暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

奥の細道会・・・利休さまに見守られながら

2016年07月06日 | 自主稽古(京都編)&奥の細道会


7月1日は奥の細道会でした。
奥の細道会は奥伝の勉強会で、月1回、ときどきお休みを取りながらも続けています。

床は先日の許状式のまま、利休居士の画像と鵬雲斎家元(現・大宗匠)の賛があるお軸を掛けました。
めったに掛けないお軸ですし、利休さまに奥伝の稽古を見て頂くのも励みになるのでは・・・と思ったのです。
花(水引と岡トラノヲ)、香(沈香)、蝋燭、菓子(和三盆)を供え、赤楽茶碗に湯を入れ、薄茶を一杓撒いてお供えしました。



その日は4名、最初に台子初炭手前をさせて頂きました。
次いで、行之行台子をNさんとAさんが修しました。
ここで昼食の休憩が入り、午後にKさんが唐物をなさいました。
            
誰も先生はいませんが、それぞれの方がそれぞれの思いで点前をします。
「久しぶりに緊張感を感じながら点前をさせていただきました」
(陰の声・・・緊張感ってとても大事ですよね。そして、人前で点前することも・・・)
「唐物の返し方はこれで良かったかしら?}
(陰の声・・・返し方一つでもいろいろな考え方があり、勉強になりました)
「唐物茶入のご伝来は?」
(陰の声・・・行之行台子にふさわしい伝来が語られ、実際のシーンが浮んでくるようでした)



素晴らしいお仲間と共に奥の細道をたどる充実感を感じておりましたら、Aさんから葉書が届きました。

   この度初めて奥の細道会に参加させて頂き、
   充実したひと時を誠に有難うございました。
   利休様の御前で、やはりこの道をどこまでも進んでいこうと
   初心を新たにいたしました。
   日頃愛する昼顔の花が神々しいまでの姿で迎えてくれ感動でした。
   また香之図棗にさり気ない励ましを感じ心にしみました。
   たどたどしい歩みですが精進致しますので、どうぞご指導のほど
   よろしくお願い申し上げます。    かしこ   Aより

  (陰の声・・・Aさんに参加して頂いて嬉しいです。
   ご一緒にゆっくり歩んでいきましょう。
   こちらこそご指導を宜しくお願い致します)



  昼顔をやな籠に

最後に恐れ多くも利休さまに講評をお伺いしてみましたところ、
全員が次のようなお声を聞いたような・・・
「「他時定作鳳凰児」(他時定メテ鳳凰ノ兒(ほうおうのこ)ト作(な)ル)には道遠し。
 心を定めてしっかり精進しなさい」

                       みんなで             
     

奥の細道会  第2回は二人で・・・

2015年05月17日 | 自主稽古(京都編)&奥の細道会
5月8日は我が家で初めて行う奥の細道会(第2回)でした。
「他の方の都合が悪く5月は二人だけれど、どうしましょう?」と私。
「二人でやりましょう。なんでも一度決めたことはやっていきましょう!」
Kさんの力強い言葉に背中を押され、勇気百倍です。

久しぶりに二人っきりで、奥伝やその他の意見交換ができる・・・と楽しみでもあり、
Kさんも全く同じように考えていたみたいです。
私は真之炭と大圓之真、Kさんは行之行と早合点し、竹(行)台子を用意したのですが、
急遽真之行をして頂くことになりました
竹台子を調べだすと、台子と茶湯成立との関係が面白く、台子の項を記しておきます。

                     

台子(だいす)・・・茶道大辞典(淡交社)より
点前用の棚物の一種。書院広間で使われ、風炉釜・水指などを飾り置く。
江戸時代中期までに確立した茶の伝承では、文永4年(1267)に南浦紹明が宋より将来し、のちに室町将軍家での茶会に使われ、点茶の規矩作法の根源をなすものとされる。
ただし、室町将軍家にあった台子は小机のことで、台子の茶会があった形跡はない。
そのため茶湯所の茶湯棚が小型化されて、茶湯成立期になって点前座に置かれた日本独自のものと現在は考えられている。杓立に柄杓と火箸が差されるのもその名残りである。

台子には真塗りの真台子の他、竹(行)台子や及台子があり、高麗台子、爪紅台子と合わせて五つ台子と称する。珠光好みとされる竹台子が古く、黒塗りの台子へ発展したらしい。
利休の時代になると、茶会で台子が使われることは稀になり、台天目と唐物茶入を使う台子点前が秘伝化していくことになった。

