prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

1月24日(水)のつぶやき

2018年01月25日 | Weblog

「嘘八百」

2018年01月24日 | 映画
中井貴一と佐々木蔵之介の共演がキツネとタヌキの化かし合い、といった風情なのだけれど、だまして胸がすく相手をだますといった話でもないので、方向がどうもはっきりしない。
他のキャラクターもみんな嘘つきではあるけれど、互いに打ち消しあって人物模様がなんだかフラット。あとは役者の持ち味と技でもたせている感じ。

観客そのものをだましてくれるのが一番気持ちいいのだけれど、そこまでいっていないし、つまるところ一種の人情劇となるとストーリーを動かすエンジンとしてはどうも弱い。
(☆☆☆)

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1月23日(火)のつぶやき

2018年01月24日 | Weblog

「わたしは、ダニエル・ブレイク」

2018年01月23日 | 映画
人間の尊厳を無視する現代社会の問題点を描いている映画には違いないが、それ以上に人間の尊厳そのものを描くのに成功しているのが圧倒的に素晴らしい。

ケン・ローチは基本的に同じ出演者と二度組まないというが、ダニエルのデイブ・ジョーンズにせよケイティのヘイリー・スクワイアーズにせよ、役と役者といった二分法ではない出演者の存在が即一人の人間の在り方になっているのを撮りながら発見していくといった方法と思しい。そのひとりひとりの発見自体がそのまま理屈の絵解きではない、人間の尊厳を具体的に体現していく見事さ。

二人の子供の肌の色で、どうして父親と別れたのかわかる気がするキャスティングに見せる想像力。ひどく落ち着きがなく、すぐにどこかに行ってしまう男の子の方ははっきりとは言っていないがADHD(注意欠如多動性障害)ではないかと思わせる、なんでもないようなディテールの描き込みの細かさ。

特別に立派だったり特別なことではない、当たり前に働いて愛して生きてきた人間を尊重しろというだけのことだが、それが通用しない。フードバンクでのシーンは尊厳の欠如というのがどんなものか端的に具体的に見せて衝撃的。

働く意欲があるところを示さないと福祉の対象にならない⇔しかし、意欲を見せたところで医者に働くことをストップされている、というエアポケットに陥ってしまって抜け出せない、という論理の構築、というより社会構造の分析と指摘がおそろしく的確。

履歴書を受け取って雇う気を起こして電話してきた相手を心臓が悪いからと断らざるをえなくて、だったらなんで履歴書を置いていったんだとと怒らせるあたり、怒る方ももっともな分見ていて辛い。

役人たちが怠惰だったり性格が悪かったりするせいで状況が悪くなっているわけではない、むしろ本当に親身になって相談に乗ってくれる係員がいたり、車椅子に乗った障碍者も役所側で働いていたりするあたりの目配りの行き届き方。作品の射程は長く深い。
(☆☆☆☆)

わたしは、ダニエル・ブレイク 公式ホームページ

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1月22日(月)のつぶやき その2

2018年01月23日 | Weblog

1月22日(月)のつぶやき その1

2018年01月23日 | Weblog

「8年越しの花嫁 奇跡の実話」

2018年01月22日 | 映画
重要な小道具として使われるのがガラケーというのが時代を感じさせる(さほど昔ではないのだけれど)。
小道具としての自撮り映像と暗証番号の使い方が実に効いている。

なくていいフラッシュバックが入るのはちょっと理解に苦しむ。他の出来がいいだけに目立つ。今からでも再編集したいくらい。

冒頭の出会いのシーンで二人の履いているスニーカーの柄がおそらく同じなのが暗示的。

土屋太鳳がどアップになってもお肌つるつるで、寝たきりでむくんだ顔に仕立てていてもどうかすると健康的な顔が文字通り顔を出してくる。ある程度は狙ってそうしているのだろうけれど。佐藤健の目力の強さがちょっとありえないような本当の話に説得力を与えている。

記憶がなくなる、とは韓流ドラマかと思うような話だけれど、これが実話というからびっくり。記憶を取り戻す話ではなく、あたらしく関係を築きなおす話なのがまた感動的。
(☆☆☆★★★)

8年越しの花嫁 奇跡の実話 公式ホームページ

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1月21日(日)のつぶやき

2018年01月22日 | Weblog

「西遊記 ヒーロー・イズ・バック」

2018年01月21日 | 映画
お釈迦様によって五行山に封じ込められた孫悟空(もっぱら斉天大聖と名乗っているが)が修業中の小坊主に救われて妖怪たちと戦うというシンプルな筈の話なのだが、悟空をやたら頼りにしてはしゃぐ小坊主がどこでどうやって悟空の活躍を聞き知っていてのかよくわからなかったり、育ての親の坊さんがずうっと出番がなくてかなり唐突に再登場したりと、意外と建て付けが良くない。

孫悟空の頭をしめつける緊箍児(きんこじ)の代わりに腕をしめつける環に代わっているのだが、これがいよいよ外れる瞬間というのが論理的な理由付けが不足で単なる根性か気合みたいで、しかもそのきっかけというのが陰にこもった感じで今一つカタルシスに乏しい。

3DCGのレベルは高く、画像の細かさや動きの迫力など完全に世界の一線級。キャラクターデザインも日本のアニメともまた違う東洋的な味わいがある。
音楽に京劇調が混ざる。

主に敵役になるカエルみたいな妖怪の姿が先日の「グレートウォール」に出てきたのと割と似ているのだが、元になるデザインでもあるのだろうか。
(☆☆☆)

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1月20日(土)のつぶやき その2

2018年01月21日 | Weblog

1月20日(土)のつぶやき その1

2018年01月21日 | Weblog

「ダゲレオタイプの女」

2018年01月20日 | 映画
映画的な文体、スタイルという点では基本的にこれまでの黒沢清作品とそれほど変わらない。
ただ舞台が石造りのどっしりした建物となると、味付けは一緒で食材が変わった料理みたいになるのがおもしろいとところ。

ダゲレオタイプという写真の原点をモチーフにすることで、たとえ生身の俳優を撮っていても映画として見るのは虚像以外のなにものでもない、死んだ人間の像がずっと残り続けているという点で一種の幽霊ではないかと思わせたりする。
ジャンル映画としてのホラーから、映画が元から持っている性格にまで接近している一種の映画論的映画。

ヒロインのコンスタンス・ルノーが肉体的存在感が薄くてそのまんまで存在しているのかしていないのか曖昧になっている風情。

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1月19日(金)のつぶやき

2018年01月20日 | Weblog

「ライト/オフ」

2018年01月19日 | 映画
元はYouTubeにアップされた短編らしいが、予告編で見た光の点滅ひとつで怖くするアイデアと技巧に期待したし、実際冒頭のタイトル前はかなり怖い。
ただいざ長編にする=商業主義化するとなると、一瞬の技で怖くするというだけではもちろん持たない。

それでヒロインの母親との因果ものとしての物語にしたわけだが、しかしなぜその幽霊だか母親のイミジナリー・フレンジだかが光によって見えたり見えなかったりするのか、という理屈はこれといって根拠がない。ただお話を組み立てないと長編として成り立たないという都合で設定されたみたい。さらにこれだと母親の話になってしまってヒロインが話の中心から外れてしまう。
おかげでだんだんフツーのホラーになってしまった。

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1月18日(木)のつぶやき

2018年01月19日 | Weblog