鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

町田シャープ会長が「もう日本には頼ってはいられない」と決別の辞

2010-10-06 | Weblog
 5日は東京・大手町の日本経済新聞社で開かれた「景気討論会」へ行った。司会の小孫日本経済新聞編集局長がいつもの「日本経済の現状をどう見るか」ではなく、いきなり「今一番気になることは」とパネラーの町田勝彦シャープ会長らにふったので「あれっ」と思った。町田会長が「円高の影響」をあげたのに続いて、他のパネラーが「景気の下ぶれのリスク」や、「欧米諸国の日本化現象」、「世界的な金融引き締め」などがあげられたところで、司会が携帯端末を見ながら「日銀の包括的な金融政策の概要がわかりました」といって、その内容を披露した。丁度、この日は日銀が円高阻止のため、金融政策決定会合を開いている最中で、実況中継の形でその内容が明らかとなった。
 たまたま、4人のパネラーのうち2人が日銀OBということもあって、直ちに日銀の追加金融緩和措置についての評価が下されることとなった。日銀が決定した内容の詳細は聴衆は一切知らず、その内容が①無担保コール金利を0.1%から0~0.1%と実質ゼロ金利とする②これを消費者物価が1%になるもで継続する③向こう1年間、民間の所有する国債、CP、社債などの買い入れのため35兆円規模の基金をつくるーーなどといったいままでにない踏み込んだもので、早速ペーパーなるものがパネラーに配られ、その評価が聞かれた。パネラーは一様に「オールインワンで、評価できる」、「デフレ対策として一歩踏み込んだもの」とのコメントが語られ、会場は緊迫したムードに包まれた。
 いつもはどこかで見たり、聞いたようなコメントが羅列されることの多い景気討論会がにわかに生々しい取材現場と変わった。司会の小孫編集局長は「みなさんは取材のシーンを見ているようなものです」とコメントしていたのが印象的だった。
 その後は気の抜けたような日本経済や海外経済の現状の話が展開されたが、はじめが余りにも生々しかっただけに迫力を欠いたものとなったのは仕方がなかった。いつもなら予めシナリオが作られ、それに沿って議論が展開していくのだが、今日ばかりは途中でシナリオが放棄されたかのように話題があちこち飛んでいるような感じを受け、議論がやや散漫に推移したのは否めなかった。
 そのなかで異彩を放ったのは町田会長で、司会から「政府に何を期待するか」と聞かれて、「もう日本には頼ってはいられない」と言い放ち、自ら「決別の辞」と言った際には会場はどっと沸いた。そして、「これからは『地産地消』で、消費者のいるとことで生産していく。たとえば、イタリアで太陽電池を作り、中国で液晶を生産する。2番目にはビジネスモデルをものづくりからサービスまで手掛けることに変えていく。3番目には新しい需要を創造する」と高らかに宣言した。
 町田会長は胸元のポケットからシャープが年末に発売する携帯端末「ガラパゴス」を取り出し、「これはアップルのiPADより優れた機能を持っている。電子新聞が自働送信されてくることや、縦書きの書物が読める」と言ってチャッカリ自社製品のPRを始めた。これには聴衆は大喝采で、この種の催しでは珍しく拍手を浴びていた。
 景気討論会は毎回4人のパネラーのうち1人は必ず会社経営者を入れているが、自ら経営に携わっている経営者の声や、パフォーマンスは説得力があり、評論家のコメントとは違ったものがある。この日の町田会長もねらい通り、歯に衣着せぬ発言で地味な景気討論会が面白いものとなった。 
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