鈍想愚感

何にでも興味を持つ一介の市井人。40年間をサラリーマンとして過ごしてきた経験を元に身の回りの出来事を勝手気ままに切る

思わぬ眼福ならぬ”耳福”だったジャズ界の名手のコンサート

2012-12-10 | Weblog
 9日はマンションのすぐ近くの洗足学園音楽大学で毎年恒例の「FUYUON!2012」が行われているのを思い出し、昼ころにかみさんと行ってみた。最終日なのか、校内が工事中なのか、いつものようなお祭り気分がなく、かろうじて入ったすぐの地下2階の食堂で、ジャズコースライブが開かれていたので、のぞいてみた。洗足学園音楽大学はジャズコースのある音楽大学で、数年前から機会あるごとにジャズコースの発表会をのぞいては楽しんでいる。今回も学生の構成するジャズバンドが8、9日の両日、30分きざみで演奏していた。2、3の楽団のジャズを聴いて、一旦は会場をあとにした。
 家に帰って、入口でもらったプログラムを点検してみたら、夕刻には客員教授の渡辺香津美の率いるバンドが演奏する、と出ていたので、再度会場にとって返した。渡辺香津美の名前はちらっと聞いたことがあるが、日本でも有数のギタリストで、そんな大家の演奏が聴けるのなら見逃すわけにはいかない、と思った。会場へ着いてみると、先ほどよりはさすがに聴衆はふえていて、座るとまもなく渡辺香津美楽団の演奏が始まった。渡辺香津美率いる楽団はおそらく渡辺香津美が選んだ学生6人を含む総勢7人で、セロニアス・モンクのルビーなんとかという曲を含め3曲を奏でた。
 ピアノ、ドラム、ベース、トランペットなどそれぞれのパートの持ち場もたっぷりに華麗な調べで、ジャズの真髄を聴かせてくれた。とりわけ、渡辺香津美の弾くエレキギターは格別な響きに聴こえ、隣の学生のエレキギターと2人で、音によってはギターの端を持ち上げるパーフォーマンスをするなど楽しんで奏でている感じだった。以前に「題名のない音楽会」で山下洋輔のジャズのパーフォーマンスを観たことがあるが、その時の雰囲気に似たものを感じた。ジャズの達人になると、自由気儘に音を操るうちに音に興じてパフォーマンスをしたくなるのかもしれない、と思った。
 渡辺香津美は今回の選曲はじめ構成はすべて学生の手になるものが、と解説していたが、演奏をリードしていたのは渡辺香津美で、天才の一端が出ていたのは随所に感じられた。
 その後にこれも客員教授のジャズ歌手の伊藤君子が登場して、学生3人からなる楽団の演奏をバックに「イマジン」など4曲のジャズを熱唱してくれた。知らなかったが、伊藤君子教授は世界に誇れるジャズシンガーで、会場いっぱいに美声を轟かせて楽しませてくれた。
 渡辺香津美といい、伊藤君子といい、2人のジャズ界の名手のコンサートを聴くことができて、本当に幸せな気分で家路についた。思わぬ眼福ならぬ”耳福”を得た冬の午後であった。
 
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