暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

如月の教室だより・・・スウェーデンの生徒さん  その2

2017年02月28日 | 暁庵の裏千家茶道教室

 お出迎えの桃の花・・・やっと咲き始めました(2月18日)


2月18日、変わらぬ穏やかな笑顔のOさんと7ヶ月ぶりにお会いしました。
洋服とばかり思っていたら、紫色の着物と同系色の帯をお召しです。
こちらで買って、娘さんの所へ置いて帰ったとか・・・。
早速、薄茶平点前と濃茶平点前をお稽古しました。
炉なので建水を持って座る位置が難しく、歩き方から何回かやり直しました。
それでも嫌な顔一つせず、目を輝かせて取り組んでくださる姿に感動します。

今回は1ヶ月しか滞在しないので、予め稽古内容の希望を伺いました。
・・・すると、
「一番の希望は炭点前です。スウェーデンでなかなかお稽古できないので。 
 後はもう少し考えてお返事いたします。 
 今回はツレも一緒なので孫の子守は任せて水曜日のお稽古にも参加させていただけたらと思います」

Oさんのヤル気とこちらでの稽古を楽しみにしている様子がびんびん伝わってきました。



22日(水)はOさんの2回目の稽古です。
今日は紺系の紬の着物、帯も前回と違います。
着物はOさんの母上から譲られたものだそうですが、着物でのお稽古は所作が身に付くので大歓迎です。

ご希望だった初炭手前、もう一つは四ヶ伝の唐物をしてもらいました。
2月から教室に入られたばかりのTさんがOさんの稽古を熱心に見学しています。

炉の炭手前は灰器を持って最初に座る位置が難しく、何度かやり直しました。
灰器の扱い、羽箒の掃き方、湿し灰の撒き方・・・Oさんだけでなく、なかなか難しいようですが、
近道はなく、ゆっくり稽古を積み重ねて、身体に覚えさせることが大事だと思っています。

スウェーデンでも炭を焼いているところがあるとか。
日本の炭とは違うでしょうが、炭手前をスウェーデンでも挑戦してほしいです。
あと2回ほど炭手前を稽古していってくださいね。



”春は名のみ”で外は冷たい風が吹いていますが、教室の中はポカポカと温かく、
時に生徒さんの熱気をあつく感じ、喜んでいます。

「養之如春」 (これを養う春の如し)
あせらずゆっくり歩んでいきましょう! (これは自分に言い聞かせる言葉です)


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如月の教室だより・・・スウェーデンの生徒さん  その1

2017年02月22日 | 暁庵の裏千家茶道教室


スウェーデン在住のOさんが2月14日に再び来日しました

Oさんは昨年4月から3ヶ月間、東京から熱心にお稽古に通ってくださいました。
1月末に嬉しいメールと写真が届きました。
スウェーデンの冬ならではの暮らしぶりやお茶を頑張っている様子が手に取るようです。



 Oさんのメールより

2017年がもう1ヶ月過ぎようとしていますが、先生はいかがお過ごしでしょうか。 

ブログでの先生の詳しい説明に初釜の様子が手に取るように感じられます。 
素晴らしいお道具、懐石料理!   
日本は冬といっても椿や梅の花が楽しめるからこちらより暖かいのですね。 
今年はスウェーデンも温かい冬ですが、それでも湖には氷が張っています。

先週末孫2人を連れて、普通は夏だけしか使わないサマーハウスへ泊まりました。 
この家の中は暖房が入っていて暖炉もあるので寒くはありませんが、
トイレは外、水道もなく、かなり近代的社会からは程遠い感じです。 
テレビもないし孫達とゲームをし自然を楽しみました。 
私はあまり気が進まなかったのですが、連れと孫に一緒に来てくれと頼まれて・・・。 
湖の氷が薄いかもしれないから危ないと心配していたのに、湖をスケートで滑っている人達を見て何時間も外で遊んでいました。



  サマーハウスへ泊りました
                  

  何時間も外で遊んでいました

私達の日本旅行出発もいよいよ2週間後になりました。 
2月14日に東京へ着きます。 
それで2月18日のお稽古へ伺わせていただきたいと思いますが、先生のご都合はいかがでしょうか。
ちょっと早いかなと思いましたが、東京へ着いてからより早めにお願いした方がいいかなと思い、メールを書いています。 
後のお稽古は先生とお会いしてから相談したいと思いますが、よろしくお願いします。

