prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「聖職の碑」

2019年04月15日 | 映画
「八甲田山」の大ヒットを受けて同じ新田次郎の山の遭難をモチーフにした原作を同じ森谷司郎監督、木村大作撮影で映画化した姉妹編に近い映画。

二番煎じと受け取られてあまり評判もよくなかったしあれほどヒットもしなかったので見逃していたが、意外というと悪いがちゃんとした出来。
木村大作の撮影が「八甲田山」ほど命がけではないにせよ堂々たる出来で、鶴田浩二、岩下志麻ほか北大路欣也のほかは大幅に刷新した豪華キャストもよく生かされている。

肝腎の遭難の原因がはっきりしないというか、責任者である校長が亡くなってしまったので責任の追及のしようもなく、遭難するのが尋常小学校の生徒たちという痛ましさとともに、なんとなく涙に解消されて終わってしまう。
やりにくいのは確かだけれど、こういう情緒に流れて何が原因なのかといった理性的な追及がなおざりになって、石碑を作る話でまとまってしまうというのはどんなものか。

ただ、小学校とはいっても教師と生徒との折り目正しくかつ親しい触れあいは旧制学制ならではのタッチで、今では考えにくい。

遭難描写が「八甲田山」みたいに本物の吹雪で撮っているわけではないのは迫力に欠ける一方で、人工的な風雨でコントロールしながら撮った分、雪まみれな上に十分寄れず誰が誰だかわからない「八甲田山」と違い、きちんとアップで誰が誰だかわかるようになった。

「聖職の碑」 - 映画.com


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