時として時代は、生まれや身分や学歴などを超えて世の中に影響を及ぼす人を生みます。
神田昌典さんもその一人。
外務省に入省したものの人生の行く先に悩んで転職、いつしか外務省のお偉方を相手にして講演会をするような立場になりました。
現在の神田氏は、経営コンサルタントという肩書きながらビジネス書や小説などの執筆の他、講演、ミュージカルやテレビ番組の企画など、実に様々な創作活動を行っています。
そんな神田氏の最新の著書が、「2022ー これから10年、活躍出来る人の条件」(PHP新書)。
今回のテーマは、『2012年の今を生きる私たち日本人が、これからの10年をどう生きるべきか』ということですが、本の帯では「日本人(あなた)の未来は明るい」と言います。
しかも、「本書は日本人のための本である。悪いが英語、中国語、韓国語には翻訳させない。なぜなら世界中の人々が日本人に嫉妬してしまうからである」とまで断言しています。
その内容とは?
※ ※ ※ ※
著者はまず「これからの10年を」というからにはどのような日本社会の変化が予想されるか、ということを語ります。
たどり着いたのは、「70年周期説」。このあたりは賛否や好き嫌いがあるかも知れませんが、日本は70年というサイクルの歴史を四世代にわたる世代が受け継いで継承・発展させているというのです。
そのサイクルを著者は、「志・能・公・商」と呼んでいて、それぞれ、「志=指導者が志を立てる段階」、「能=実務者が志を形にして広げて行く段階」、「公=経営管理やブランド管理などの管理が大事になる段階」、「商=ビジネスが最高潮に発揮される段階」という大まかな区分をしています。
これらは大体20年弱で回ってくるサイクル論で、そういう観点で見ると今の日本は「商」が示すバブルの時代を終えて、次なる「志」の時代に向かう端境期にあるのだと。
それゆえ今やらないと行けないことは、「今後も引き継ぐ価値観と、捨て去るべき古い価値観について対話をすることだ」と筆者は主張します。
江戸時代の若者に「夢は?」と訊いた時にあったであろう「一万石の大名になること」という価値観は、明治時代になって見事に打ち砕かれました。
戦時中にあった「末は陸軍大臣や海軍大臣になる」という少年の夢は戦後は価値観が変わってしまったでしょう。
おなじようなことがそろそろ起こるとすればどのような価値観の変化が訪れるのでしょうか。
筆者はこのサイクルが一巡する時は、「圧倒的な欠落感を感じるときであって、おそらく、人間の心や可能性について全く知らなかったと言うことに気づくのではないか」と記しています。
経済偏重や、効率性の重視など、豊かな生活という光の陰でこの日本の現代社会に目に余る陰の部分がありますが、これらを感じ取って解決に向かう新しい時代の到来を予言しています。
※ ※ ※ ※
これを眉唾と思うかどうかはさておき、経済面で見ると、これからはやはりアジアの時代ということを著者は感じています。
そのときのくくり方に「儒教文化」を持ち出す当たりはちょっと無理があるかな、と思いますが、そこでの結論は、「これからの時代を生きる人たちは、日本を飛び出してアジアをベースに生きよ」、「そのためには武器として英語と中国語を話せるようにして、日本的精神を伝えるように努力しよう」ということになります。
さらに日本社会で言えば、「会社という形態はなくなるのではないか」ということ。
