prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

BS世界のドキュメンタリー オリバー・ストーンが語るアメリカ史「第5回」

2013年05月07日 | テレビ
引用される劇映画が「ゴジラ」「博士の異常な愛情」「影なき狙撃者」など、アメリカが核と反共に囚われた時代だったことを如実に示す。第五福竜丸の実写映像がゴジラの直前に置かれているところなど、心得たもの。
この頃のアイゼンハワーの核抑止力政策が、今の日本の原子力政策に直接つながっているのもわかる。

実物のマッカーシーが議会にいる共産主義者の数を聞かれるたびに違う数字を挙げるが、これが「影なき狙撃者」にマッカーシーの風貌を含めてまるまる再現されていること、アルドリッチの「キッスで殺せ」で箱を開けると強い光が中からさしてくるシーンなど、劇映画が当時の状況の非常にはっきりしたメタファーの役割を果たしているのがわかる。
それは赤狩りによってあからさまな表現ができなかった裏返しでもあって、劇映画の引用が前回までに比べてより複雑で切迫したニュアンスを持つ。

軍人として広島の原爆投下に批判的だったアイゼンハワーとウォーレスが、政治家の道を歩むか否かによって、核と反共に対して寛容な道を選ぶかどうか道が分かれるのが興味深い。

アカとして生きるより死んだ方がまし、核によって滅びた方がましとまで言い放つアメリカの反共ヒステリーにちょっとめまいがしてきた。


チャンネル [BS1]
2013年5月7日(火) 午前0:00~午前0:50(50分)
ジャンル ドキュメンタリー/教養>ドキュメンタリー全般
ニュース/報道>特集・ドキュメント
ニュース/報道>海外・国際

番組内容
映画監督オリバー・ストーンが歴史学者とともに独自の視点でアメリカ史を描き直す全10回の意欲作。第5回は1950年代の米ソの核開発競争の激化をみていく。

詳細
映画監督オリバー・ストーンと歴史学者のピーター・カズニックが共同で脚本を手がけ、アメリカ史を新たな視点で描くドキュメンタリーシリーズの第2週。
この回は、冷戦構造が確定し、核開発競争が繰り広げられるアイゼンハワー大統領の1950年代。国内では軍事産業の隆盛により繁栄と平和をおう歌する一方、対外的にはおびただしい数の核兵器を配備し“力の外交”によるアメリカン・エンパイアーを確立していったと締めくくる。

出演者ほか
【解説】東京大学大学院教授…藤原帰一,【語り】鈴木省吾


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