事務所で、舗装業者の社長さんたちと話をしていると一人が「いやあ、ついこの間、若い社員一人が『辞めたい』と言ってきてね、ちょっとショック」と言い出しました。
「うわ、何歳くらいの方ですか」
「27、8歳かなあ。入社してから4年目なんだよね。3年頑張ったから、もう大丈夫かな、と思っていたところだったので、余計にショック」
「辞めたいという理由は何なんですか」
「うーん、『この仕事が自分に合わない』って言うんだよ」
「辞めてどうするんですか」
「それが『先輩に誘われて、IT系の会社に来ないか、という話がまとまったので辞めるお話に来ました』って言うんだ」
すると別な社長さんが、「うちも、午前中に昇格の辞令を出して、『これからもがんばれよ』と言ったその日の夕方に『辞めたい』と言ってきた社員がいましたよ。どうしてそんなことになるのかなあ、と思ったものです」と言います。
「最近の若い人たちは、やっぱり人とコミュニケーションを取るのが苦手という人が多いように思うんですよ。仕事ってほとんどがコミュニケーションですよね、それもフェイストゥフェイスのコミュニケーション。作業をしてくれる労務者さんたちや、発注者の監督さん、ときには現場近くの住民。そういう人たちと顔を合わせて、コミュニケーションを取りながら、目的を果たすのが仕事。
でもその人と顔を合わせるコミュニケーションが苦手だと、現場で物を作っていく仕事は難しいと思いますよ」
「スマホやメールなどのデジタルコミュニケーションはできるんですけどね」
「最初から人とのコミュニケーションが得意だ、なんて人は少ないし、それを学んで身に着けるのも修行なんだけどなあ。ちょっと難しい課題を与えたら、『パワハラだ』と思われてしまうようではそういう教育も難しくなるね」
コミュニケーションが大事、ということに焦点を絞った教育課程や意識した練習をすることが必要な時代かもしれません。
かつては学校や祭りなどの社会の中で自然に身についていたことのように思います。
しかし、それらが期待できない中では、家庭教育、学校教育、社会教育を通じてコミュニケーションをもっと意識した方が良い。
時代や若者像が変わっているのなら、それに対応した作戦が必要ではないか、と思ったのでした。