prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「サンキュー・スモーキング」

2006年10月27日 | 映画
劇中に写ったテレビにジョン・ウェインが出ている戦争映画をやっているので、「硫黄島の砂」ではないかと思ったらエンド・タイトルでやはりそうであることが確認できる。やはり重要な小道具として出てくるチーズバーガーの上に星条旗が立っているのも硫黄島のイメージだろう。
するとタバコ会社のボスがベトナム戦争帰り、大ボスが朝鮮戦争帰りと、揃って戦争がらみであることに気づく。言葉も軍隊調で荒っぽい。

近くイーストウッドの硫黄島二部作が公開されるので妙なタイミングだなと思う。
主人公の役職は「広報部長」と訳されていたが、vice presidentと言っていたと思う。あまり日本でいう副社長という重みがある感じではないが、裏返すとそれだけ広報が重要ということか。
硫黄島の英雄を仕立てて国債を買わせまくったのは、広報の最たるものだったわけだし。

成人と未成年の違いは、法的な位置づけとしては判断力があるなし、その裏返しの責任のあるなしによるわけだが、この映画のタバコの害や“社会正義”の描き方のひねり(それが大いに笑えるのだが)に気づかず、主人公側をヒーローとして見てしまう恐れ、というのはある。
主人公の息子がもし父親のやり方を踏襲して大きくなったら、オウムの上祐史裕みたいになるだろう。
これといった暴力や性描写がなくてもR指定になったのはそのせいか。

仕事は何のためにする、という問いが何度か繰り返されて、字幕だと「ローン」だが、more richと言っていたみたい。ちょっとニュアンスが違う。
(☆☆☆★★)


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