鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

「検察、官房機密費にメス」とのテレビニュースに糠よろこびして思ったこと

2010-08-08 | Weblog
 7日夕、家に帰ってテレビを点けたら、テレビ朝日のニュースで「検察が官房機密費に捜査のメスを入れる」との見出しが出て、2年前の自民党の官房長官、河村建夫議員の顔写真が出た。官房機密費がどう使われているか、その実態が明らかになったことはない。かつて小渕内閣の官房長官を務めた野中広務氏がいまごろになって、毎月5000万円を超える官房機密費を使っていた、と暴露しており、なにかと話題となっているので、何か動きがあったのか、と耳をそばだてた。
 ところが、ニュースは検察が内閣官房に対して、かつての自公政権時代の官房機密費について事情聴取のあたる、というだけで、具体的にだれに対して事情を聞くのか、明らかとされなかった。2年前の河村官房長官の時は総選挙の前日に2億5000万円のおカネが引き出され、何に使われたのか明らかとなっていない。その時の総選挙は投票前から自公の敗北は予想されており、政権交代は必至の情勢とあって、急遽引き出されたのは間違いない。
 もともと官房機密費なるものは企業でいえば使途不明金のようなところがあり、野党対策やマスコミ対策などに使われても具体的な用途は明らかにされず、暗黙のものとされてきた。長らく自民党政権が続いていた時には首相、幹事長の思いのままに使われ、治外法権的なものとされてきた。
 ところが、民主党へ政権交代した時をねらって、いまごろになって野中元官房長官が「マスコミ対策として、新聞、テレビの関係者にカネをばらまいた」と暴露し始めた。その意図は民主党に対し、以前のように自由に官房機密費を使えなくしよう、とのことにありそうだが、様々な波紋を投げかけ始めた。
 そのひとつが自公政権末期の2億5000万円の駆け込みの解明と思わせた。政権は交代しても相変わらずの自民党嫌いの鈍想愚感子としてはやっと自民党時代の旧悪が追及されるのか、と期待を抱いた。検察の事情聴取は当然、当該の河村建夫議員に向かうものと思って聞いていたが、そのあたりを濁してしまい、内閣官房と言うだけだった。いまの官房に聞いても当時の状況が分かるとは思えず、ニュースとしては片手落ちだった。
 検察の調査に腰が入っていないのか、それともテレビ朝日の報道の姿勢がいい加減なのか、見極めがつかなかったが、翌朝9日の朝刊各紙を開いてみてもどこにも「検察が官房機密費にメスを入れる」との活字はなく、どうやらテレビ朝日のお盆休みを見越した暇ダネようようだった。
 事実としては間違いないのかもしれないが、単に検察の事情に通じた人の観測をニュースに仕立てただけで、詰めの甘いいかにもテレビの政治ニュースといった感じで、大いに失望させられた。お決まりの共同通信社の配信かもしれないが、貴重な画面を使って流す以上は少しでも追加取材して確認したうえで、流してもらいたいものだ。
 テレビの政治ニュースには糠よろこびしてはならない、ということなのだろう。
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