prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「第9地区」

2010年04月21日 | 映画
語り口、展開の斬新にして鮮やかなこと、目を見張るばかり。
難民としてのエイリアン、という像を作り上げた創意。舞台がヨハネスブルグ、というところから現実の人種差別ともつながっているのは当然だが、まずストーリーテリングありきで、簡単に寓意が透けて見えないところもいい。
人間だけでなくエイリアンも武器をやたら揃えていて、それが人間との交渉の「通貨」になっているのが痛烈。もうひとつの「通貨」がキャットフードというのもまた痛烈。

CGを全編にわたって使いながらドキュメンタリー・タッチを通す技術のすごいこと。
小役人みたいな感じで出てきた男が思いがけない形で役割がどんどん膨らんでいき、しかもありがちな「いい話」に落とし込む地雷をことごとく避けてまわる見事さ。
エイリアンの子供が点景みたいに出てきて次第に出番が膨らんでいくあたりもうまい。

銃撃戦の生々しさや、ヘリコプターが絶えず上空から見張っている、あるいはありとあらゆる局面が監視カメラほかで撮られているのを巧みに「リアリティ」に取り込んだ作り。

パワード・スーツみたいなのに乗って戦うシーンがあるけれど、戦っているうちにボロボロになって、よたよたしてくるあたりの動きのつけ方がすごい。
(☆☆☆★★★)


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