暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

吾亦紅(われもこう)

2017年08月27日 | 暮らし
    

       「吾も亦(また)
            紅(くれない)なりと
                 ひそやかに」    高浜虚子



「大文字 夕去りの茶事」を無事終えて、気がゆるんだのでしょうか?
夏風邪をひいてしまい、いまだに咽喉の痛みと咳が治りません・・・。
治ったかしら? と思い、23日に暁庵の茶道教室の「茶箱まつりと暑気払い」を敢行したら、翌々日に風邪がぶり返して声がでなくなりました。

一日も早く、夏風邪を治したい!と思うのですが、暑かったり、冷房では冷えすぎるし、難しいです。
ちょっとのんびりして、9月2日の「白露の朝茶事」へ備えようと、今は静かにしています。

21日の夜10時過ぎのことです。
夜の公園の様子を見たくなり(なぜか時々見たくなります・・・)、外へ出ると玄関の脇に吾亦紅の花束がありました。
「吾亦紅(われもこうなり)}という名前の通り地味な花ですが、あふれるばかり大瓶に生けると華やかな秋色になり、大好きな花です。

すぐにN氏が八ヶ岳の山荘から届けてくださった・・・とわかりましたが、夜更けにひそやかに届けられた花束にもうもう感激しました。
アリガトウゴザイマス! 

早速、23日の「茶箱まつりと暑気払い」に使わせてもらいました。
ススキを添えたいと思いツレに頼んだのですが、すぐ近くにあったススキが全部刈られていたとかで、なかなか帰ってきませんでした・・・。


 吾亦紅とススキ・・・・・唐華彫花瓶(井上良斎造)に生ける

追伸・・・今年の夏風邪は性質(たち)が悪いです。どうぞご用心ください!



葉月の茶事支度の悩み

2017年08月11日 | 暮らし
            


暑さに立ち向かっていく気持ちで茶事に取り組むことにしました。
(止せばいいのに・・・どうせ、年寄りの冷や水だろうから・・・と言う声が聞こえてきます)

  「年寄りの冷や水」
   年寄りが、強がって冷たい水を浴びたり飲んだりして、無理をする言動をいう。
   自分の年齢も考えずに無茶をすることは健康に良くないことから、それを自虐的に言ったり
   周りがたしなめたりするときに使う。「冷や水」は「冷水」とも書く。「江戸いろはかるた」の一つ。


しっかし、茶事をしたいという自分の気持ちに素直に応じて「茶事をしよう!」と思います。
「年寄りの冷や水」と言われようと、茶事をしている方が不思議と元気です。
5月頃までは「体調が悪くなるといけないから・・・」と、いろいろな事を無理して自粛していた気がしますが、今は「なにかあったらその時に対処しましょう」に変わってきました。

            
              今年は葛の花が早く咲いたような・・・7月26日撮影

今、8月16日に迫っている「大文字 夕去りの茶事」の茶事支度を進めています。
この度の茶事は、恩師N先生から背中を押された気がしています。
「もう夜咄の茶事はしないので、茶事が好きな貴女さまに有効に使って頂ければ・・・」と灯火道具一式を有難くもお譲りくださったのです。

先ずは灯火道具の点検から始まりました。
雀瓦の古い油をゴシゴシ洗って取り除き、灯芯を確認します。
電池仕様の灯火もあり、乾電池を取り換えます。
夜18時45分~19時頃の中立に合わせてスケジュールを組み立て、その時間の庭の暗さ、灯籠や足元行燈の明るさを確認したり、生い茂る庭木の剪定が気になったり、蚊取り線香の数など・・・。

            
             水不足で、心配していた槿「日の丸」が咲きました

でも、一番気になるのは茶道具の取り合わせです。
風炉なので点前座の位置を含め、お客様の目線になってああしたり、こうしたり試行錯誤しています・・・・ 
ところで、道具の取り合わせの約束事・・・どなたさまがどのような根拠で決めたのでしょうか?
備前、信楽、丹波などの土物(無釉薬)の水指には棚を使わない、
地板のない泡清棚、猿肱棚などなら運びで使える、
棚には陶器の蓋置を用い、棚でも水指が畳付きの場合は竹の蓋置になる・・・などなど。

「う・・・ん、この水指とこの棚を使いたいけれど、あちら立てればこちら立たず、どうしよう??」と3日ほど我欲に捉われて(?)悩んでいます。
棚を使うかどうかで、炭手前も違ってきます。初座で棚に香合を荘りたいし・・・。
もうちょっと悩んでみて、自分なりの結論を出すことにしましょう。
いろいろな雑念が気持ちよく洗い流せたら好いのだけれど・・・。

「茶事とは全身全霊の出会いである」
・・・・尊敬する堀内宗心先生の凄い!お言葉です。
暁庵としては今茶事ができることを無上の喜びとして、楽しみながら頑張ろうっと。 
私の茶事にお出まし下さるステキなお客さまと共に・・・。 