それは会社による企業活動で社会貢献をしながら人材を育成し、社員が労働者として収入を得るというサイクルを維持するには、事業の寿命が余りにも短くて、人材は育たず、企業の寿命も短くならざるを得ないだろうという、予想なのです。
社会貢献を自分のやりがいと結びつけて、個人の力をもっと発揮するためにはNPOや社団法人、財団法人のような身軽な組織で誕生と終焉を頻繁にして維持する方が合理的なのだと言うのです。
もちろんその変化は一瞬で起こるものではないにせよ、組織を守るためにエネルギーを費やす事への反省が生まれ、組織を内部から変革するよりも、外部に新しい組織を立ち上げて外からの力で変化を誘発させ、さらにそうしたことが産業になって行くだろう、と筆者は考えています。
※ ※ ※ ※
企業を始めとする大組織の一員として加わっていることが、自分を殺し、組織を維持するためだけにあることへの無駄をどのようにして省くかが、社会問題になる時は来るかも知れません。
あらゆる組織でコンプライアンスを守るという生産性のない活動のために多額の費用と人員を消費しています。
こうした制度の積み上げがどこかで破綻するかも知れないとは思いますが、ここまで大胆に言い切ることは私にはできません。やはり著者の直感力でしょうか。
そしてそうした組織の変革を前にして、一人ひとりが自分らしく社会に貢献するためには、「インフォメーションからエクスフォメーション」への発想と行動の変容を求めます。
インフォメーションとは、いろいろな情報をただ自分に取り込む(=in)ことに注力した言い方で、これからは取り入れた情報を外へ向かって発信(=ex)する生き方が求められるのだと。
既にそうした活動の萌芽はネットの世界では実現されていて、多くの優れた業績をもたらしたリーダー達が後輩を育てるためにネットで無料の情報提供を幾つも行っているのです。
今の時代を今の年齢で生きていることを恨むのではなく、その後に訪れる時代を予想し、その時の年齢なりの自分の役回りをどう自覚し実践するかに、日本の命運がかかっているとも言えるのです。
※ ※ ※ ※
著者は、この本を執筆する前に実は体に癌が見つかったそう。
自分の命を改めて見つめながら、身辺整理をしつつあらゆる快癒のための努力を続けたそうですが、その後の精密検査では癌が消えていたのだとか。
なにやら運命的なものを感じながら、この本を書き上げたそう。
どのように感じるかはそれぞれですが、日本のこれからを著者なりに考えた行動のための指針です。
私は読んでみて、自分の生き方にも照らしながら元気が出ました。
皆さんの感想も伺いたいところです。
神田昌典さんもその一人。
外務省に入省したものの人生の行く先に悩んで転職、いつしか外務省のお偉方を相手にして講演会をするような立場になりました。
現在の神田氏は、経営コンサルタントという肩書きながらビジネス書や小説などの執筆の他、講演、ミュージカルやテレビ番組の企画など、実に様々な創作活動を行っています。
そんな神田氏の最新の著書が、「2022ー これから10年、活躍出来る人の条件」(PHP新書)。
今回のテーマは、『2012年の今を生きる私たち日本人が、これからの10年をどう生きるべきか』ということですが、本の帯では「日本人(あなた)の未来は明るい」と言います。
しかも、「本書は日本人のための本である。悪いが英語、中国語、韓国語には翻訳させない。なぜなら世界中の人々が日本人に嫉妬してしまうからである」とまで断言しています。
その内容とは?
