月尾嘉男さんを中心にしていろいろな人たちが集まる勉強会の「湿原塾」。
今日は釧路空港の常務取締役で、もともとANAでCAへのおもてなし研修を担当していた近藤祥子さんを迎えてのミニ講演会。
近藤さんからは「おもてなしの心を考える」というお題でお話をいただいた。
長年キャビンアテンダントを指導してきた近藤さんだが、ホスピタリティとサービスとはちょっと違うという。
サービスには気持はなくてもよいが、ホスピタリティは喜んでほしいという気持ちがなくてはならないし、サービスにはマニュアルがあるがホスピタリティにはマニュアルはない。
もてなす自分自身のなかに相手に喜んでほしいという純粋な気持ちがない限り、おもてなしの心は理解されず、それにはマニュアルがなくて自分自身が気づかないといけないのだ、と。
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ある有名なお菓子屋さんでは、お客さんの相手をするフロントにはもっともおもてなしが上手なスタッフ二名を充てるのだとか。
そして、そのほかにもう二名を配置してお客さんに対応するスタッフの様子を見せるのだそう。
最も上手と言われる人が客あしらいをする姿を見て、自分に足りないものに気づいたり、最も上手なスタッフでさえ足りないものに気づくような場を用意しているというのは、社員という人づくりをしないことには企業はやっていけないというトップの強い気持ちが伺えます。
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近藤さんは、誰もが注意すべきおもてなしのスキルを7つ挙げました。
その七つとは、①笑顔、②挨拶、③アイコンタクト、④身だしなみ、⑤言葉、⑥話し方、⑦ボディランゲージ、のこと。
しかもこれらのことができているかどうかを判断するのは自分ではなくて相手だということ。
知っていること(保持能力)と発揮できていること(発揮能力)とは別のもの。
品質を維持してゆくためには、『常に』『全員が』能力を発揮できなくてはいけない。
組織の世間からの評価は、『もっともできていない人で決まる』のです。
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近藤さんは、ある自治体へでかけたときに庁舎の入り口で迷っていたところ、書類を抱えた若い男性職員が近づいてきて笑顔で、「何か御用ですか。お手伝いできることはありますか」としっかりと目を見ながら声をかけてくれたことがとても印象的だったと言います。
「彼だけなのかどうかわかりませんが、その方のその態度が自治体の印象を決めてしまいました。あとで首長さんにそのことをお話したら、『そういうふうに来客に接してほしいと常々言っていましたので、そう評価していただいてとても嬉しいです』とおっしゃっていました」
釧路も負けてはいられません。
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近藤さんによると、あれだけにこやかに仕事をこなす飛行機のキャビンアテンダントですら、最も多いクレームは「愛想がない」ということなんだそう。
笑顔を保つことはとても難しいことなのですね。
怖いのは、「笑顔はできていても、素になった時とのギャップがすごい」と言われるということだそう。
人は知らないうちにしっかりと見られているのですね。
さてホスピタリティの時代をどう生きてゆきましょうか。