暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

鷺草が育っています

2021年05月13日 | 暮らし

  (今、ベランダの睡蓮鉢に黒メダカが棲んでいます

 

姫路在住のSさまから鷺草の鉢が届きました。3月のことです。

モコモコの水苔に球根が植え付けられているそうですが、影も形もありません。

4月初めに小さな芽を発見した時の嬉しさ!

数えてみると20個はあります。

以前に鷺草を頂いた時は3年目には芽が出ず、枯らしてしまったので、今度こそ大事に育てたい・・・と思いました。

それからは水やりにも気合が入って、Sさまのご指示通リに週1回米のとぎ汁を1日置いたものをあげています。

 

    「鷺草」・・・最初に芽出しを確認した時の写真

 

 

    (水遣りとお日様のおかげでこんなに大きくなりました)

 

GW明けにSさまから鷺草を育てる「秘伝書」が届きました。A4の用紙に手書きでびっしり書かれています。

なんでも鷺草の師匠から譲り受けた時に言われたことを書き留めたものだとか。

鷺草は日当たりの良い湿地に自生する日本原産のラン科の植物で、姫路の市花になっています。

贈られた鷺草は姫路市内のどこかの自生地から採取した球根だそうで、園芸種と育て方が多少違うようです。

花が咲くのも園芸種より1カ月近く遅く、8月になるそうです。

鷺草が咲いた時のあの感動をもう一度味わいたい・・・それで秘伝書を頼りに頑張ってみようと思います。

コロナウイルスの緊急事態宣言(東京都ほか)が5月末まで延期され、ワクチン予約の電話が終日つながらず、落ち込んでいた時なので、すくすく育っている鷺草に大いに元気をもらいました。

 

   (青空に満開の薔薇が美しく映えています)

 

5月29日(土)の「薔薇の茶会」が近づいてきました。

コロナ対策をしっかりして、このような時期にもかかわらず来てくださるお客さまを心からおもてなししたい・・・と気持ちを引き締めています。

しばらく忙しくなりますので、ブログをお休みします。

 

 


颯々の今日庵にて・・・(3)

2021年05月06日 | お茶と私

 

長々とお付き合いくださいまして、ありがとうございます。

忘れないうちに・・・と一生懸命思い出しながら書いていますが、はや記憶が・・・

つづき)

看月の間で親授式が行われました。

それに先立ち、業躰先生のご指導でリハーサルが行われ、皆で練習しました。気持を合わせて礼を揃えたり、歩く動作や拝受の仕方を確認をしたり、皆、一生懸命でした・・・そして、皆で熱心に練習したことが今思うと、とても良い思い出となっています。

利休道歌「その道に入らんと思ふ心こそ 我が身ながらの師匠なりけれ」やお言葉を唱和した後、お家元が入って来られました。そして、親授式のお言葉を賜りました。

既に断片的にしか思い出せませんが、少しでも記憶に留めるために記します。どのお言葉もずっしりと重く、心に静かにしみわたって行きました。

 

今日から茶道を教えるプロとしての第一歩が始まりました。

「教授」になったからと言って何か特別なものが備わったわけではなく、「教授」という厳しい修行が新たに始まったのです。

弟子に問われてわからないこともあるでしょう。しかし、その場を適当に切り抜けて終わるのではなく、

「わからないけれど調べてお答えします」と素直に言える先生になって、しっかり勉強して伝えて欲しい。

 

「教授」という名前の持つ真の価値が自分に備わったかどうかは難しく、自分では到底わかりません。

けれども、もしかしたら弟子たちが教えてくれるかもしれません・・・。

 

最後のお言葉は、いつも生徒さんに教えられることが多い暁庵には何よりの今後の指針のように思われました。

茶道教室を開いた時の座右の銘養之如春(これを養う春の如し)を思い出しました。

これからもゆっくりと、されど一歩一歩確実に、生徒さんと一緒に茶の道を歩いていけたら・・・と思います。

 

 

2階の聴松の間でお家元から一人ずつ教授の許状を拝受しました。

数日前に右足首を捻挫し正座が大変だったので、椅子を用意してくださいました。

拝受の折も立礼のままいただくという心温まるご配慮をいただきました。(「えっ!お家元を立たせたのですか?」とツレに言われましたが・・・)

「足をくれぐれも大事にしてください」というお言葉を掛けてくださって、感謝感激しています。

ありがとうございました!

