番岩本寺の約60キロを運転しました)

28番大日寺~29番国分寺~30番善楽寺~31番竹林寺~36番青龍寺~37番岩本寺~「ネスト・ウエストガーデン土佐」(泊)

 

     28番大日寺の本堂(本尊は大日如来、行基が刻んだという)

     (お詣り前に鐘を衝きました・・・28番大日寺)

28番大日寺・・・朝いちばんに訪れた大日寺は山中にあり、清々しい気持で鐘を衝き、お詣りしました。

大日寺門前の仏具屋さんにとても心惹かれる掛物(?)が2枚あり、店の方に

「あの掛物の言葉が何とも素晴らしく心に響きました。1枚ずついただきたいのですが・・・」

「あれは売り物ではなくカレンダーなのです。私も阿羅漢さんのお言葉がとても気に入ってあそこに貼っているのです」(注釈:羅漢とは悟りを開いた高僧を言い、阿羅漢と呼ばれ、羅漢は阿羅漢の略称)

「そうでしたか・・・残念ですが、今日はとても良いお言葉に出会いました。ありがとうございます。お呼び立てしてごめんなさい」

・・・お茶を教えていると、未熟ゆえにいろいろな迷いがあり煩悩も生じますが、阿羅漢のお言葉に出会い、そんな頭の中のもやもやが晴れていきました。

        (こちらも阿羅漢のお言葉です)

     (29番国分寺の趣深い本堂(金堂、重要文化財))

29番国分寺・・・聖武天皇の勅願によって建てられた土佐の国分寺、山門をくぐると、柿葺(こけらぶき)の大屋根が美しい本堂(金堂)が向うに見え、ゆっくり金剛杖の鈴の音と共に胸を膨らませて近づいていきます。創建当時の礎石が残る広い境内は静寂そのもの・・・季節の花が無言で出迎えてくれました。

金堂(重要文化財)は戦国時代に長曾我部氏によって、天平時代の建物を模して再建されました。御本尊は千手観音菩薩です。

国分寺はお抹茶が頂ける貴重な札所です。方丈の庭を見ながら、今回も薄茶と名菓「土佐日記」をいただきました。

 クリックしてね

     (国分寺方丈の庭を見ながら薄茶をいただきました)

 

      (青楓が美しい竹林寺の入り口)

31番竹林寺・・・いつもお詣りだけでそそくさと立ち去っていたので、今回は時間を掛けることにして宝物館と書院の庭を拝見しました。

宝物館には藤原時代から鎌倉時代にかけての諸仏が安置され、一つ一つ見ごたえがありました。折しも、堂本印象の「渡海文殊」が特別公開中でした。たしか竹林寺には堂本印象の障壁画があると伺ったことがあり、宝物館で「渡海文殊」を拝見できただけでも有難いご縁でした。

初めて拝見した書院の庭は国の名勝に指定されていて、北西南の向きによっていろいろな見方や楽しみ方ができるそうです。

遍路の身にはあれこれ考えずに自然を取り入れて作られた庭園を座して眺め、一休みしました。庭園も見事ですが、境内の庭は美しい緑苔に覆われていて、苔寺を思わせます。

      (竹林寺書院の西庭・・・座して一休み)

 

36番青龍寺・・・高くそびえる石段はかつて相撲の朝青龍が上り下りして体を鍛えたとか・・・きつく長い石段先に本堂と大師堂があり、本堂に波切不動明王が祀られています。

上りはゆっくりマイペースで行けば何ともありませんが、下りは膝に来るし「もう大変!」・・・金剛杖と手すりに頼りながら慎重に下ります。

  (上りは良いけれど下りが苦手・・・青龍寺にて)

     (祈りと紫陽花の遍路道・・・36番青龍寺へ)

青龍寺近くの遍路道には紫陽花が美しく咲き、特に青色の紫陽花がこの道にお似合いだと思いました。八十八カ寺の石仏たちも生き生きと見えて、大好きな遍路道です。

37番岩本寺・・・御本尊さまがたくさんある不思議な札所です。四国八十八カ所中で唯一、五尊の本尊(不動明王、聖観世音菩薩、阿弥陀如来、薬師如来、地蔵菩薩)を安置しています。真言を唱えるのが大変・・・。

さらに本堂には全国の有志が描いたという天井画が彩を添え、ちょっと変わった魅力のある札所(宿坊あり)です。

   (岩本寺本堂の現代アートのような天井画がユニークで楽しい!)

