prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「犬神の悪霊(たたり)」

2020年12月09日 | 映画
ずいぶん久方ぶりの再見。一時期、封印作品扱いされていたらしい。
室田日出男が犬の首を日本刀ではねるシーンなど撮影前から動物愛護団体から抗議があったというが、良くも悪くも作り物丸出しで、とばされた首が室田の喉笛に食いつくなどタイミングが変で笑ってしまう。
しかし本物の犬を首まで地面に埋めているらしいところなど、今だったら通らないだろう。

伊藤俊也監督の映画って、「さそり」の頃から技巧的な演出やりたがるわりに編集というかタイミングの取り方が結構ヘン。それもここぞというところで外す。
わざとやっているのか、単にヘタなのか。

原子力発電用のウランが発見されて村が開発されるという設定は70年代のもので、79年のスリーマイル島の事故から日本国内のウラン採掘はストップしているらしい。

とはいえ、こういう原子力みたいに近代的・科学的なものと犬神といった前近代的・土俗的なものとを混ぜる作りは、同じ77年公開の野村芳太郎版「八つ墓村」っぽい。その結果ヌエみたいな面妖な映画になったのも一緒。
犬神というのはもちろん「犬神家の一族」からもってきたものだろう。
こういうあからさまなパクリは当時の東映らしい。

前半、ヌードのサービスがあるのも昔の東映らしい。もともと憑き物とかオカルトにエロティシズムとの縁は深いわけで、ラスボス的にクライマックスで憑かれて暴れるのが十二歳の少女というのは「エクソシスト」からの連想もあるだろうが、性的な危なさを取り込む狙いもあるだろう。

「エクソシスト」といったら、奇態な症状を見せるようになった人を病院で検査するシーンもあるが、リアリズムの冷たさがまるで比較にならない。

伊藤監督のおどろおどろしい描写好みは「さそり」の頃からで、「プライド 真実の瞬間」なんて社会派劇っぽい映画でも東京裁判の裁判長席で土俗的な儀式が行われるみたいな奇天烈なイメージシーンがあったりして、一貫しているというのか、作っていくうちにクセになったのか。






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