週末に日本人会の新年会があり、淡交会のメンバーでお茶を出す予定です。 
子供のために餅つきもあり、他にもどんな催しものが用意されているのか楽しみで、孫2人を連れていく予定です。 
5人の女の子の孫が皆一緒に行きたいといってますが、5人もおじいちゃんにお願いするのはちょっと大変だから2人だけ。
他の3人は来年ねと説得しています。 

日本でお会いできるのを楽しみにしています。 
社中の皆様へよろしくお伝えください。     Oより


・・・2月18日、Oさんがお稽古にやってきました!    (つづく)


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五葉会の初稽古 in 2017

2017年02月20日 | 暁庵の裏千家茶道教室



2017年2月17日は遅ればせながら五葉会(七事式の勉強会)の初稽古でした。
1月はお休みだったので2ヶ月ぶりの五葉会を一同、とても楽しみにしていました。
それに、初稽古と言うことでランチは豪華(?)にお寿司、これも楽しみでした。

床の掛物は「春水満四澤」、足立泰道老師の御筆です。
科目は、仙遊之式、投込花月、昼食後に香付花月です。




仙遊之式は廻り花から始まります。
花が少ない時なので集まるかしら?と案じていましたが、早春の花をたくさんお持ち頂き感謝です。
花入は萩焼の耳付にしました。
毎回、FさんとKさんがノートに記録してくださっています。

 仙遊之式

   桃  雪起し               宗厚
   桜  黒ぼうし     三       宗悦
   桃  姫辛夷      一       宗里  二
   桜  木五倍子          東  宗曉  一
   黒文字  金魚葉椿  二   半東 宗智  三


客方は花を入れる前に次客へ「お先に」、先客が戻ってきたら「上げさせて頂きます」と挨拶しますが、
東は戻ってきた三客へ「上げさせて頂きます」と挨拶してから半東へ「お先に」、
半東は東が戻ってきたら「上げさせて頂きます」とだけ挨拶します。
ワンパターンの挨拶でないところがポイントの1つです。
「どうぞお水を」は正客が言います(且座では東)。


       黒文字と金魚葉椿

炭は本炭所望、三客が炭を継ぎます。
香になり、正客と次客が本香と次香を焚きました。
折から障子に春の陽光が射し、庭の梅の木の影が映って墨絵のようです。
伽羅ともう1種の香を聞き回しながら、優雅で平和なひと時を皆で歓び合いました。

ランチの後、暁庵の大好きな香付花月です。
嬉しい正客(月)が当り、香包み三種「初音」「春の雪」「雛まつり」より「雛まつり」を選びました。


           暁庵宅の豆雛

 香付花月之記
 
  雛まつり夜ごとさざめく吾が雛は
      身の丈三分ばかりなれども      宗曉

  床の間にひそりとおわす二柱(ふたはしら)
      雛のささやき心通いて         宗厚

  松風の 音に誘われ 雛まつり        宗智

  初孫の健やかなれと祈り込め
      家族で祝う雛まつりの膳       宗里

  桃花笑み雛の一行清くあり
      見守るように家族のように      宗悦

                    出香    宗曉
  香銘  雛まつり


最後に折据を回し、花を引いた宗悦さんが記録紙を戴きました。

五葉会では、わからないところは時に厳しく時にやさしく注意し合いながらやっています。
皆で知恵を出し合うのがなかなか面白く、時に宿題になったり、本で確認したりします。
「七事式は、良きお仲間と楽しく、とにかくやり続けることが大事」と思っています。
皆さま、今年も宜しくお付き合いください。 

 
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「春は名のみ」の正午の茶事・・・(3)一座建立の心意気

2017年02月15日 | お茶サロン&ご近所さんと茶会

 木五倍子、山茱萸、四手辛夷、蕗の薹
 花入は揖保川焼、池川みどり作です

(つづき)
全員が初対面の茶事であっても、一座建立の心意気さえあれば、とても素敵な茶事になる
・・・日頃思っていることですが、「春は名のみ」の正午の茶事がピタリ当てはまりました。
全員の心意気が一つになって、美しくもはかない夢のような早春のひと時でした・・・。

