prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
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「ザ・コンサルタント」

2017年02月17日 | 映画
発達障害の殺し屋、という設定で、なるほど特殊な技能を徹底して身につけるところや孤独=コミュニケーション障害など殺し屋の要素とうまく重なるところがあるのだな、と感心する。エンドタイトルを見るとそれこそコンサルタントがついているのだが、かなりデリケートなモチーフを問題にならないように処理したと思える。

原作があるのかと思ったら「ジャッジ 裁かれる判事」のビル・ドゥビュークのオリジナルシナリオ。
冒頭、人の顔を隠しておいて描かれる銃撃戦の事後描写がつかみとして良くできていて、その場面がどんな意味があったのか徐々にフラッシュバックを重ねながら明かしていくのだけれど、その回想の主が一人でなく複数にわたっていたり、巧みにシーンを重ねながら角度を変えたりして立体的に組み立てている。

「ジェーン」の監督らしいが、回想が好きなのかな。「ジェーン」の脚本(ブライアン・ダッフィールド)は映画化されていない優れた脚本に選ばれていたらしいが、映画化版からは回想が説明的で現在のシーンの流れをぶつ切れにしているようで感心しなかったのだが。

アクションシーンもよくできているけれど、見ていくうちに殺し屋の話から発達障害者の(相当に特殊だが)発達、さらには家族の話になっているのに気づき、いつの間にか身近な世界のことであるのがわかる。

ジャクソン・ポロックのペインティングが報酬代わりにやりとりされる、というのはマーク・ウォールバーグの「ハード・ラッシュ」でもあった趣向。ポロックの作品は極めて高価で一時期「ナンバー17A」が約2億ドルと世界一の価格で落札されたものね(その後もっと高いのが現れたが)。
しかしああいう無意識の偶然と論理的な必然が交錯するポロックの作品はどこに置いても(「エクス・マキナ」でもまた別の使い方をされていた)映画の世界を広げる感じがする。
(☆☆☆★★★)

ザ・コンサルタント 公式ホームページ

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