暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

ブログ最終日です。

2012年03月06日 | 閑話休題

「暁庵の茶事クロスロード」をご愛読いただきまして、
ありがとうございました!

いよいよ京都へ家うつりします。
それで一度ブログを終了し、
京都の暮らしに慣れ親しむことを第一にしたいと思っています。

短いような長いような、充実したひと時をブログと共に過ごすことができました。
皆さまの応援を心より感謝いたします。 ありがとうございました!

しばらくは、このままブログを公開させて頂きますので、
どうぞお立ち寄りください。


   さようなら・・・                     


           

謝茶の送別茶事

2012年03月06日 | 思い出の茶事
3月3日、長屋門公園ひな祭り茶会のあとに、スタッフの一人Hさんが
ご自宅で送別茶事をしてくださいました。

「茶事形式で・・・」と伺っていましたが、茶会の後なので夕食と茶飲み会くらいに
考えていました(茶会だけで精一杯だったので・・・)。
ところが、本格的な茶事をしてくださり、びっくり!

居間を寄付と待合に上手に使い分け、待合の掛物は
「吾唯知足」 
今年2月に雪の龍安寺へ行ったときに出会った色紙だとか。
「足らずとも等身大の自分でがんばるぞ・・・」
と、ご亭主の意気込みが伝わってくるようでした

洗面所の蹲で身を清め、二階の茶室へ席入しました。
そこは7年前に改装された時にお招きを受けた、懐かしい茶室でした。
床には黄梅院太玄和尚の力強い筆で
「青松多寿色」
変わらぬ松の緑を讃える喜びを表わしていて、
不肖私の門出を祝って掛けてくださったのでした。

一人亭主で、懐石も全てをこなされました。
きっときっと何日にも前からあれこれ準備をされたことでしょう。
正午の茶事のように粛々と茶事が進んでいきました。
もちろん、懐石や準備の合間に私たち客三名(YさんとAkatsukiさん)は
すっかりくつろいでワインも進み、お話しを愉しませて頂きました・・・。

                 

ご亭主のHさんとはご近所で、私が茶道を再開した時にある教室で出会ったのです。
その後いろいろな茶事や茶会へお付き合い頂きましたが、
やっと茶事へ向きあってくださったご様子が何より嬉しいことでした。

「いつかお茶事にお招きしたい」と言われていたのですが、
このたび京都へ行くのでおねだりしたのが好かったのかしら?
懐石道具も今回を好機と考え、調えられたそうです。

後座の床で拝見した、扁壷に生けられた土佐水木とあけぼの椿が
春の喜びを、ご亭主のやさしさを物語っているようでした。
濃茶は伊藤園の万歴の昔が心をこめて煉られ、
美しい緑茶に「青松多寿色」を思いながら、美味しく頂戴しました。

どのお道具もご亭主の思いが込められていて、素敵でした。
「茶杓銘は謝茶、三玄院長谷川大真和尚作でございます。
 この茶杓銘に今日の気持ちを込めました・・・」

本当に、お茶の取り持つご縁、お茶の持つ不思議な力と育てあう友情など、
「謝茶」でございます。
お茶事をするお仲間が誕生して嬉しい限りです。
これからもお茶事に益々とりくんでくださいますように。

お疲れのところ、本当にありがとうございました!
また、茶事にてお目にかかりましょう・・・。

                        (間に合って良かった!)

      写真は、「青松」と「土佐水木」(季節の花300の提供)です。

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灑雪庵(さいせつあん)

2012年03月05日 | 京都へ家うつりします

いよいよ引っ越しの日までカウントダウンになりました。
毎日、気忙しく、大した仕事量ではないのですが、
精神的にくたくたになっています。

なぜなのでしょうか?
それは今までの暮らしとこれからの暮らしのはざまで揺らぐ心、
際限なく膨らむ荷物と捨てる荷物がもたらしているようでした。
二人の自分がいて、もう一人の自分に問いかけているような。

「大好きな我が家ともしばらくお別れだね?」 「うーん・・」
「どんな暮らしをしたいの?」 「うーん・・・」
「どんな暮らしになるのかしら?」 「うーん・・」
「もっと荷物を減らせないの?」 「うーん・・・」

あれこれ考えていると、どうでもよくなってきます。
行けば何とかなるさ。 同じ日本だもの・・・。

しばらくは風のふくままに自然のリズムに逆らわず暮らしてみよう・・・。
そうすると、しなやかな風の音が耳に心地よく響いてきました。

そうなんです。
京都の町家は、能「雨月」を連想するような古い家です。
老夫婦が仲良く、時に言い争いながらもつつましく暮らすにふさわしい家です。
軒こそ破れていませんが、戸や壁の隙間から風や雪が舞い込んできそうです。
金沢の仙叟ゆかりの灑雪亭が思い出されました。

