prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ドゥームズデイ」

2009年10月06日 | 映画
イギリスにウィルスが蔓延してスコットランドを完全に感染地域を隔離してしまってから20年あまり、再びロンドンにウィルスが流行を始め、そこで感染地域に生存者がいるのを偵察衛星で知った政府は、ワクチン作成用に生存者を連れ出すべく感染地域出身の女戦士をリーダーにした戦隊を送り込む、という、「マッドマックス2」や「ニューヨーク1997」「ゾンビ」「バイオハザード」「エイリアン2」その他をごっちゃにしたような話。

近代文明が崩壊した世界とまだ残っている世界とのせめぎ合いが面白くて、建前とすると文明を守るための戦いのようで、途中からロンドンのパンデミックがみるみるエスカレートして秩序が崩壊して無政府状態になり、まったく近代社会の態をなさなくなってしまって、守るはずのものがどこかにいってしまうという逆転がユニーク。女戦士が帰っていくのも、ロンドンではなく生まれ故郷であるところの切り捨てられた側のスコットランドなのだ。かなり文明論の匂いがする。
イングランドとスコットランドとの実際の関係を考えると、妙にリアリティがある。地名が実在のものな分、なおさら。日本にたとえるなら、北海道や沖縄を切り捨てて手放す、みたいな話ということになるか。

近未来風だけでなく、イギリス中世のお城を舞台に斧や槍を振り回して甲冑姿の騎士が戦う趣向まで用意され、いろいろな時代の重量級のヴァイオレンス・スプラッタ・アクションがてんこ盛り。監督の好きなもの全部乗せみたい。
近代社会などといっても一皮むいたら暴力性とエゴイズムがむき出しになるのを踏まえた上で、前近代の野蛮な世界でヒロインが建前抜きで思い切り血なまぐさく大暴れする解放感が身上。カニバリズムまで出てくる上、食べる前にお皿を配るというあたりがブラック。
(☆☆☆★★)


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