8月1日のこと・・・旧小坂家住宅とスタバ二子玉川公園店

2017年08月08日 | 暮らし

       世田谷区の花、鷺草・・・旧小坂家住宅にて

8月1日(火) のち

「香合と香炉」展を見に、静嘉堂文庫美術館へ歩いている途中のことです。
どこかで「暁庵さん・・・」と呼んでいるような声がしてキョロキョロ・・・。
すると、わざわざタクシーから降りた女性が手を振っています。京都のSさんでした! 
静嘉堂文庫から次の美術展へ向かう途中で私を見つけ、声を掛けてくださったのでした・・・嬉しい束の間のSさんとの再会です。
ツレが二子玉川に勤めていたので、週1回通ったというとんかつ屋さんでランチにしようと。
生憎、店がお休みだったので他店を探していたところで、何というピンポイントの偶然なのでしょうか、今日は好い事がありそうな気がします・・・。


      鷺草展が開催中です

昼食後、静嘉堂文庫へ行く途中、「旧小坂家住宅」を初めて見学しました。
多摩川の河岸段丘である国分寺崖線添いには明治から昭和にかけて、財閥、政治家などの別邸がたくさん建てられていました。
「旧小坂家住宅」(世田谷区瀬田四丁目41番21号)がかろうじて元のまま残っています。
実業家であり政治家でもあった小坂順造氏の別邸として昭和12年(1937年)に建てられ、渋谷区にあった本邸が戦災で焼失すると、以後は本邸として使用されました。現在は世田谷区により管理・公開されています。


 こちらが玄関です・・・高い天井の太い梁と土間に持ち主のこだわりが・・・


 書院のある広間・・・昭和の建築なので備え付けの空調完備です


 広間の奥にある六畳の茶室・・・とても好い雰囲気でした


 床は珍しい織部床・・・壁上部に板が一枚貼られていて、軸を掛けます


 茶室の近くにある洋室、暖炉の上にある洞床が気になります


   昔の洋室のセピア色の写真をパチリ


 仏教美術がお好きだったらしく仏像(観世音菩薩?)が安置されていたのですね
 (ここでカメラの電池がなくなりました・・・

それから静嘉堂文庫の「香炉と香合」展を見て、帰りは雨が降り出したのでバスで二子玉川駅へ出ました。
雨がひどくなりつつある中を、国分寺崖線添いの別荘群の1つで、二子玉川公園に移築されたという旧清水家住宅・貴真園(きしんえん、旧小坂家住宅で教えて頂きました)を訪ねたのですが、運悪くお休みでした。

貴真園以外建物もなく、人気もなく殺風景な公園の頂上にガラスの城のような「スタバ」がポツンと聳え立っていました。
雨が急にひどくなり、先ほどから気になっていた「スタバ」で雨宿りすることに。

何かこの世ではないような隔絶された雰囲気を感じながら
「この雨だし、きっとガラガラよね」と階段を登って行きました。

なんと・・・満席に近く、これにもびっくり。
パソコンを拡げている人、子供連れのママさんたち、若いカップル、受験勉強(?)中の学生など・・・。
入店前に受けた印象とは違い、ごく普通の人たちがそれぞれの憩いの時を過ごしています。
雨はますますひどくなり、ガラス窓を激しく叩いて唸っているのですが、こちら側は天国でした。
私たち老夫婦もアイス珈琲とアイスココアをすすりながら、不条理&アンバランスな空間と時間を愉しみました。

この世ではないあの世のような雰囲気(激雨のせいもあってネ・・・)のスタバ二子玉川公園店が気に入り、貴真園と共にまた訪れたいと思っています。   



白露の朝茶事にいらっしゃいませんか? ・・・・満席になりました

2017年08月03日 | お茶サロン&ご近所さんと茶会
              

文月のS先生の東京教室のお稽古で
「昔の茶会記を読むと、朝茶事が多く、冬でもすることが多かった・・・」
というようなお話を伺いました。
(えっ!冬でも朝茶事? 皆さん、お忙しかったのかしら? そういえば、夏の朝茶事すらしていない・・・)
という反省もあり、朝茶事をがんばります。 

初風が吹く頃に「白露の朝茶事」にて御茶一服差し上げたく、下記の如くご案内申し上げます。
朝茶事・・・といっても大分遅い時間のご案内ですが、どうそいらしてくださいませ。

南仏&スウェーデン旅行
で求めた茶道具(??)も登場するかもしれません・・・。
心からご参席をお待ち申しております。        暁庵


「白露の朝茶事」のご案内

1.日時  平成29年9月2日(土)
      8時30分席入(15分前までにご参集ください)

2.席  拙宅・暁庵  横浜市旭区今宿
     相鉄線二俣川駅下車(2台駐車可能、参加の方にアクセスなど別途お知らせします)
     電車の方は二俣川駅8時集合で如何でしょうか?)
     