それで「灑雪庵(さいせつあん)」と名付けました。
戸の隙間から降り灑ぐ(そそぐ)雪を愛でる風流心を大切にしたい・・・。
その心を忘れぬようにしたい・・・と。

今、友人の書家・大谷泉奏さんが「灑雪庵」の書に挑戦してくださっています。
まだ出来上がっていないのでご披露できないのが残念です。
ご縁がありましたら京都でお目にかけれるかしら・・・。

                           


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ありがとう 思い出の記事

2012年03月05日 | 閑話休題
3月3日は、長屋門公園ひな祭り茶会でした。
「ブログを見て来ました・・・」
と言ってお声掛けくださいました。ありがとうございます。
遠くからも駆けつけてくださって感激しました・・・。
囲炉裏ばたで少しだけですが、お話ができて嬉しかったです。


長屋門公園のひな祭り茶会をもちまして、こちらでのイベントが最終となりました。
長屋門公園正午の茶事にはじまって、数々の思い出のある長屋門公園がトリとなり、
感慨深いものがありました。

いろいろご協力頂きまして、ありがとうございました!


3月6日の当ブログ終了にあたって、
暁庵が好きな思い出の記事をいくつか挙げてみました。
(記事が多くなり、さかのぼって探すのが大変になりました)
ご一読くださると、嬉しいです。

〇 四国遍路・一期一会  尺八さん
〇 四国遍路 由岐の思い出
〇 長屋門公園・正午の茶事
〇 茶道点前の三要素
〇 再び清川村・別所の湯へ
〇 何百回の稽古 -渡辺正幸さん-
〇 名護屋城址に立って
〇 おようのあま絵巻  サントリー美術館


       (順不同ですがヨロシク   )



早春の柳逢庵の茶事

2012年03月01日 | 思い出の茶事
2月24日、茶友Tさんから柳逢庵の茶事へ招かれました。
当初8日の予定でしたが、ご家族全員がインフルエンザにかかり、
日程を延期して招いてくださいました。
茶事の延期がどんなに大変なことだったか・・・ありがたく感謝しています。

茶事のあれこれを書き始めましたが、何度書いても気に入らず、困りました。
Tさんに差し上げた礼状を少しだけアレンジして忘備録といたします。 
お読み頂けると嬉しいです・・・。

                                         
Tさまへ

今日は春の雨、一雨ごとに春色に包まれていきます。
先日の柳逢庵でのひと時を想い出し、余韻に浸っております・・・。
手厚いおもてなしの数々を頂戴し、誠にありがとうございました。

遠州好みを感じる広間の待合、お庭の腰掛待合、美味しい懐石など、
どれもこれも素晴らしいのですが、
脳裏から離れないのが柳逢庵(四畳向切)での濃茶のシーンでした。

向切の初炭手前から始まって、
仙叟好み柏釜(十二代寒雉作)との出合いのエピソード、
黒鉄の炉壇、香立つ蝋梅の炉縁、粋な風炉先窓から射し込む柔かな光、
そしてあっと驚く立礼席への変身など
ご亭主のお好みと茶室をつくられたMさまの力量に感心しながら
ご連客のKさま、Yさま、Hさまと、さまざまに愉しませて頂きました。

                      

後座になって張りつめた気色の中、濃茶点前をなさるお姿は
一幅の絵のようでございました・・・

台目床には白椿と紅梅が高取の花入へ生けられ、
柏釜から吹き上る湯気の動き、
小振りながら時とともに存在感が増す大樋の水指、
形と釉薬の景色が心惹かれる茶碗、
そして優しい色合いの間東の仕覆が脱がされ、朝鮮唐津の茶入が・・・

群青色の御召し物のご亭主が捌く紅の帛紗、
形、色、気・・・すべてが一体となって「妙」なる空間を感じました。

アツアツの濃茶が出され、無事に皆で回し飲むシアワセを噛みしめました。
金沢の御茶は、香高く甘みと苦味が程よく美味しゅうございました。

虎屋のうぐいす餅(最終販売日だとか・・)もさすが絶品ですね。
きなこを口の周りにいっぱいつけたままだったらしく、
中立で三客Yさまがやさしく拭いてくださいました・・・。
                   

「茶事は濃茶にあり」という先人の言葉が素直に心に響いてくる、
そんな茶事を体験することができました。 ありがとうございます。

いつも感心することですが、半東Hさまや水屋Tさまとのチームワークが
素晴らしく、うらやましく思いました。
故郷からお取り寄せの食材や自宅で丹精された旬の野菜が並ぶ懐石や
八寸(手づくりカラスミと自家製フキノトウ天ぷら)を舌鼓を打ちながら
賞味させて頂き、感謝申し上げます。 

京都の拙宅へも皆さまお揃いでいらして頂けたら、嬉しゅうございます。
天候不順の折、くれぐれもお体に気を付けてください。

   平成24年2月吉日         暁庵      


     雨上りいずこも優しき春の苑
          尾長鳥舞ふ茶事の朝かな    

      
      (写真は季節の花300の提供です)

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