米アカデミー賞の日本代表になったわけだが、この映画の後半をほぼ丸々占める銃撃戦は銃の本場アメリカから見るとどう映るだろう。
もちろんいくらアメリカが銃で作られた国だからといって、アメリカ映画の銃撃戦が“リアル”なわけがなく大いに誇張してあるわけだが、ここに集まってくるのは明らかにプロの犯罪者ではなく、素人に毛が生えた程度の、「映画で」銃を扱うのを見たことがあるレベルの連中に過ぎない。
当然、物量で押すわけにはいかず、銃も弾丸もかろうじて寄せ集めている感じ。
グリップに星が捺されていたのは、トカレフか。いかにも中古品です。
撃たれた人間が弾着で血が出るのは抑え気味にして、黒沢清作品ではおなじみの、パン、と撃たれて、操り人形の糸が切れたみたいにぐしゃっと崩れて死ぬのをもう少し押して何発も撃ってとどめを刺すのはこれまでに押しを加えたということだろう。
ライフルで撃たれたコンクリートの盾がぼろぼろと崩れるのは目立たないが見たことがない。
荒川良々が再登場するときにしばらく頭の後ろしか映らないのだが、誰だかすぐわかる。髪型に特徴があるとか物語上にそろそろ出てくると予感させるという以上に、直観的にわかる。
前半の荒れた家屋の窓の外がすでに「CURE キュア」を思わせる妙な色と光のトーンを出している。