駒子の備忘録

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志村貴子『青い花』(太田出版fCOMICS)全8巻

2014年08月09日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名さ行
 万城目ふみはしっかり者の幼なじみ・奥平あきらについつい頼ってしまう泣き虫文学少女。あーちゃんはふみの親友で相談役で初恋の相手でもあるのだが…湘南にあるふたつの女子高を舞台にしたガール・ミーツ・ガールストーリー。

 途中、画材が変わったのかペンタッチが変化したりして迷走を心配していたのですが…特に最終8巻はけっこう急展開だったかなあ。
 トータルとして、やはり思春期の女子の心の揺れをモチーフにしているようで、まあBLでも言えることだけれど女子高とはいえみんながみんなビアンってヘンだろ!とつっこみつつ、でもこんなふうに心が揺れちゃうことってのはあるよね…みたいな感じで楽しく読みました。
 でもだから私は京子が康ちゃんと挙式して終わるラストでよかったなーと思いました。別に男女の婚姻を支持するとかそういうことではなくて、彼女が不倫した父を嫌い精神的に病んでしまった母を嫌い幼なじみで許婚の男をある意味で利用しつつ、先輩の女性に恋をしてフラれて泣いてふっきった過程が納得できるから、彼女が幸せになることを喜べたからです。
 でもメインの筋はふみとあーちやんだよね。だとしたら踏み込み不足だったのではなかろうか…デリケートな問題ですけれどね、でもそこをこそ読みたかったんじゃん。
 かつて従姉に誘われてセックスを知ったのと、引っ込み思案でちょっと男性恐怖症気味のところがあるせいで、同性ばかりを好きになる女子と、その幼なじみで良き親友で、男子にもまあまあモテるんだけどおつきあいとかはまだちょっといいやとしか思えない、まっすぐでやや子供っぽいところのある女子との「おつきあい」。
 同性同士だからこそ境界があいまいなような、でもだからこそやはり心身ともについていかないとしんどいような、その関係の推移をもっと微に入り細に渡り描いてほしかったなあ。
 だから作品としては消化不良感を私は感じました。作者はこれをこう描きたかったのだろうし、私が勝手に読みたいものが描かれなかった!と落胆しただけなんだとは思うのですが。
 ああ、私の理想のユリは…(笑)
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