prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ティル」

2023年12月23日 | 映画
考えてみると、ティル事件の犯人たちはほとんど直接には描かれていない。
犯人に限ったことではなく、白人一般の差別意識と暴力性こそが問題であり、ヒロインに侮辱的な言動を働く保安官や誰がとばしたのかわからないヤジなど特定されない広がりのある背景を感じさせる。

ヒロインは息子に白人に応答する時はイエス、サーという具合にサーをつけろと教えたと法廷で証言し、自身白人の判事に対して実践する。
彼女は差別がひどいミシシッピとそれほどでもないシカゴの両方の生活を経験しているが、息子はシカゴだけという差が不幸につながった。

白人家庭ではテレビを見ているのが横移動して黒人家庭ではラジオになり、さらに移動するとヒロインの家ではテレビを見ているという具合につながれる。
ヒロインが比較的裕福なのがわかる。
 
惨殺された息子の遺体が物陰に隠れていたのがカメラが動くと視界に入ってきて、そのあまりの酷さに絶句する。その後遺体を見世物にしていると非難されるわけだが、このあたりの被害者加害者のすり替えぶりは今の日本でもおなじみなものだ。







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