prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「冬の嵐」

2016年01月31日 | 映画
冒頭、冬の夜道に停めた車で女が殺し屋に襲われるシーンで女の顔をよく見えないようにして(いるが、主演のメアリー・スティーンバージェンであろうことは見当がつく)、ばたつかせる脚のきれいさをアクセントにしているあたりから、首を刺されるシーンでただ刺されるのではなく太い千枚通しが掌を突き抜けて刺さるなど、アーサー・ペンは暴力描写にセンスを見せ、「俺たちに明日はない」の監督であることを思い起こさせる。

売れない女優がオーディションに合格しただけでなく不自然にいい条件の契約のオファーを受けてなぜか人里離れた一軒家に呼び出されるという冒頭から不穏な空気まんまんだが、案の定どんどん悪い方に話が転がっていく。

オーディションと称してかなり長いセリフを言うのをビデオで撮られるのだが、これが芝居だと隠して殺された人間が生きているように見せるように利用されることになる。さらに殺された女の姉が殺し屋を雇って妹を殺させたのだが、その姉妹がそっくり、というわけで、スティーンバージェンが三役を演じ分けることになる。
終盤の二役の共演の演じ分けなど、「メルビンとハワード」でオスカーを受賞した演技派の面目を見せる。

一軒家というだけでなくひどい吹雪でとても脱出不可能な状態で、限られた空間でほとんど三人だけの芝居で通しており、ペンが舞台演出家でもあったことも思い起こさせる。

脚をケガした夫が妻からのSOSを受けて苦心しながら駆けつける趣向もあるのだが、これはいささか尻つぼみ気味。




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