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プロコフィエフの手づくり本

2009-11-19 | プロコ日記裏話
「プロコフィエフの孫からメールが届いたんだけど、
転送するから見てちょうだい!」とロシア人のS先生。
なんでも、『ジェレヴャンナヤ・クニーガ(木の本)』なるものの
情報が送られてきて、リンク先を次々クリックしていくと
本のさわりが見られるんだそうな。
「それをUSBに保存できないかしら」
出たっ!それは要するに保存してこい、という命令ですね。
「USBはほとんど使ってません」と遠回しに拒絶すると
「あら!遅れてるわね~」(ムムッ!)
「大丈夫、あなたならできるはずよ」
そりゃできますけど、人の画像をむやみに保存していいのか!?
「まあとにかく見ておいてちょうだい」

…というわけで転送されたメールを見てみると、
プロコフィエフ財団のホームページにリンクされていて
そのなかに確かに『木の本』が紹介されていた。
『木の本』とはプロコフィエフが革命前の1916年に想起し、
特注でつくった木製の表紙つきのサイン帳。
ここに出会った著名人に片っ端からサインならびに
「太陽について」の一言コメントを寄せてもらい、
計48人分を集めて完成したのが『木の本』だという。
この人、思いついたらとことんやらずにはすまないらしく、
木や紙質やらサイズにもこだわり、職人の手を煩わせて
世界にただ一冊のサインブックをつくりあげたらしい。
その実物はモスクワの国立中央文学芸術文書館に収められており、
このたびロシアの出版社からその複製本が刊行されたのだという。

本のさわりを見てみれば、サイン帳なので当然、全ページ手書き!
人によってペンも筆致も筆圧も異なるし、
なかには太陽のイラストを描いてる人もいる。
これぞアナログの醍醐味である。
いいな~、手づくり本!
プロコフィエフは小説家としての顔だけだなく、
エディター、プランナーとしての顔ももっていたということか。

それはさておき…。
S先生が保存したがってる「本のさわり」はパラパラ動画になっていて、
画像としては取り出せないようになっていた。
そりゃそうだ。そんなに簡単に画像をとられちゃたまらない。
仮に画像を入手できたとしても、木の装丁の立体感や紙の手触り感は
複製であっても「本」という実体を手に入れない限り、
感じることはできないのだ。ウラ~、アナログ!
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