鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

1カ月も経って橋本聖子団長を敗軍の将扱いはひどい

2010-03-29 | Weblog
 日経ビジネス3月29日号の「敗軍の将、兵を語る」欄にバンクーバー五輪日本選手団団長だった橋本聖子参院議員が取り上げられている。オリンピックが終わって約1カ月も経ってから、反省の弁を取り上げること自体、週刊誌としてはどうかな、と思われるのに敗軍の将として扱うのは疑問が残る。増してバンクーバー五輪は前回のトリノ五輪の金メダル1個に比べれば金メダルこそ取れなかったが、銀3個、銅2個(誌面では銀2、銅3としているのはご愛敬か)と内容的には上回る結果だったというのが大方の見方である。
 橋本聖子団長は「キム・ヨナの背中は遠く」と題し、メダル10個獲得を目標にしていたのに対し、半分しか達成できなかったことを悔いている。特に韓国は日本人選手の半分以下の46人の選手で金メダル6個を含む14個のメダルを獲得したし、中国も金メダル5個を獲得するなどアジア勢のなかで日本の競技力低下が目立っている、としている。日本選手団の選手94人に対し、役員が111人も行ったのは問題だが、これについては特に言及していない。
 不振だった大きな理由が国のスポーツ振興に対する支援の弱さで、2009年度の日本オリンピック委員会へ拠出した補助金は27億1300万円で、100億円を超える中国や韓国にはるかに及ばない。しかもリーマン・ショックをきっかけとする不況で、企業のスポーツに投じるおカネは極端に絞られてきており、スポーツ振興の中核となってきた企業に所属するスポーツチームが相次いで閉鎖されつつある。
 橋本聖子団長が帰国後の成田空港での会見でも話していた内容が綴られている。国会議員を務める立場から国としてスポーツ支援を訴えていて、それなりの正論であるが、これが「敗軍の将」としての弁として取り扱われるのにはいささか疑問が残る。
 日経ビジネスの「敗軍の将、兵を語る」は40年の歴史を持つ同誌の看板コラムであり、これまでも幾多の企業経営者が無念の決断を迫られた経緯をドラマチックに語っていて、注目率が高いことで知られている。ただ、今回は何も敗軍の将でなく、一般の記事として扱われて当然なのに、無理矢理「敗軍の将」に押し込められた感じで、これでは橋本団長がいかにも戦犯みたいで可哀想である。日経ビジネスとしては橋本聖子議員のプライドよりも雑誌としてのメンツを優先したわけで、今後に禍根を残すことにもなりかねない。
 しかもこのコラムには関係者のコラムが囲み記事として掲載されることになっているが、今回は同じオリンピック関連として田上富久長崎市長が「幻の広島・長崎五輪」とのカットで談話を載せている。バンクーバー五輪とはまるで関係のない五輪誘致の失敗談で、編集部内でどちらをメインにするか最後まで迷って、どうせ取材したのだから一方を囲み記事としたという安易な舞台裏が見えてくる。世論をリードすべき雑誌としてはお粗末なことである。
 こんなドタバタをよそにイアタリア・トリノで行われたフィギュアスケートの世界選手権
で、浅田真央が197.58点をマークして韓国のキム・ヨナ選手を抑え、金メダルを獲得し、バンクーバー五輪での悔しい敗北にきっちりと雪辱を果たしたのはうれしいことであった。日本国民が感じたカナダでの残念な思いの一端を晴らしてくれた。念願の金メダルを獲得し、頂点に立ったキム・ヨナと雪辱に燃える浅田真央との意気込みの差だったのだろうが、浅田真央にとって敗軍の将うんぬんはおよそ関係ないことだろう。 
 
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