怪獣映画というのは戦争映画の代償だという説があるが、南海の島に残された日本軍の武器そのものが使われるというのはけっこう珍しい気がする。
監督の本多猪四郎自身は兵隊にとられた時は大陸に行っているのだが、監督作は怪獣ものではない「さらばラバウル」なども南方ものに縁があります。
ゲゾラはイカ、ガニメはカニ、カメーバはカメがそれぞれ宇宙生物(アメーバ状)にとりつかれて巨大化した怪獣。ただ、キャラクターとしては今ひとつ。三つ巴の戦いが見られないのは残念。
1970年の製作。ミニラとか出てきてゴジラが手詰まりになってきた時期で、今見るとメカゴジラが出てくる1974年までの間のつなぎ的な位置づけになる。
佐原健二も同じ宇宙アメーバに憑かれるが、巨大化はしない。代わりにすごい歌舞伎一歩手前みたいな隈取で意識をのっとられないよう一人芝居で熱演。ただ、パントマイムに習熟していたらもっと別の意思に操られる表現できたと思うのだが。
公開時は東宝チャンピオンまつりで「巨人の星 宿命の対決」「アタックNo.1 涙の回転レシーブ」「みにくいあひるの子」が併映。