暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

茶道点前の三要素

2009年07月29日 | 稽古忘備録
だいぶ前の話ですが
「茶道点前の三要素とは?」
と、K先生からお尋ねがありました。

「え~と、順番と位置でしょうか? それから・・・・」
なかなか三要素がわかりませんでした。

三要素とは、順番、位置(道具を置く位置、正面など)、所作です。
三要素は稽古を積むことで身に付いてくるものですが
「所作」が一番難しい要素だと思います。

先日、茶友のKさんの真之行・台子点前を拝見しました。
美しい点前という表現よりも「所作」にしっとりとした
やさしさが感じられる点前です。
細かいところの間合いも素晴らしいと思いました。

稽古のあと、遅い昼食のとろろそばを食べながら、
二人で稽古や点前のあれこれを話し合いました。

「Kさんの真之行・台子点前、うっとりしました。
 所作が素晴らしく、しっとりしたやさしさを感じました。
 以前お習いした先生の所作をきちんと受け継いで
 いらっしゃるように思いました。
 その先生はどんな所作のご指導をされたのかしら?」
 
「えっ!本当ですか? そう言っていただいて嬉しいわ」
 と喜んでくれました。さらに

「私は決してやさしい人間ではないのですが、
 やさしさを感じてくださったとしたら
 やはり以前お習いした先生のおかげですね。

 先生はどんなお道具でも 
 「これはとっても大事なお道具だから・・・」と言って
 その扱いについては点前中にも度々ご注意されていました。
 そのおかげで、所作に自然と心が入っていったのかもしれません・・・」

Kさんがお習いしていた先生はご高齢のため
だいぶ前に茶道のご指導をおやめになったそうですが、
先生の心と「所作」はKさんへ、そしてKさんのお弟子さんへ
「清流無間断」の如く、受け継がれていると思いました。

Kさんとご一緒にお稽古できることが嬉しいです。


                 その日はのち急に

  写真は蓮華ショウマです。

骨董市

2009年07月28日 | 茶道具
「やまとプロムナード・古民具骨董市」へ行ってみました。
相鉄線大和駅前の東西のプロムナードで、
毎月第3土曜日に開催されています。

すぐに着物のリサイクル屋さんで、泥染め大島紬の
巻きスカートが目にとまりました。
短めだけれど、紐をつけて稽古着にしようかしら?
お店の人を捜しましたが、見つかりません。
それで、ご縁がなかったとあきらめました。

骨董市に限りませんが、ご縁がない、値段が折り合わない、
または違和感があったら、潔くあきらめることにしています。
違和感は第六感を含めて経験的なものですが、私は大事にしています。

いろいろな年代の男女、厚木基地が近いのでアメリカ人の子供連れ、
お店の人も韓国や中国の方など、骨董市は無国籍文化村のようです。

不思議な空間に惹きつけられました。
古い洗いざらしの木箱や板木に白ペンキを雑に塗っていました。
これだけで流木のようなナチュラルな味わいを醸し出しています。
そこにいろいろなアートを飾っていました。

アートは貝、タイル、ガラス、車廃材の鉄、何かの部品による
オブジェですが、とてもステキです。
何でも工夫とセンスでアートになるのだなぁ~と感心しました。
その一角だけ、別の風が吹いていました。

2時間以上、うろうろして三点お買い上げです。
一番のお買い得(?)は、風袋と外題のある軸でしょうか。
語句は「私捨清寂」、八十六歳の方の筆です。
出店の隅に捨てられたように置かれていたせいか、
ついいろいろな読み方をしてしまいました。

 私捨清寂(ししゃせいじゃく)・・・
 私を捨てて清寂あり・・・
 私捨(わしゃ)清らかに寂す・・・
 私(われ)清寂を捨つ・・・

軸飾りの稽古に大切に使わせていただきます。
それから、青磁の香合とバティク風の布地。
値引き交渉の結果、トータルで ? 円也・・・ナイショです。


                      

見立ての茶道具  木工ロクロの薄器

2009年07月26日 | 茶道具
神奈川県藤野町の「藤野ぐるっと陶器市」で
立ち寄った妙心窯にて、
もう一つの見立ての茶道具に出合いました。

妙心窯の案内に
「陶工、伊藤泰紀のムササビの住む陶房」とありましたが、
納得のいく古びた家屋があり、灰釉の陶芸作品が林の中の
テーブルに並べられ、木漏れ日の中で輝いていました。

