麻里布栄の生活と意見

小説『風景をまきとる人』の作者・麻里布栄の生活と意見、加えて短編小説。

生活と意見 (第230回)

2010-07-04 01:07:08 | Weblog
7月3日


立ち寄ってくださって、ありがとうございます。

「プロヴァンシアル」がとてもいい。ネタは神学論争で、およそ自分には関係ないことなのですが、読んでいくと、各派の対立がいかにくだらないことなのかが無関係の人間にもよくわかります。ドストエフスキー的なところもあるし、ディケンズふうのユーモアも感じられる。ほとんど小説といってもいいような作品です。「パンセ」だけ読んでいると、パスカルは古代ギリシャの哲学者たちと同じく遠い感じがするのに、「プロヴァンシアル」を読むと、「19世紀くらいの人?」と思うほど身近でリアルな感じがします。ときどき出てくる「たとえ話」もさすがで、たとえ話の王者・キリストといい勝負だと思います。本当に。「ライ麦」を参考にしたに違いない(あるいは庄司薫か)訳文の文体もこなれていて読みやすい。いつかどこかで手にとってみてください。



「ブリキの太鼓」、完全に挫折しました。よほどなにか起爆剤がないと、第3部を読み進めることは不可能です。「ネクサス」も休止中。こちらは時間ができたらすぐにでもまたとりかかるつもりですが。



近所の商店街に作られた「たなばたコーナー」の短冊に、つぎのような言葉を見つけ、笑いました。

あだちのおしりを
さわれますように。

たぶん、女子中学生か高校生だと思います。きれいな字で、尻のイラストが添えられています。想像したのは2パターン。仲のいい友だちと2人で書いていて、その友だちが「あだち」さん。狙いはもちろんその場の笑い。もうひとつは、「あだち」くんというスポーツマンがいて、本当にちょっとそのおしりにさわってみたい。なんにしてもとても具体的な願いですね。

それを見て、思い出したのが、大学時代の便所の落書きです。

女はいいなあ
スカートがはけて。

笑わせようという書き方でないことはひと目でわかりました。といっても、どこまでせつないのかはよくわかりません。本部キャンパスの便所の壁には学部間闘争(?)のようなことが書いてあったり、学生運動の名残りみたいな檄文があったりして、なにか「サバイバルゲームはもう始まっている」みたいな感じがしました。上の落書きを見るたびに「文学部でよかったな」と思ったものです。そのままきてしまってどうしようもない結果となりはててしまいましたが。



では、また来週。
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