prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ミュージアム」

2016年12月23日 | 映画
「セブン」ばりに雨が降りしきる中に謎のメッセージを添えた連続殺人が起こるのだが、進展するにつれ担当刑事(小栗旬)の家庭の事情が絡んできて、さらに犯人の意図がどこにあったのかも当初の見込みから違うものにずれてくる、といったシリアルキラーものの展開とすると定石から始まって意外性を重ねていく作り。

ただ、その重ね方というのが原作が連載マンガだったせいなのか後から初めになかった設定を足していって急いですぐ回収するみたいで、ああそういうことだったのかと腑に落ちるには仕込みがいかにも足りない。
刑事の家の事情を描くのにいちいち回想シーンを使うというのも悪い癖。

画面に映っているのに盲点になっていた人物が実は犯人だとわかるシーンや、刑事たちが話している窓の外にひょいっとカエル男が現れ、突然ガラスにぶつかってくるシーンなど、あっと言わせるはずの展開が呼吸が悪くてなんだかもどかしい。

クライマックスがくどくて意味が曖昧なセリフのやりとりがえんえん続くのにも辟易した。わざわざ犯人が精神科医が俺を分析して俺に同情する奴が出てきてといった意味のことをくどくどしゃべるけれど、「8mm」の犯人が俺を分析しても何も出てこないとさらっと言うのに似ておよそ非なるスマートならざる処理。
ラストの「まだいるぞ」式の押しもルーティンで長たらしい上にいくつも重ねるってどんなものか。

ローリング式のエンドタイトルで監督の名前だけがぴたっと止まる日本映画って大抵ダサいと思う(小声)。

画面の色調や特殊メイク(犯人役を誰がやっているか、聞かなかかったらわからないところ)などは高度で期待させたのだが、あちこちちょっとづつ建付けが悪い。
(☆☆★★★)

ミュージアム 公式ホームページ

映画『ミュージアム』 - シネマトゥデイ

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12月22日(木)のつぶやき

2016年12月23日 | Weblog

「エージェント:ライアン」

2016年12月22日 | 映画
ケネス・ブラナー監督、出演。シェークスピア俳優兼、古典を大幅に取っ付きやすくした監督としてオリヴィエの二代目として売り出した人だけれど、とっつきやすさの方だけが独り歩きして良くも悪くも普通の娯楽映画の監督になった感。

つまらなくはないけれど、あまり記憶に残らなそう。

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映画『エージェント:ライアン』 - シネマトゥデイ



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エージェント : ライアン(字幕版)
メーカー情報なし

12月21日(水)のつぶやき

2016年12月22日 | Weblog

「トレマーズ」

2016年12月21日 | 映画
久しぶりに再見したがやはり面白い。ただ、前に見たときに比べると続編が5まで出来るわ、テレビシリーズ化されるわで、ジャンルムービーのひとつだったのがこれ自体がひとつのジャンルになった感。

何にもないような田舎街でこうこうと明るく太陽をさす地面の下でモンスターが出没するというのが一種の盲点をついていて、しかもコメディタッチを大幅に取り込んだのがこのシリーズの魅力。
地面の下を駆けずり回るから「ジョーズ」式に姿をあまり現さず見せ方が間接的になって逆に多彩な見せ方を工夫できる、というのが頭のいいところ。

ケビン・ベーコンとフレッド・ウォードの二人組が何かというとじゃんけんで物事を決めるのがルパンと次元みたい。

シリーズが進むにつれて人気キャラになった銃をやたらと貯蔵しているバート(マイケル・グロスは3以降とテレビシリーズではもはや主役)夫妻はやはり可笑しいが、ああいうのがアメリカには実際にいっぱいいるとわかってきた今見るとちょっと笑いながら頬がひきつるようなところがある。





12月20日(火)のつぶやき その2

2016年12月21日 | Weblog

12月20日(火)のつぶやき その1

2016年12月21日 | Weblog

「COP CAR/コップ・カー」

2016年12月20日 | 映画
最初の方の少年二人のトム・ソーヤーとハックルベリー・フィンみたいな旅の描写がかなり本格的に抒情的で「スタンド・バイ・ミー」風味が漂い、死体を探しに行かなくてもぶつかってしまうという展開がまたアメリカ文学の伝統であるイノセンスとその喪失とつながってくるのはラストの展開からいってもかなり明確に思える。

