prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「弓」

2007年10月16日 | 映画
全編、海の上の船が舞台で、登場人物もほとんど老人と若い娘だけ、セリフもほとんどないという抽象的な作り。
釣り客を乗せるのと、船の腹に菩薩が描かれていて、その前で娘がブランコをこいでいるのに向って弓を射て、矢が当たった位置で運勢を決める、という妙な占いで収入を得ているらしい。
娘の排泄シーンとか水浴びするシーンとかはあっても、何食べているのかよくわからない。

爺さんが菩薩の絵柄のカレンダーに、「結婚」という文字(ハングルではなくて漢字なので読めるのが不思議な感じ)を娘の16歳の誕生日に書いて、その日が来るのを待ち望んでいる、なんてフェミニストが見たら怒るんじゃないのかと思わせる。キム・ギドクの作品っていつもそういう感じがするが。

娘が菩薩に喩えられていて、矢のセクシャルな象徴性と暴力と対応している格好。
図式的すぎるくらいだが、娘役のハン・ヨルムの撮り方がもろに作り手の欲望を感じさせてエロくていけません。

クライマックスがかなり突飛で、よく考えたと感心する一方でちょっと笑ってしまう。
(☆☆☆★★)