prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「油断大敵」

2004年01月18日 | 映画
子供の病気と事件発生がかち合うオープニングから、やたら間が悪い、あるいはツイストのきいた展開がずっと手をかえ品をかえて連続するのが、単純な喜劇味やストーリーを面白くするひねりという以上に、刑事は泥棒のことをよく知らないといい刑事になれないし、だからといって馴れ合ってはいけないという全体の一種のねじれた構造にまで一貫している。役所広司の娘が海外でボランティアをしたいと親から独立しようとするのと、柄本明が子供の時田舎から出ていくために金を盗むのと、やり方は合法非合法と正反対でも“羽ばたく”ため、という点では通じているように。その上でさらに役所を外さず(自分は)羽ばたけなかった、と独語する姿を加えているのが、細かい。

役所が夏川結衣を夜道送っていくところで、途中でカメラが祭の鳴りものの練習のところで止まり、主役そっちのけで一曲終わるまで撮っているのが、役所の胸が高まっているのを表現しているようなしていないような、人をからかっているようなセンス。

ビール一本から中身と瓶の両方を使って始まる、中身で酔って笛代わりに瓶を吹くのに口をとんがらしてキスする支度をしているようなところからラブシーンに入る組み立ての面白さ。そうするのに子供をだしにするところも(子供の時、ああやって笛代わりに瓶吹いた覚え、あるぞ)。

淡路恵子の女将がそれまで物を読んでいたところを店に客が来ると、二重になっている眼鏡のレンズの一枚を素早く抜いて客に応対する体勢になるので、かなりいろいろあった感じの女将だなと思うと、後でさもあらんと思わせる、など細かいところが丹念で、しかも全体につながっている。
主役二人については、堪能させていただきました、としか言えない。

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