prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「青の炎」

2003年04月12日 | 映画
蜷川幸雄の映画前2作はさっぱりだったので、あまり期待しないで見に行ったが段違いの出来。
横移動で人物を追うと手前や奥に別の人物がさりげなく入ってくる、など映画的な芝居の組み方。アイドルをきちっと役者として使う腕(舞台でもけっこうやっている)。
松浦亜弥など、テレビで見るイメージとまったく違うので驚いた。ラストカットの長い無言のアップなどなかなか出せるものではない。

海辺の道や切り通しなど、鎌倉のローカルカラーの出し方。中村梅雀の善人面で凄みをある刑事役。アル中おやじが山本寛斎なのにもびっくり。車道を走る自転車をわざわざ反対車線の上の方にカメラを突き出して移動して追うカットなど、アングルが凝っているだけでなく、実は後の伏線になっている。

駅で主人公たちが半ば抱き合っているところにぞろぞろ電車から降りてくる客が通りかかるところがあるが、全員ほとんど無視している。数からして多分隠し撮りだろうけど、無関心なものですね。

抗酒剤を酒に混ぜて昏倒させるというのは、ひっかかった。酒をまったく呑めない人が無理に酒を呑んだのと同じ状態になるのだから、眠くなるより先に頭痛や動悸、吐き気などが先に来るのではないか。ラストの刑事の恩情(?)も、警察はこういう隙は見せないだろと思わせる。
(☆☆☆★★)


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