クライム・ムービーとすると悪い保安官が自分のパトカーを盗まれたのに気づくのに30分、本格的に追っかけになるまでに1時間かかるのだからお世辞にも運びがいいとは言えない。案外作者はハラハラドキドキより本格的なドラマ志向、文学志向なのではないか。






12月19日(月)のつぶやき

2016年12月20日 | Weblog

「ザ・トライブ」

2016年12月19日 | 映画
全34シーンをワンシーン・ワンカットで撮られていて、こういう超長回しの映画は今までもいくつかあったが、デジタルシネマ時代になって長回しも移動もずいぶん楽になった成果と思しい。Arri Alexaというデジタルカメラを使っているというが、移動はステディカム風(使っているのかどうか調べがつかず)にすこぶるスムースで、しかも固定するところでぴたっと固定している。

全編手話で一言のセリフもなく、字幕で意味を説明することもない。サイレント映画の表現に回帰したようで、手話がまったくわからなくてもだいたい何が言いたいのかわかる気がするし、言葉がわからないことが気にならなくなってくるのが不思議なところ。
またわずかな音がすごい雄弁に多くのことを語っている。

登場人物、また出演者がみな聴覚障碍者なのだが、きれいごとでないどころか殺伐として暴力沙汰や売春が当たり前になっているのが強烈。タイトルのトライブというのは「時計じかけのオレンジ」のアレックスたちのような集団。

セリフがないのはもちろん、呻き声や悲鳴や叫び声といった意味をなさない声そのものがほとんどない。そのため、中絶シーンの苦痛の声が耳に残る。撲殺する場面であんなに大きな音を出していいのかと思いかけて、あ、周囲はみんな耳がきこえないのかと思ってどきりとする。
(☆☆☆☆)






12月18日(日)のつぶやき

2016年12月19日 | Weblog

「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」

2016年12月18日 | 映画
ハリー・ポッターの世界観を受け継いでいるけれど、いったんリセットして違うところから話を始めているから見やすい。
小説から脚色したのではなく新しく立ち上げたせいかこのまますっきりした形で続いていくのだろうか。

話の芯も学校=成長であるより、協定=交渉に移行したのは、主人公が大人になったということと、新天地アメリカに舞台が移ったのに見合ってのことだろう。

出演者の中でレッドメイン以外で知名度が高い人は悪役にまとめて、しかも次作以降かなりキャスティングで融通が効かせられそうに配備している感。

ちょこちょこハリーの世界に出てきたキャラクターが思わぬところに顔を出すのが楽しい。

魔法動物たちの大暴れはこれからも膨らみそう。破壊されたニューヨークの街を元に戻してまわり記憶を消すあたりメン・イン・ブラックみたい。どれだけムチャな破壊をしても元に戻せるというのは便利。9.11と強いて結びつけることもないが自然に重なって見える。
(☆☆☆★★)

ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 公式ホームページ

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12月17日(土)のつぶやき

2016年12月18日 | Weblog

ゴッホとゴーギャン展

2016年12月17日 | アート
順路に沿っていくと、まずゴッホの初期(といっても、20代後半)の作品から始まり、それから同時期の画家の作品が比較するように並び、その中からゴーギャンが浮上して特別な位置につき、共同生活と互いに与えた影響がわかるように並べられ、それからゴッホが亡くなりゴーギャンのタヒチの生活わ描いた作品群に移行するといった具合に、構成がきっちりしていてわか
りやすい。
ゴッホとゴーギャンそれぞれが描いた椅子やひまわりなど、まあ対照的。

壁紙がそれぞれの時期で色が統一され、ゴッホの弟のテオのをはじめとした書簡の引用が直接壁紙にプリントされて読めるようになっている。
子供向けに目線を下げて見るようになっているこども新聞風の解説があったりする。

ゴッホとゴーギャン展



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