岩本寺から一路、この日の宿「ネスト・ウエストガーデン土佐」を目指しました。(つづく)

 

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再び車で四国遍路・・・3日目は室戸岬を越えて

2022年06月25日 | 再び車で四国遍路

   (番外霊場・御厨人窟(みくろど)・・・弘法大師が修行し、悟りを得た霊場

 

6月2日(3日目)、「民宿ちば」を8時半に出発し、次の順に札所などを回りました。

19番立江寺~22番平等寺~23番薬王寺~(甲浦港)~番外霊場・御廚人~24番最御崎寺~25番津照寺~(道の駅・キラメッセ室戸)~26番金剛頂寺~「リゾートホテル海辺の果樹園」(泊)

 

        (尺八さんの思い出がある19番立江寺の大師堂)

19番立江寺・・・ここは尺八さんと再会した思い出のある寺です。早朝なのであの時よりももっと人が少なく、今にも尺八の音色が聞こえてきそう・・・。献茶は無しですが、心こめて般若心経を唱えました。

境内には牡丹がたくさん植えられていましたが、花はとっくに終わり、今はシモツケや金糸梅が満開です。

 

      (シモツケが咲き乱れる立江寺の境内)

     (22番平等寺・・・からりとどこまでも明るい、素敵なお寺です)

22番平等寺・・・絶対に寄りたくなる、お気に入りの札所の一つです。それは秘仏を公開してくださったという平等寺の姿勢が大好きで、寺のあちこちにあたたかな心遣いを感じます。

 

      (涼しげな花手水で手を浄めると心が和みます)

青楓の花手水、弘法大師が掘ったという霊泉(井戸)、弘法大師が刻んだという薬師如来、釈迦入滅の涅槃図、本堂の優美な天井画、身近に拝謁できる弘法大師(大師堂)など、見どころも話題も満載です。お遍路さんのための休み処もあり、ゆっくりお詣りし、平等寺の心意気やお接待を体感しました。

折しも、遍路中でしょうか、大師堂内陣で若い尼僧が読経していたので、しばし聴き入り、小声で唱和しました・・・「南無大師遍照金剛」。

 

   (23番薬王寺の山門・・2人とも足を痛めてお詣りした経験が蘇ります)

      (第23番薬王寺からの眺め・・・心地よい風が吹き抜けて・・)

23番薬王寺・・・御本尊は薬師如来が祀られています。

別々に歩き遍路の時、ここまで来てツレはマメをつぶしたり、暁庵は足首の甲の皮がはがれたりして、薬師如来さまにおすがりした経験があります。

本堂からは日和佐の町並が広がり、輝く海や小島の眺めが素晴らしく、真夏日でしたが涼しい風が吹き抜けていきます。厄払いの盤(鐘)があり、歳の数だけ打つとご利益がありそうですが、打つ数が多すぎてすぐに諦めました。

 

  (昭和の港町の趣きを感じるという甲浦(かんのうら)港へ寄り道しました)

 (第24番津照寺・・・竜宮城を思わせる山門と125段の石段)

室戸三山と呼ばれる、24番最御崎寺(虚空菩薩)、24番津照寺(地蔵菩薩)、25番金剛頂寺(薬師如来)は古刹の趣きを感じる札所です。

24番津照寺は室津港の近くにあり、漁師町の賑わいや美味しい魚の匂いが漂います。津照寺門前の食堂(遍路休憩所?)で刺身定食(700円)を注文し、遅めのランチです。刺身は港で水揚げされた大物のカンパチだそうで、油がのっていて最高に美味しかった。

竜宮城のような山門が魅力的な津照寺ですが、本堂へのお詣りは見上げる石段(125段)を登らなければなりません。大師堂は下にあるのですが・・・、お気に入りの札所は階段が多いところばかりです(トホホ)。

 

(道の駅「キラメッセ室戸」のトイレの花           クリックしてね!

 ・・・上方にはツバメの巣、下方に注意書きとフン対策の新聞紙)

津照寺を後にして、前回の四国遍路で車中泊をした道の駅「キラメッセ室戸」へ寄りました。懐かしさもありますが、もちろん前回感激した花のトイレに寄りたかったので・・・。

トイレの3カ所に美しい花が生けられていて、おまけに子育てに励むツバメを気遣う注意書きがありました。とても優しい気持になり、どんな方たちが掃除をし、花を生けているのかしら?・・・気になります。

 

       「リゾートホテル海辺の果樹園」のかわいいチャペル

この日は高知県香南市夜須町の「リゾートホテル海辺の果樹園」に宿泊しました。

豪華なリゾートホテルなのでお遍路さんには場違いのようですが、「お遍路さん特別割引」や「ホテル特別割引」などを適用してくださり、だいぶお安く泊まることが出来ました。感謝! (つづく)

 

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再び車で四国遍路・・・2日目の札所

2022年06月23日 | 再び車で四国遍路

   (333段の石段の途中にあるお堂で一休み・・・10番切幡寺にて)

 

