prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「葫蘆島大遣返 日本人難民105万人 引揚げの記録」

2018年08月21日 | 映画
当時の数少ない記録写真や中国の協力による現地調査や関係者の証言をもとに、満州(現・中国東北部)に居留していた在留邦人105万人の引揚港となった葫蘆島を描いた作品。 (102分)
平和祈念展示資料館にて。

製作・脚本・演出:国弘威雄 演出・編集:松井稔
写真:飯山達雄 監修:新藤兼人 ナレーター:久野綾希子
平成9(1997)年度作品 近代映画協会製作

製作・監督・脚本の国弘威雄(1931~2002)は先日亡くなった橋本忍の弟子筋にあたり「幕末残酷物語」などの時代劇が多い。
生まれも育ちも中国で夫人も中国生まれだから日本生まれで引き揚げた人とは感覚が違うみたい。
一緒に葫蘆島を再訪する日本人たちが数十人単位なので、この映画作られたのはいつかと思ったら1997年というからもう20年も前。かなりぎりぎりのタイミングだろう。

当時の中国が国府軍(国民党軍)と共産党軍とソ連軍に分割されている状態で勢力図が塗り換えられると昨日まで使えた軍票が一日にして使えなくなるといった調子だった。
葫蘆島まで来てもいつ帰還船に乗れるかわからず住んでいた住居に戻るがすでにソ連軍が占拠していたといったこともしばしばあった。

国弘氏が当時実際に乗っていた無蓋列車に乗り、あるいは線路を歩いて広大な中国で見て回る。
葫蘆島市(大陸の街で島ではない)の人口はこの映画の製作時で200万人だったが現在は280万人をこえている。
発展は著しいがこの映画にはまだ日本人が引き揚げた頃の風景、たとえばいったん足止めしてDDTを振りかけたあたりの建物などが残っている。今はどうなのだろうか。


葫蘆(コロ)島、というのはちばてつやの「屋根うらの絵本描き」で知った。


武運長久を祈る寄せ書き、千人針、上着など。






シベリア抑留で使われていた日用品。










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