prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「修羅雪姫 怨み恋歌」

2006年07月10日 | 映画
1974年度作。梶芽衣子の主演作としては「女囚さそり」(72)のつながりで企画されたのだろうなあ、と思う。最近、釈由美子主演で現代化してリメークされたが、こちらは軍国主義時代の話。

刑務所で生まれ、殺し屋として育てられ、警察に追われるようになったヒロインを特高が救って恩を着せ、反体制知識人のもとに送り込んで政府をひっくり返す力のある書類を盗ませようとするが、とうぜんヒロインは反体制側に寝返って特高さらには権力者たちに反抗するようになり、最後にはそいつらをぶった斬るというハナシ。前作があるらしいが、見ていなくても別に困らない。
この知識人が伊丹十三、特高が岸田森、その手下に南原宏治・山本麟一と、早死にした故人が目立つ。

70年代の反体制気分の強い時代を反映しているところも「さそり」ばりで、ガラス越しの拷問を音を消して見せたり、やたら血が水の中を広がっていくところを強調したりと、様式的演出も踏襲している(鈴木達夫撮影のセンスの分、上まわるくらい)。権力の下っ端の片目をつぶすところもなぜか一緒。

逆手に持った短刀で長い刀を持った警官たちをぶった斬るばかりか、拳銃やショットガンまでやっつけてしまうのだから、いくら劇画原作でもムリがある。
(☆☆★★★)



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