 

 

親授式が無事終わり、茶道会館の2階広間の立礼席(御園棚と喫架)でお菓子と薄茶一服を頂戴しました。

日頃、ご指導頂いているS先生のお点前にてお菓子と薄茶一服を頂戴できましたのも、忘れられない思い出になりました。

ご用意いただいたお道具も親授式をお祝いするおめでたいものばかりで、嬉しく拝見しました。

お軸は「豊楽萬歳歓」、お家元の御筆です。

花は紅椿の蕾と若葉(雪柳?)、花入は今日庵の庭前の竹で作られた一重切、銘「つれづれ」です。

御園棚のお釜は淡々斎お好みの常盤釜、水指は桶側(清渡り)、扇面蒔絵大棗(お家元の花押)、二節の珍しい茶杓は玄々斎作で銘「福寿」です。

主茶碗は、赤楽で15代直入作、お家元の銘「千年の翠」です。前日、楽美術館で「やわらかなぬくもり展」を見てきたばかりなので興味深く拝見しました。赤楽茶碗ですが赤の部分は少なく、白灰色の釉薬がたっぷり掛かっていて、削りが柔らかな印象でした。替茶碗は高麗堅手です。

・・・・こうして親授式が無事に終わり、感無量です。

 

 

(記念撮影をI氏にお願いしました・・・4月23日)

1つだけ心残りが・・・、それはコロナウイルス禍でもあり、京都や関西在住の茶友や友人たちと会えなかったことです。ご迷惑をかけても・・・と思い、どなたにも知らせず、誰にも会わずに京都から帰ってきました。

こんなことは初めてですし、今回だけでお終いにしたい・・・とコロナ終息を切に願っています。

 

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颯々の今日庵にて・・・(2)

2021年05月03日 | お茶と私

 

つづき)

4月23日(金)はいよいよ親授式でした。

1年以上前に誂え眠っていた着物が役に立ち、それを着て、再び今日庵へ向かいました。

着物はうす鼠色がかかった藤色に地紋のある紋付、銀鼠色地に白で草花文が織られた帯を締めました。

12時前に茶道会館へ着くと、守衛さんやお玄関さん始め会う人ごとに

「本日はおめでとうございます」と声を掛けてくださったのが、とても嬉しく晴れやかな気持ちになりました。

 

     (稲荷山の鳴子百合の群落・・・令和3年5月1日撮影)

 

茶道会館の「心花の間」へ入って待っていると、「あらっ? 冷房が入っているのかしら」

・・・冷房ではなく、爽やかな微風がサワサワと新緑の庭から吹き渡っていたのでした。

目をつむって颯々の風に身を任せていると、「クックウ~クックゥゥ~」山鳩の鳴き声が聞こえてきます。

お床のお軸は「主人公」。

「主人公をしているか?」鋭く問いかけられる筆勢ですが、お名前が読めません。

折しも今日庵の方がいらしたので伺ってみると

「皆さま、本日はおめでとうございます。

「心花の間」の「主人公」は鵬雲斎大宗匠の参禅の師、後藤瑞巌師の御筆です。

今日の親授式は平成会館で行われます(修繕が完成した今日庵を期待していたのでちょっと残念でしたが・・・)。最初に「看月の間」でお家元からお言葉を頂戴します。こちらには「看月」と書かれたお家元の扁額があります。お床には「教外別傳 不立文字(きょうげべつでん ふりゅうもんじ」のお軸が掛かっていまして、大徳寺・雪叟和尚(う~ん・・・だったと思う?)の御筆です。

その後、2階の「聴松の間」に移動していただき、そちらでお家元からお一人ずつ許状を拝受いたします。「聴松の間」のお軸は「白珪尚可磨」が掛かっております。

どのお部屋にも今日の親授式にふさわしいお軸が選ばれ掛けられておりますので、どうぞご覧ください」

 

  (清楚な銀蘭の花・・・近所の里山で令和3年5月2日撮影)

 

とても丁寧な説明を伺って、思い切って「主人公」の筆者を伺ってヨカッタ!、それぞれの禅語が意味するところを心して考えながら拝見できたら・・・と思いました。

・・・・ところが、お家元から直接許状を授与された「聴松の間」のお軸が全く記憶にないのです。「白珪尚可磨」のはずなのですが・・・

きっときっと緊張していたのでしょうね。お家元の表情やお声掛けしてくださったお言葉はよく覚えているのですが、背景にあったはずのお軸が空白のままです。

 

 

さて、話は戻って「心花の間」。全員が揃ったので順番に名前を呼ばれ、兜門をくぐり、平成会館の「看月の間」へ移動しました。グループは13名、S先生の東京教室で共に研鑽に励んでいるI氏もご一緒です。暁庵は最後に呼ばれました。コロナ禍なので密にならない様、数回に分けて親授式が行われているようです。

兜門をくぐると、露地には水が清々しく撒かれ、こちらでも業躰先生方に「おめでとうございます!」のお声を掛けて頂きました。ありがとうございます!

 

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