prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「チャリング・クロス街84番地」 劇団俳優座演劇研究所28・29期中間公演

2018年07月12日 | 舞台
実在したニューヨーク在住の女性作家ヘレン・ハンフと、ロンドンの古書店の店主フランク・P・ドエルとの手紙とのやりとりで構成されたエッセイの舞台化。

この二人は第二次大戦が終わってから20年以上にわたって膨大な量の手紙をやりとりし続けたのだが、生涯ついに一度も顔を合わせたことがないというのがドラマの肝になる。
そして本を通してそれこそ森羅万象にわたる話題がのぼる。固有名詞だけでも大変な量だし、引用の仕方がいちいち凝っていて、ストーリーらしいストーリーなどないが不思議と飽かせない。

舞台面を斜めに割って右手前はニューヨークのアパート、左奥は高めにしつられロンドンの古書店に見立てた装置で、二人がそれぞれ手紙の内容を読み上げていく情景が何十年にもわたってえんえんと続くのだが、ひとつの空間に同居しながら直接目を合わせたりは決してしないのが、直接会わなくても理解しあっているであろう(あるいは別に違っていても構わない)ニュアンスを出した。

アン・バンクロフトとアンソニー・ホプキンス主演で映画化していたが、こういうコトバのやりとりはやはり生の舞台の方が力が出るし、リアリズムに縛られない強味も出た。

ヘレンがだんだん歳をとっていくのを一人の女優がメイクを変えて演じていたのかと思っていたのだが、カーテンコールで似た感じの女優さんが三人並んだのに面食らった。三人一役だったらしい。わがガチャ目に呆れる。同じメガネをかけて背丈が同じくらいだとわかりにくいものです。
考えてみると研究生でずうっと出ずっぱりというのはないだろうということになる。

舞台の床に散らばっている本を始まる前にちょっと見てみると、洋書ばかりでなく日本語の古い演劇の指導書が混ざっていたりした。

[作]ヘレン・ハンフ
[訳]江藤 淳
[演出・指導]堀越大史


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