prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「甘き人生」

2017年07月23日 | 映画
冒頭、幼い息子を連れて路面電車で目的地もなくずうっと街、特に銅像を見て回る母親の姿からちょっとただごとではないという空気が張り詰め、セリフと説明を切り捨てた描写が緊張感を保つ。
ただプールの飛び込みをうつしているだけでそこにある物以外のことを暗示するサスペンスが生まれるといった調子。
かなり広いアパートの空間を生かした人物の動きの付け方、光と色の微妙なニュアンスなどイタリア映画らしい技術力を見せる。

監督のマルコ・ベロッキオは1939年生まれ、'65年に26歳で「ポケットの中の握り拳」で監督デビューして半世紀を過ぎている大ベテラン。
共産党員で社会性のある作品と人間の内面に焦点を当てた作品と両方を作ってきたというが、今回は後者の色合いが強い。

冒頭に「実話に基づく」と出るが、そんなに奇抜なストーリーが展開するわけではない。むしろ初めからある程度読めている話を主人公がなかなか受け入れようとしない、そうなるのも無理はないのがわかるというのが全体の構造。タイトルとは裏腹にまったく甘くない。
(☆☆☆★)

甘き人生 公式ホームページ

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7月22日(土)のつぶやき

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