順不同でごめんなさい。思いつくまま書き始めましたが、2日目に戻ります。

今回の「再び車で四国遍路」では、12番焼山寺20番鶴林寺など山道や極端に狭い道を通らなければならない札所はパスすることにしました。

また、前回はロープウェイのあるところは全て利用したのですが、今回はロープウエイを使える21番太龍寺、66番雲辺寺などの札所は全てパスしました(乗り場まで山道が多いので)。

もう一つ、番外札所は山上や辺鄙な所が多いので、今回は全てパスしました

そんな我儘な遍路ですが、札所はおおらかに受け入れてくださるのが有難いです。

 

6月1日(2日目)は安楽寺宿坊を出発し、次の順で札所10カ所を回りました。

(6番安楽寺)~4番大日寺~5番地蔵寺・五百羅漢地蔵寺~8番熊谷寺~9番法輪寺~10番切幡寺~17番井戸寺~16番観音寺~15番国分寺~14番常楽寺~18番恩山寺~(民宿ちばで宿泊)

 

      (4番大日寺の山門と鐘)

4番大日寺・・・明るい境内には季節の花が咲き乱れ、山紫陽花が見ごろでした。とても綺麗好きという印象があります。鐘はお詣り前に衝くことになっていますが、大日寺は山門の上に鐘があり、行きに気が付いて良かった。

今回は許可があれば鐘を衝くように心がけました。

鐘を無心に衝き、手を合わせると、余韻が静かに心の中に広がって行って、何とも言えぬ充実感を覚えます。鐘の音、特に余韻はいろいろあって個性的ですが、一番難しいのは「無心になる、無心で衝く」ことかもしれません・・・。

 

       (5番地蔵寺の大師堂と大銀杏)

5番地蔵寺・・・広い境内には銀杏の大木があります。

奥の院の羅漢堂へ通じる道には辰濃和男氏の著書「四国遍路」(岩波新書)で紹介された

   百薬に優る 遍路へ出でにけり

という句碑があります。階段を登り奥の院へ一歩一歩近づいていく瞬間が忘れられません(現世から別世界へ行くような・・・)。

    (仏さまが見守り、趣のある羅漢堂の手水場)

古い井戸と仏さまが見守る手水場で心身を浄めます。昔、堂守の老女がいらした木戸小屋にはもう誰もおらず、寂寥が・・・。

   堂守の 老女きりりと 夏衣         暁庵(2回目?の遍路で)

   寂しさは 蜘蛛の巣ゆらり 羅漢堂      暁庵

入場料200円を箱に納め、羅漢堂をお詣りしました。以前、歩き遍路の時、一人だったので優しいはずの五百羅漢像が不気味に感じ、こわごわ詣でたことを思い出します。今回はツレと一緒でしたがやはり怖かったです。それでも寄りたくなる奥の院です。

 

        (8番熊谷寺山門の眼光鋭い仁王像)

8番熊谷寺・・・こちらも好きなお寺。特に少し離れた所にある風雪を感じる大きな山門と仁王像がお気に入りです。山門の横には田圃が広がり、丁度田植えが終わって早苗がきれいな頃なのですが、残念ながら1枚だけが田植えが終わっていて、後は休耕田のようでした。

   (田植えが終わったばかりの田圃・・・8番熊谷寺山門 隣)

   (焼き芋はお接待です・・・9番法輪寺の茶店)

9番法輪寺・・・田園の中にある、のどかな印象のお寺です。ここも門前の店が閉まっていて、かつての餅などを売っていた賑わいが無くなっていました。駐車場前の風流な茶店でアイスコーヒーを頼むと、鳴門芋の焼き芋をお接待してくれました。

  布とハサミを手にした「きりはた観音」

10番切幡寺・・・弘法大師が修行中、ほころびた僧衣を縫うために娘に布切れを求めると、縫っていた布切れを断ち切って渡した。娘は千手観音となり、寺に祀られた・・・という寺伝があります。

山中にあるので333段の石段を登らなければなりませんが、お気に入りの寺の一つです。石段途中に仏さまが見守るお堂(休憩所)があり、ここにたどり着くと切幡寺へ来た、またこのお堂で休憩できた・・・と喜びが湧き上がってきます。さらに女坂(33段)、男坂(キツイ42段)の石段が続きます。

     (朱塗りの鮮やかで立派な仁王門・・・井戸寺)

      (弘法大師由来の「面影の井戸」)

17番井戸寺・・・駐車場から遠回りして正面の朱色の山門から入るようにしています。弘法大師が一夜にして掘ったという伝説の「面影の井戸」があり、井戸の水面に顔を写して、無事息災を確認し、祈願しました。

 

       (常楽寺本堂と「流水岩の庭」)

14番常楽寺・・・常楽寺へ向かう池のある遍路道は自然石の庭と共に記憶に鮮明です。

「流水岩の庭」と名付けられた庭は自然の岩盤が断層のように重なり、ユニークでインパクトのある庭となっていて、毎回楽しみにお詣りします。

 