3.会費 1万円 (当日お持ちください)

4.お客様  4~5名様

5.概要(予定):8時半席入~炭~別室(椅子席)にて朝食~菓子~中立~濃茶~つづき薄茶~12時半解散予定

6.参加資格:初めての方もリピーターの方も他流の方も大歓迎でございます 

7.応募方法:メールにてお申込みください(氏名、住所、連絡先電話、簡単な茶歴(流派)など)
 メールアドレス:akatuki-ane@grace.ocn.ne.jp

8.応募期間:8月3日(木)~8月13日(日)まで(定員になり次第、応募を終了いたします)

その他:満席になりましたら、この欄の追伸にてお知らせいたします。 



         
                横浜・三溪園にて
         朝茶事と言えば・・・「蓮見の朝茶事」を懐かしく思い出します(涙)  


追伸) 本日満席になりました。 ありがとうございます。 
 ご検討中の皆さまには誠に申し訳ございません・・・またのご縁がありますように。(8月5日)



茶杓「寧」のこと

2017年08月02日 | 茶道具
           
                   ギャラリー&カフェ「寧」の表札

皆さま お暑いですね・・・


  暑中お見舞い申し上げます    
            
                   暁庵



海外旅行から帰った次の日の朝9時のことです。
時差と疲れもあって泥のように眠り込んでいました。
「姫路のKさんから電話! 留守中にも電話があったので早く出なさい・・・」とツレ。

深い深い海の底の眠りから引きずり出されるように電話に出ると、

「Kです。お帰りなさい。お疲れでしょうから手短にしますね。
 ブログの「「染谷英明-茶盌展-」・・・屋敷森の「寧」にて」を読んでびっくりしました。
 カフェ「寧」と我が家の設計士さんが同じだったご縁で、昔、行ったことがあるのです。
 エントランスにあった「寧(ねい)」の字、丁寧の寧という字。
 実はあの字に惹かれて、暁庵さんが茶会にいらした時に掛けた軸「洗心」は「寧」の筆者さんに特別に書いてもらったものなのです」
・・・と一気にKさんは興奮気味に話します。

            
            
                    屋敷森のカフェ「寧」にて

「洗心」・・・もちろん覚えていますが、
確か筆者は障害のある方ということだったけれど、その字はなんの穢れも慾もなく、心が洗われるようだった・・・と、半分眠っている頭の中でかろうじて思い出しました)

「驚くやら嬉しいやら・・・暁庵さんとはやっぱりご縁があるのですねぇ・・・。
 このことをどうしてもお伝えしたくて・・・お疲れのところごめんなさい」
こうしてKさんからの電話が終わり、再び深い眠りに落ちていきました。 

           
                なぜか? 屋敷森の「寧」には猫の道しるべがあちこちに        

数日後、ギャラリー&カフェ「寧」で個展をされた染谷英明氏へ電話しました。
「スウェーデンから帰りましたので、そろそろ茶碗を送ってくださいませ。
それから・・・と、Kさんからの電話のことをお話しし、
ギャラリー&カフェ「寧」とKさん、見知らぬ「寧」の筆者さんとのご縁を感じて、「中心人物たる染谷氏に「寧」という銘の茶杓を削って欲しい」とお願いしました。
個展の時に染谷氏自作の茶杓を見せて頂いて、いつか是非お願い出来たら・・・と思っていたので。
染谷氏が私の勝手な依頼に快く応じてくださって、もう感謝感激!です。

7月の半ば、不思議なご縁に導かれるように茶碗と茶杓「寧」が我が家へやって来ました。
筒に「寧」と書かれ、素敵な布にくるまれています。
煤竹の華奢な作りの茶杓は一目で気に入り、茶碗とぴったりお似合いです。 

              
                    8月16日の五山の送り火 「大文字」         

急に茶事がしたくなり、8月16日に「大文字 夕去りの茶事」をすることを決意しました。
スウェーデンから帰国後、もう、だらだらと「ネブタ(?)」のように過ごしておりまして、猛反省もあり、かねて念願の茶事に取り組むことにしたのです。
(8月の茶事は暑さを理由に避けていました・・・2014年8月の秋待つ撫子の茶事以来かも?)
はじめてのテーマですが、遠く京都の五山の送り火に思いを馳せながら、縁のあった亡き人達をしのびたいと思っております。
私の消夏法とダイエット(?)にお付き合いくださいますお客さまへ、もうなんとお礼を申し上げたらよいやら・・・感謝の一言でございます。 

今は暑さと相談しながらゆっくり茶事支度を楽しんでいます・・・茶杓「寧」に見守られながら。