お心こもる後礼のメールを頂戴し、嬉しく何度も読み返しました。ありがとうございます!
茶事の思い出に3通を掲載させて頂きます。

 正客Aさまより

昨日は茶事にお招き頂きまして、誠に有難うございました。
何もかも、お心のこもったおもてなしに深く感激しております。
まるで夢のようでございました。
時の経つのも忘れ、すっかり長居をいたしまして申し訳ありませんでした。

初対面であっても、同じ茶の道に進む者であれば、お互いの思いやりによって、
「和敬清寂」の一座建立がなされるのだと、暁庵様に教えて頂きました。
未熟な正客にもかかわらず、温かく受け止めて頂き本当に有難うございました。
これからは、亭主にもなって茶の道を歩んでまいりたいと存じます。
そしていつか暁庵様を拙宅にお招き致したいと思っております。
どうぞこれからも宜しくお願いいたします。
誠に略儀ながらメールにて御礼申し上げます。       Aより





 三客Yさまより

11日は心のこもったお茶事にお招きいただきありがとうございました。
~ 春と聞かねば 知らでありしを ~
まだまだ寒い日々の中で 春を待つ「今」を楽しんだ1日でした

露地を歩けば 昨夜の雪が 少しずつ白からキラキラ透明な玉になっていきます。
それはそれは美しくて 見入ってしまいました。
掴めばすぐに消えていくキラキラが今日の一期一会の喜びと儚さの様です。
初炭のどっしりした胴炭とたっぷりの炭が
「どうぞごゆるりと」と雄弁に歓迎を伝えてくれて
お炭のもう一つの役目を発見しました。

ご亭主に時間とお手数をたくさんかけてもらった懐石は
見た目も美しく おいしく 心も体も温まりました。
そして「時にあらず」と「声を立てなかったうぐいす」の代わりに みんなで鳴いて面白かったです。
八寸は千鳥ではなく うぐいすとなりました。
楽しいうぐいす徳利と猪口のご用意ありがとうございました。

後座の床は 壁にかかった露が 美しく弧を描き 
まるで 山の風情で 山居にいる様でした。
いざ濃茶 亭主の真摯なお点前に 客一同誠心誠意で答える緊張感、
こんな茶会に来たかった  ・・・ 今来ています・・・・・幸せです

お薄の二碗目は主客入り交じり お茶を点て合い、
初対面の方々と 気持ちがとけ合ったように感じました。
お見送りをいただき 返礼で目を落とした先に
キラキラの珠が解けているのが見えました。
また一期一会の言葉が聞こえ 胸が熱くなりました。

暁庵さまのお心入れに あらためて 深く感謝し お礼を申し上げます。
そしてまた そのお考えにとても共感しております。

ご準備から当日、それから片付けと休むいとまがないと存じますが
どうぞお体をおいとい下さいますようにお願い申し上げます。
またいつかお会いできますように        Yより




 詰Mさまより

昨日は美味しい懐石、お酒、ワイン、お菓子をご用意して頂きまして
とても美味しくお茶を頂戴させて頂きありがとうございました。

炊き立てのご飯、お汁、温かいかぶら蒸し、美しい真薯のお椀、焼き魚、たくさんの預鉢
どれも美味しく感動しました。
二俣川産のふきのとうの天ぷらはとても嬉しかったです。

暁庵様の茶の湯サロンでは初めてお会いする方々との出会いがいつも楽しみで
今回も皆様が初対面とは思えないくらい、駅での待ち合わせ時から既に知り合いだったかの様な
親しみを感じ、お茶事の間は和気あいあいとした時間でした。
暁庵様の趣向を凝らしたサロンでとても楽しい一日でした。
うぐいす徳利で盛り上がり、突然の参加型のちょっとドキドキのお席がまた楽しかったです。

暁庵様はきっとお疲れの事と思います。
まだまだ寒い日も続きますので、お身体大切になさってください。
そしてまた楽しいサロンのお誘いお待ちしております。        Mより

   

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「春は名のみ」の正午の茶事・・・(2)一期一会のご縁

2017年02月14日 | お茶サロン&ご近所さんと茶会



「あらっ!」
茶事の朝、外を見ると、昨夜の雪がうっすらと露台に残っていました。
凍り着いた雪を融かすのが大変ですが、雲一つない青空に幸先の良さを感じます。

お客さまは6名様、正客Aさまは東京都墨田区、次客Kさまは千葉市稲毛区、三客Yさまは静岡県袋井市、
四客Iさまは神奈川県藤沢市、五客Wさまは川崎市麻生区、詰のMさまは東京都品川区からお出ましくださいました。
詰のMさま以外は初めての御目文字でしたが、主客とも緊張と期待に胸ふくらませて茶事の日を迎えました。

