主人公ホンジークが誕生した時に東方の三博士みたいな感じで現れる三人の女神が置いていく三匹のネズミ(精霊)が、白(道徳的)と黒(いたずら好き)と灰色(笑い)という三つで、単純に善と悪ではないのが興味深い。
ホンジークが妖精のマジェンカに恋してどうしても会いたいと黒い精霊に頼んだらデビルマンみたいなコウモリ式の羽根と黒い角が生えた顔になってしまう、というのがあまり類のない展開。
歴史に記された英雄や権力者の記述からは抜けたものを描く、と宣言しているのだが、マルクス主義的に「庶民」の生活を描こうというのではなくて文字通り白黒つけがたい自由で詩情に満ちた世界を描こうとしているよう。
(☆☆☆★)