prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「カーズ」

2006年07月27日 | 映画
ポール・ニューマンが元チャンピオンのドック・ハドソンDoc Hudson役で声の出演をしているのが一つの要。

主人公の名前がライトニング・マックイーンMcQueenなのだから、とうぜん、スピート狂であり、ニューマン同様本物のレーサーでもあったスティープ・マックイーンを思わせ、「タワーリング・インフェルノ」以来、「傷だらけの栄光」以来三度目の共演(?)とも見える。
Doc Hudsonという名前はまた、ニューマンとは同い年(1925年生まれ)のロック・ハドソンRock Hudson(Roc Hudsonと表記されたこともある)も思わせる。
マックイーンが迷い込んだアメリカの田舎町のそばの、高速道路を通っていたら見逃していただろうモニュメント・バレーは、アメリカとアメリカ映画の原風景。
最近のCG技術はもちろんすごいのだけれど、古いもの、自分の身についたものを大事にする感覚で作られている。

勝つこと、金儲けすること一辺倒への批判がテーマになっているわけだけれど、それは一方でピクサーが興行的にも作品的にも勝って来ているから言えること。皮肉でなしに。

ボディの写りこみや、レースで地面から砂埃や小石が巻き上げられるところまで、おそろしく丹念に作りこんでいる。
レース場の観客(?)の大俯瞰のヴォリュームのすごさ。

マックイーンはレーシングカーだからヘッドライトがついていない、つまり一人では道を照らし出せないというのが自然に寓意になっている。ライトを眼にするのではなく、フロントガラスに眼を作って動かしたキャラクター・デザインが表情豊か。

麦刈り機に襲われる場面は、なにやら「ブラック・エース」調。
(☆☆☆★★)



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