prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ALWAYS 三丁目の夕日'64」

2012年02月13日 | 映画
今回の舞台は本格的に高度成長期に入った1964年で、日本中が上を向いていた時代とセリフで形容されたりする。
エンド・タイトルでは登場人物たちの上を向いている姿を俯瞰で撮った姿が続くのだけれど、それは上り坂の希望を持てた姿であるとともに、振り返ってみるとずいぶん小さな姿に見える。
オープニングの東京タワーを真上から俯瞰したかつて見たことないアングルの映像や、オリンピック開会式のブルーインパルスが五輪を青空に描くのをテレビの前から離れて本物の空を見上げる図など、見上げる=見下ろすアングルが随所で対応している。

今回は小日向文世が出てこないが、あの役が表わしていた出世主義・拝金主義の世界に他の人物もいやもおうもなく踏み込んでいるといるのだろう。
一方で東大を出て一流企業に就職する、とか医者として出世するといった道がどうもあんまり安定していないぞと思わせる現在の視点も入っていて、上を向いていられるばかりが幸せなのかと思わせる。

考えてみると、この時点で戦争が終わって19年で、バブル崩壊から現在に至るまでの期間より短いのだね。それ考えると今はずいぶん長々と停滞している。

今回は米倉斉加年と吉岡秀隆の父子と、吉岡と須賀健太の擬似父子とが父親的な厳しい愛情が受け継がれる構造になっている。いまどき流行らないテーマだけに、逆にきちんと描いておかなくてはといった作り手の意思を感じる。
ただ、昔の出版社の話とはいえライバル関係にある二人の作家、いわば同業他社の仕事を同一の編集者が担当するなんてことあるのかな、とは思った。
(☆☆☆★★)

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
上を (iina)
2012-02-15 10:40:27
昨9月以来ご無沙汰していました。
ふたたび映画でご縁がありました。

「坂の上の雲」を目指した明治の日本が、敗戦で「上を向いて歩こう」を目指したと形容されていました。
東京タワーの真上を通るM:I:4のようなショットも見上げる構図も意図的に使われていたのですね。
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