流石に10カ所の札所を回るとへとへとになり、16番観音寺では熱中症気味になりました。最後の方はお詣りだけで精いっぱい、印象も感想も曖昧になってしまいました。

この日は18番恩山寺入り口にある「民宿ちば」に宿泊し、ご主人手作りの本格的な和食に舌鼓でした。(つづく)

 

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再び車で四国遍路・・・志々島の大くす

2022年06月21日 | 再び車で四国遍路

    (志々島(香川県三豊市)の大くす・・・ボランテイアさんが草刈り中でした)

 

車で四国遍路の途中で「日本一の大杉」などの大樹に出会いました。

中でも「志々島の大くす」はテレビで何度も紹介されたので、この機会に志々島を訪れ、大くすに逢いたいと思いました。

6月9日(第10日目)、祖谷渓温泉・ホテル秘境の湯を8時過ぎに出発し、68番神恵院と69番観音寺へお詣りしてから香川県三豊市詫間町の宮下港を目指しました。

志々島行きは一日3便で、宮下港12時45分発の船に乗ると、志々島着が13時5分なので、約20分の船旅です。帰りは15時55分発が最終なので、約3時間の滞在でした。

 

     (志々島港)

志々島には最も多い時には約800人の島民がいたそうですが、過疎化が進み、現在の住民は19名です。

デッキで風に吹かれて景色を見ていると、すぐに志々島港に着きました。立派な寺や人家がありますが、ほとんどが無住になっています。

 

    (案内板があちこちにあります)

 

     (休憩所からの景観)

「大くすはこちら」という標識に導かれて、家の間の狭い道を登って行きました。15分ほど上った所に休憩所のベンチがあり、こちらで瀬戸の海や島を眺めながら一休みしました。しばらく行くと下り坂になり、草を刈っている人たちに出会いました。

「今日は志々島の有志と近隣のボランテイアが一緒に草刈りをしています。どちらからですか?」

「横浜から志々島の大くすを見に来ました」

「せっかくいらしたのに草刈りの人が大勢いて、賑やかですみません・・・」

とんでもありません。きっと草刈り前は歩くのが大変なくらい草が高く生い茂っていたことでしょう。

丸亀市方面から約50名が第一便の船に乗って草刈りに参加していて、年2回の恒例行事だそうです。

それで、きれいに刈られた道を通リ、念願の「志々島の大くす」に対面することが出来ました。

 

 (「志々島の大くす」・・でっぷりと太い幹は逞しく、祠が祀られています)

 (ネストウエストガーデン土佐近くにある「母の塔」)

大くすは樹齢1200年とのことですが、でっぷりと太い幹は逞しく、なぜかネストウエストガーデン土佐(お気に入りのホテル)近くにある「母の塔」を思い出しました。「原始女性は太陽であった・・・」原始時代の逞しく豊かな肉のついた母親像を連想し、モクモクと元気に幹を太らせ、天に向かって伸ばした枝と輝く緑葉が大きな谷を埋めつくしています。

折れた太い枝は枯れるどころか、枝から新たに根を下ろして養分や水分を補充し、今なお若々しく成長し続けているという驚異の「志々島の大くす」。

そのパワーを授かりたいものです。木幹に顔を密着させ、大くすの心音を聴きたいと耳を傾け、しばしその懐に抱かれていました。

 


    (天に向かって枝を縦横無尽に伸ばしています)

大くすの谷上にある「楠の倉展望台」で瀬戸内海の長閑な景色を見ながらおにぎりをほおばっていると、土地の古老がやってきて、かつて大くすの周りに数軒家があったことを伺いました。今は跡形もないのが不思議なくらいです。

7月中旬になると自生の姥百合が「大くす」の周りで咲き乱れ、それは見事だとか。

 

   (「孝子さんの花畑」では紫陽花が見ごろでした・・・右側は「花小屋」です)

 

かつて志々島に800人が住んで漁業や農業に勤しんでいたころの賑わい、花畑で花を栽培し出荷に忙しかったころの話、今は花づくり農家の最後の一人「孝子さんの花畑」を見ていってほしいと言われました。

「孝子さんの花畑」は春から夏にかけていろいろな花が咲いて見事だそうで、花の見ごろはナデシコ(4月下旬~6月下旬)、芝桜(3月下旬~4月下旬)、キンセンカ(4月上旬~5月上旬)、紫陽花(5月下旬~6月中旬)です。

ちょうど紫陽花が見ごろで夢中でシャッターを何度も押しました。

 

「くすくす」という休憩処でアイスコーヒーを飲んだりしていると、あっという間に帰りの船の時間になりました。

来るときの乗客は10名だったけれど、帰りの船(最終便)はボランテイアさんと一緒になったので定員70名近くになりました。

この日(6月9日、10日目)は75番善通寺の宿坊(香川県善通寺市)で泊まります。(つづく)

 

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