茶事にはいろいろなハプニングが付き物ですが(?)、
直前に五客Wさまが足を打撲され、長時間の正座が困難との相談を受けましたので
初座では喫架と椅子を、後座では小机と椅子を用意させていただきました。
どんなことにも動ぜず受け止め、最善をつくす亭主として心構えをお茶の神様に試された気がしました。
一番に申し込み、楽しみに待っていらしたWさまのお気持ちに添うことが出来て、ヨカッタ!です。

板木が打たれ、半東Fさんが甘酒をお出しし、腰掛待合へご案内しました。
いよいよ迎え付けです。
何とも言えぬ緊張感が漂い、一期一会の不思議なご縁が凝縮された一瞬です。

「どうぞお入りください」
席へ入り、改めてお一人お一人と挨拶を交わすと、もう旧知のような親密感が漂ってきます。
皆さまのお顔が柔らかく、期待と喜びで輝いていらしたのがとても印象に残っています。
代表していろいろお尋ねくださる正客Aさま、見事な正客ぶりが頼もしく、ご連客様も安心して座を愉しめたことでしょう。



待合に「灑雪庵(さいせつ)」と書かれた額を掛けました。
京都で住んでいた町家・灑雪庵に掛かっていたもので、今日の茶事の趣旨を表わしています。

京都の町家は築年数不明、戸や壁の大きな隙間から風や雪が舞い込んできそうな古家でした。
それで「灑雪庵」と名付けました。
戸の隙間から降り灑ぐ(そそぐ)雪を愛でる風流心を大切にしたい、その心を忘れぬようにしたい・・・と。

床の掛物は、「春水満四澤」(しゅんすいしたくにみつ)足立泰道老師の御筆です。
降った雪が早や融けて、大地を潤していく水音に春の足音を感じます。

茶事次第は、席入、初炭、懐石、菓子、中立、後入、濃茶、続き薄茶(二服目は員茶にて)です。

特筆すべきは懐石でしょうか。なんと!暁庵と半東Fさんの二人で作り、お出ししました。
思いばかりで身体が思うように動かぬ暁庵に代わり、Fさんが獅子奮迅の働きで助けてくださいました。
お客さまのお口に合ったようで安堵しています(一番懐石が心配だったかも・・・です)。
写真を撮る余裕は全くなく、記念に懐石献立を記しておきます。

 
   主菓子の「早春賦」  


  干菓子の「うぐいす煎餅」と「早蕨」


主菓子は「早春賦」、干菓子は「うぐいす煎餅」と「早蕨」、いずれも打出庵・大黒屋製(横浜市日ノ出町)です。


「春は名のみ」の茶事の懐石献立 (平成29年2月11日)
  汲み出し  甘酒(しぼり生姜)
  つぼつぼ  紅白なます
  向付    蕪蒸し  聖護院蕪  鯛  銀杏  白茸  山葵 
  汁     白味噌仕立て  蓬麩  大根  
  煮物椀   蟹真蒸  菜の花  人参  花麩  柚子
  焼物    銀むつ西京漬
  炊合せ   海老芋  鳥団子  椎茸  青菜
  預鉢    芹の胡麻和え
        根昆布  椎茸
  小吸    のし梅 
  八寸    鴨ロース  蕗の薹の天麩羅
  湯香    こがし湯  沢庵  赤カブ  千枚漬
  酒     越乃寒梅
  ワイン   ルバイヤート甲州シュール・リー(・・・らしい)

ワインは、旅行計画中のMさまを引き留め、詰をお願いしたので特別に用意したものです。
Mさまから次のようなお褒めのメールを頂き、嬉しいです。

梅の季節に合わせ『越乃寒梅』『梅酒』の間に『ルバイヤート甲州シュール・リー』がとても美味しく、
お酒をあまり召し上がらない暁庵様の取り合わせは、素敵でした。


      「春は名のみ」の正午の茶事・・・(3)へつづく   (1)へ戻る