※ ※ ※ ※
著者はまず「これからの10年を」というからにはどのような日本社会の変化が予想されるか、ということを語ります。
たどり着いたのは、「70年周期説」。このあたりは賛否や好き嫌いがあるかも知れませんが、日本は70年というサイクルの歴史を四世代にわたる世代が受け継いで継承・発展させているというのです。
そのサイクルを著者は、「志・能・公・商」と呼んでいて、それぞれ、「志=指導者が志を立てる段階」、「能=実務者が志を形にして広げて行く段階」、「公=経営管理やブランド管理などの管理が大事になる段階」、「商=ビジネスが最高潮に発揮される段階」という大まかな区分をしています。
これらは大体20年弱で回ってくるサイクル論で、そういう観点で見ると今の日本は「商」が示すバブルの時代を終えて、次なる「志」の時代に向かう端境期にあるのだと。
それゆえ今やらないと行けないことは、「今後も引き継ぐ価値観と、捨て去るべき古い価値観について対話をすることだ」と筆者は主張します。
江戸時代の若者に「夢は?」と訊いた時にあったであろう「一万石の大名になること」という価値観は、明治時代になって見事に打ち砕かれました。
戦時中にあった「末は陸軍大臣や海軍大臣になる」という少年の夢は戦後は価値観が変わってしまったでしょう。
おなじようなことがそろそろ起こるとすればどのような価値観の変化が訪れるのでしょうか。
筆者はこのサイクルが一巡する時は、「圧倒的な欠落感を感じるときであって、おそらく、人間の心や可能性について全く知らなかったと言うことに気づくのではないか」と記しています。
経済偏重や、効率性の重視など、豊かな生活という光の陰でこの日本の現代社会に目に余る陰の部分がありますが、これらを感じ取って解決に向かう新しい時代の到来を予言しています。
※ ※ ※ ※
これを眉唾と思うかどうかはさておき、経済面で見ると、これからはやはりアジアの時代ということを著者は感じています。
そのときのくくり方に「儒教文化」を持ち出す当たりはちょっと無理があるかな、と思いますが、そこでの結論は、「これからの時代を生きる人たちは、日本を飛び出してアジアをベースに生きよ」、「そのためには武器として英語と中国語を話せるようにして、日本的精神を伝えるように努力しよう」ということになります。
さらに日本社会で言えば、「会社という形態はなくなるのではないか」ということ。
それは会社による企業活動で社会貢献をしながら人材を育成し、社員が労働者として収入を得るというサイクルを維持するには、事業の寿命が余りにも短くて、人材は育たず、企業の寿命も短くならざるを得ないだろうという、予想なのです。
社会貢献を自分のやりがいと結びつけて、個人の力をもっと発揮するためにはNPOや社団法人、財団法人のような身軽な組織で誕生と終焉を頻繁にして維持する方が合理的なのだと言うのです。
もちろんその変化は一瞬で起こるものではないにせよ、組織を守るためにエネルギーを費やす事への反省が生まれ、組織を内部から変革するよりも、外部に新しい組織を立ち上げて外からの力で変化を誘発させ、さらにそうしたことが産業になって行くだろう、と筆者は考えています。
※ ※ ※ ※
企業を始めとする大組織の一員として加わっていることが、自分を殺し、組織を維持するためだけにあることへの無駄をどのようにして省くかが、社会問題になる時は来るかも知れません。
あらゆる組織でコンプライアンスを守るという生産性のない活動のために多額の費用と人員を消費しています。
こうした制度の積み上げがどこかで破綻するかも知れないとは思いますが、ここまで大胆に言い切ることは私にはできません。やはり著者の直感力でしょうか。
そしてそうした組織の変革を前にして、一人ひとりが自分らしく社会に貢献するためには、「インフォメーションからエクスフォメーション」への発想と行動の変容を求めます。
インフォメーションとは、いろいろな情報をただ自分に取り込む(=in)ことに注力した言い方で、これからは取り入れた情報を外へ向かって発信(=ex)する生き方が求められるのだと。
既にそうした活動の萌芽はネットの世界では実現されていて、多くの優れた業績をもたらしたリーダー達が後輩を育てるためにネットで無料の情報提供を幾つも行っているのです。
今の時代を今の年齢で生きていることを恨むのではなく、その後に訪れる時代を予想し、その時の年齢なりの自分の役回りをどう自覚し実践するかに、日本の命運がかかっているとも言えるのです。
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著者は、この本を執筆する前に実は体に癌が見つかったそう。
自分の命を改めて見つめながら、身辺整理をしつつあらゆる快癒のための努力を続けたそうですが、その後の精密検査では癌が消えていたのだとか。
なにやら運命的なものを感じながら、この本を書き上げたそう。
どのように感じるかはそれぞれですが、日本のこれからを著者なりに考えた行動のための指針です。
私は読んでみて、自分の生き方にも照らしながら元気が出ました。
皆さんの感想も伺いたいところです。
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