                    
                           庭の露草を小代焼の花入へいけて

先ずは、風炉・真之炭手前。
風炉用の神折敷、諸羽が揃ったばかりで、初使いが嬉しいです。
香合は唐物がないので根来の一文字、白檀を三枚入れ、諸羽と天板に飾りました。
羽箒を始め清めの所作が多いのですが、稽古を重ね、敬虔かつ優雅な清めの所作を身に着けたい・・・と願っています。

数年前、朔日稽古へ伺った時の教えを今頃になって思い出しています。
T先生の言われた
「かねをはずしてかねにもどる」(・・・と記憶していますが?)
難しくも含蓄のある言葉が有難く、耳元に鋭く聞こえてくるようです。

続いてKさんの真之行台子点前、急だったにも関わらず、すらすらと間合い佳く優雅に点前が進み、流石Kさん!
どの奥伝を指名されても臨機応変、基本を押さえてできるようになること・・・奥の細道の目標の一つでもあります。
ふくみ帛紗の扱い方について、お互いのやり方を確認し合いました。

最後に大圓之真をさせて頂き、迷いがあった茶杓の扱いを確認です。
次回もたぶん二人ですが、ますます楽しみになりました。

                          二人で 


「奥の細道会」のスタート・・・桜吹雪の日に

2015年04月06日 | 自主稽古(京都編)&奥の細道会
                    (ふるさと尾根道ルートにて・・・横浜市旭区)

3年ぶりの私のサクラとの逢瀬があわただしく過ぎていきます。

京都で仲良く3人で2年半続けていた奥伝の自主稽古
こちらでも続けたい・・・と、「奥の細道会」という名前を付け、
4月3日がその初稽古でした。

茶友Yさんが
「引っ越しの後で大変でしょう。4月は拙宅でいかがですか?」
と申し出てくださいました。
正直、見つからない茶道具もあり、炉の準備がまだだったので
お言葉に甘え、Yさん宅で「奥の細道会」のスタートです。
             
                       (青空と満開のサクラ)

初めて降りる駅で茶友と待ち合わせ、桜吹雪が舞う並木をバスで通り抜け、
閑静な住宅街の中にYさん宅を見つけました。
自宅が稽古場なので、生活の場を上手に工夫されているのが興味深く、
中でも茶室近くにある立ち水屋に惹かれ、こんな水屋があったらいいなぁ・・・。
動きやすくコンパクトにまとめられ、収納も使い勝手が良さそうです。

その日はKさん、Hさん、Yさん、暁庵の4名が集まりました。
「昼飯後はだれてしまうので午前中に沢山やりましょう・・」
Yさんの提案で10時に稽古開始です。
席入りすると、床に「直心是道場」、太玄和尚筆です。
Yさんの気合が伝わってまいります。
Hさん御製の主菓子は2種とも桜づくし(練きりときんとん)、
中でも桜の葉を練りこんだきんとんが香り味とも素晴らしく、絶品でした。

真之炭手前、真之行、大円之真を2回、ここで1時近くになり昼食タイムです。
(皆さま凄い! 午前中に奥伝が4科目も・・・)

昼食と飲み物は各自持参ですが、
Yさん心づくしの吸い物、漬物、お豆さんの煮物がテーブルに並び、
煮物を思わずお代わりしたり、こちらも楽しいひと時です。
近況報告や茶会などお茶の話に花が咲きました。

               
                       (いつもと違う表情・・・私のサクラ)

14時近くになり、稽古を再開しました。
最後にYさんが真之行台子点前をして、初稽古を見事に締めてくださいました。

「奥の細道会」は毎月1回、ご一緒してくださる方がいる限り、続けていきたいと思っています。
奥伝の稽古を積み重ね、いろいろな考え方や疑問などを話し合う場であり、
他の方の所作を見て我が所作を省みる、あるいは点前や所作を見て頂く機会でもあります。

5月は我が家で初風炉の「奥の細道会」です。
奥深い細道ですが、しっかり、ゆっくり、茶友と共に歩み続けていきたい・・・。

                                  