妙心窯で私が惹かれたのは、
「百姓、須田二郎による木工ロクロ作品」です。
サクラ、クヌギ、ナラで作られた皿、深鉢、カップ、スプーンなどの
作品は木目や色など木の持ち味が見事に生かされていました。

須田二郎さんとお話しながら、サクラの鉢を手に取り、
サクラが持つ隠れた美しさに目を見張りました。
「木が持っている自然の美しさを引き出せたらと削っています」

薄手の木地なので汚れを心配すると、
「サラダボールにぜひ使ってみてください。
 オイルの入ったドレッシングが木地に馴染んで、
 とてもいい味をだしますから・・・」
・・・でもこわくて、まだ使っていません。

もう一つ、蓋のある小物入れを薄器に見立てて買いました。
本体はサクラ、蓋はゼブラウッド、摘みはくるみで、
木のコラボレーション。
須田さんの手にかかると、3つの木が寄り添って、
面白い味わいになるから不思議です。

「おまけ」にクヌギの小皿を付けてくれました。
蓋のある小物入れはシュガーポットにも使えそうです。
茶道具以外の使い方や他の器との合わせを
工夫するのも面白そう!

写真は、小物入れとクヌギの小皿です。

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見立ての茶道具  建水

2009年07月24日 | 茶道具
最近、見立ての茶道具に興味を持ち始めました。

「藤野ぐるっと陶器市」へ行った時のことです。
神奈川県藤野町は芸術家や工芸家が多く住んでいて、
芸術のまちとして知られています。
自然豊かな山里に点在するアトリエやお店を車でぐるっと、
個性溢れる器や作品を見ながら廻りました。

第一のお目当ては「ギャラリーゆめさき」です。
茶事でお世話になっている翆晶庵の横山さんが昨年ここで
ステキな七宝焼の菓子器に出合っているのです。
同じような菓子器は・・・と探しましたが、
今は作っていないそうでがっかり・・・。

「ギャラリーゆめさき」のメタルクラフトの店「アトリエ シュンケン」で、
銅製の打ち出しの壷(?)が目に入りました。
壷の上には小さな植木鉢がのせられています。

お店の方に値段を尋ねると、
「すみません。これは売り物ではなく、植木鉢の台に使っています」
「あらっ!とても気に入ったので売ってくれませんか?」
「ちょっとお待ちください。聞いてきます・・・」

壷の作者、小林健太さんが現れました。
交渉の結果、売っていただくことになりました。
私が建水に使うつもりだと言うと、
「それではちょっとお待ちください。ここの汚れを少し磨いてから、
 裏に名前を入れますので」
と、とても丁寧に対応してくれました。

やはりメタルクラフトを製作されている奥様の吉岡旬子さんも顔を出し、
展示作品についていろいろお話を伺いました。
奥様の作品も、とても芸術性の高い素晴らしいものでした。

作家ご夫婦の顔がわかる建水を入手できて、
とてもシアワセな気分になりました。


      

写真は「アトリエ シュンケン」の作家ご夫婦と小林健太作の壷(建水)

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茶道は楽し(茶道楽)  七事式

2009年07月20日 | 七事式&いちねん会
七事式の稽古をしました。
科目は、仙遊之式、軸荘付花月、四畳半花月です。

仙遊では二客をひき次香をたきました。
メガネを忘れて香を箸でつかむのに汗をかきました。
「本香おたきそえを」のときも上手に掴めず、稽古不足を痛感しました。
メガネのせいにはできませんね・・・。
本香は羅国、次香は佐曽羅です。

軸荘では月をひき、軸を掛けさせていただきました。
これも見るとやるでは大違い、またまた修練不足を発揮しました。
毎回、軸をかけるときには軸荘の稽古をしよう!と今は思っています。

四畳半花月では花(亭主)をひきました。
すぐの座替わりで、何も考えずにぼっーと立って後ろに下がり、
あるべき壁を透明人間のように突き破り、ご注意を受けました。
集中力不足を反省しました。
                    

・・・というわけで、今は稽古の回数を重ねたいと思っています。
修練不足の私ですが、七事式が大好きです。

みんなで気持ちを合わせて行うこと、炭、花、香、和歌など
普段の稽古とはちがう要素があり、これがとても楽しみなのです。
悩みは、五人揃わないと稽古ができないことでしょうか?
月2回はしたいのですが、今は先生宅の1回だけです。
ご一緒できそうな同好の方、ご一報を・・・。

七事式のげじゅより
今日は次のげじゅを選んでみました。

「且座  是法住法位 (しゃざ  このほうは ほういに じゅうす)」

写真は七事式のげじゅ