prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「21グラム」

2004年06月14日 | 映画
時制をバラバラにしてシャッフルさせる構成に初め当惑したが、交通事故の前後を筆頭にした“これから起こること”がわかっていてそれを待つ恐ろしい予感に満ちた場面や、同じ人物が死にそうになっているのと生きのびている場面の交錯や、何度も言う人間を変えて繰り返される「それでも人生は続く」といった台詞から、運命の皮肉とか、命はその人その場限りのものなのか、とかといった大真面目な問題を茶化す気にならず、あれこれ考えてしまった。この中で本当に命を落とす3人についてはその死が直接は描かれていないせいもある。

私は臓器移植のドナー登録をしているのだが、死んだ後は自分は消えてなくなると思っていて、他の人の身体の中で生き続けるということをあまり深く考えてなかったからだな、と思った。

同じショーン・ペン主演の「ミスティック・リバー」では、殺人に関わったペンが文字通り十字架を背負っていたが、ここではデル・トロが腕の十字架の刺青をナイフで傷つける。クリスチャンではない人間にはわかりにくい表現だけれど、表現している方もキリストに“頼っている”とはとても思えない。
俳優たちの演技は、ほとんどベルイマン作品のレベルにある。
(☆☆☆★★★)

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