長月の自主稽古  大円之草の不思議 

2014年09月19日 | 自主稽古(京都編)&奥の細道会
              花についてきたカマキリ

毎夜、コオロギの演奏を聴きながら、いつのまにか眠りについています。

      あと幾夜 土間のコオロギ友として
          灑雪庵に夢むすぶかな        


長月の自主稽古(風炉)をだいぶ前の9月5日にしました。
Sさんの真之炭手前から始まり、Yさんの真之行、私は大円之草でした。

その頃の京都は天候不順、
朝は好天でも、いつゲリラ雨に襲われるか・・・そんな日々でした。

自主稽古は13時から17時頃なので
午前中に掃除、灰形、炭などの準備をします。
お軸は何にしようかしら? このままでいいかしら?
そうだ、お花はどうしょう? 今から買いに行こうかしら? 

そんな時にチャイムが鳴りました。
もうびっくり!です。
私の独り言が聞こえたみたいで、
お隣の庵主さまが花をいっぱいくださいました。

「これから大雨になりそうなので、咲いている花を切って持ってきました。
 どうぞ、つかっておくれやす・・・」

萩、水引、木槿など手いっぱいの秋の花をいただいて幸せでした。
分けて活けるのも惜しく、大きな花入を探していましたら、閃きが・・・
「そうだわ!
 縁の下に転がっていた割れ壷に活けてみよう


              秋の花を秘蔵(?)の割れ壷へ
              (お軸は掛けずに・・・)

さて、私が稽古した大円之草ですが、他の奥伝と少し変わっています。

奥伝の中でただ1つの草の点前ですが、台子を使わず
道具組や点前は行之行に準じています。

例えば、天目茶碗や天目台、和物茶入、唐物茶入は伝来の確かなもの、
茶杓は元節、盆は円能斎または淡々斎好の大円盆を使います。
水指は一重口で、瀬戸のような古窯でしょうか。
水指の蓋、元々は共蓋だったそうですが、今は塗り蓋が主流となっています。
建水は唐銅、蓋置は竹。

水指の蓋を置く位置と、開けるときの所作(通り道)に悩みましたが、
先日、S先生のお稽古へ伺い、すっきり解決しました。

最初に、建水、蓋置、柄杓の持ち出し方や扱い、
蓋置を置く位置もユニークです。
とても不思議で、一度疑問が解決しても、また新たな疑問が・・・。

でもね! 不思議な、次々疑問が湧いてくる点前って、わくわくしませんか?

それも、何度もやっている内に、やっと疑問が湧いてくるのですから
自主稽古を継続する大切さを今頃になって実感しています。
                               

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水無月の自主稽古 2014年

2014年07月10日 | 自主稽古(京都編)&奥の細道会
6月20日に水無月の自主稽古をしました。

メンバーの一人が欠席されたので、大垣のMさんをお誘いしました。
3月にMさん宅でお世話になった自主稽古が忘れ難く、
灑雪庵へもう一度来ていただきたかったのです。

            

床に、足立泰道和尚筆「水上青々翠」を掛け、
庭のどくだみを高取焼の銚子へ活けました。
6月6日のどくだみ茶会で出合った、清楚などくだみが頭の片隅に
残っていたので・・・。

お菓子は行之行点前に合わせて、五種としました。
差し入れの長良川の鮎が加わり、ボリューム満点です。
濃茶は雲門の昔(一保堂詰)と長松の昔(柳桜園詰)です。

            

今日の課目は
1.真之炭         
2.大円之真    
3.真之行     
4.行之行     

大円之草はありませんが、奥伝を並べて稽古することで、
点前の特徴を確認し、整理しながら進めることができます。

真之炭手前をMさんにお願いしました。
S先生の稽古で拝見しているのに、いつまでも曖昧な箇所がありました。
それは
1.神折敷と灰器の運び出し(膝行と膝退の仕方)
2.灰器の持ち方と扱い方
3.羽箒の扱い方
4.火箸の扱い

Mさんの所作を拝見しながら、だいぶ曖昧な箇所がクリアーになり、
翌日のS先生の稽古で確認させて頂きました。
こればかりは自分で稽古しないと仕方がないことですが、
毎回、真之炭手前を順番にして、正しい所作を身に着けたいと思っています。

それから・・・真の稽古は神仏の前という気構えで臨むことも大切です。
問答もそうですが、稽古でしないといつまでも身に付きません。

今月も自主稽古が出来たことが嬉しく、お付き合い頂いたお二人に感謝です。

                                
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