駒子の備忘録

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続々・宝塚歌劇版『ベルサイユのばら』完全版を考える

2010年03月01日 | 日記
第二幕
●スウェーデン、ストックホルム
 フランスの情勢が不穏なのに心を痛めるフェルゼン
  ♪振り向けば心の荒野に 優しく微笑む愛の面影(「愛の面影」)

 幕開けということでこんなシーンから始めるのもいいかも、と思っただけなんですが。銀橋を歌って渡るだけでもいいのですが、何かフェルゼンのかっこよさをアピールするようなエピソードを入れられればベストなのでしょう。
 原作にはないスウェーデンでの婚約者が出てくるバージョンがありますが、彼女や弟のファビアン、父伯爵などをからめて何かできるといいんでしょうね。

●衛兵隊錬兵場
 オスカルは国状を考えて近衛隊から衛兵隊に異動し、アランたちを指導している。
 ブイエ将軍が無理な命令を下し、騒ぎになりかける。
 ジャルジェ将軍がことを収め、オスカルにジェローデルとの結婚を勧める。
  アンドレ「オスカルを他の男に渡すくらいなら、
  このアンドレがオスカルをもらう! たとえオスカルを殺してでも」
  ♪忘れえぬ人と恋慕う 白い面影美しく(「白ばらのひと」)

 ここでブイエ将軍は何故オスカルを後で部屋によこせと言うのでしょう? 説教するためだとは思うのですが、無駄なセリフなのでは…部屋で何かするつもりなのかと妙な邪推をしてしまうのでカットしたい。
 それと、アンドレにはジャルジェ将軍を「ご主人様」ではなく「だんなさま」と呼んでもらいたい。
 あと、ジェローデルがオスカルを呼び捨てにするのも気に入らないです。今なお「隊長」と呼んでいるところがいいのだと思うのですが…

●ジャルジェ家・オスカルの私室
  ジャルジェ夫人、オルタンス、マロン・グラッセ
    オスカルの弾くヴァイオリンに聴き惚れる。
   「女として育っていたならば、私も姉上たちと同じように十五歳になるやならずで嫁がされ…」~「我が子の幸せを願う親の心を愚かだと思いますか」

 アンドレが毒入りのワインをオスカルに飲ませようとし、思いとどまる。
   「…それでどうしようというのだ」

 このくだりでジャルジェ夫人はただ思い出話をするだけのことが多いのですが、原作のこのセリフをぜひ言ってもらいたいのです。オスカルのこのセリフもここに収めても支障ないのではないでしょうか。

●ベルサイユ宮の国王の私室
 くつろぐルイとアントワネット
  「私とあなたがこうしてくつろぐのは、なんだか初めてのことのような気がする」
 オスカルがパリ出動の暇乞いに来る。
 プロヴァンスが、王太子は私生児であるとする
 オルレアンの策謀を告げ、アントワネットは軍隊に攻撃命令を下す。

 このくだりでアントワネットが民衆の蜂起や王家の没落に対しずいぶんと理解を示しているバージョンがありますが(「あなたはフランスのことを考えて行動してくださいね。そのための犠牲ならばわたくしはどんなことでも喜んで受けますから」)、原作どおり、この点についてはアントワネットとオスカルの意見が合わないことにした方がいいと思ういます。その上で揺るぎない友情があり、かつ、道は分かれていく、というところが眼目なのですから。
 あと、アントワネットがオスカルに「おまえだけは私のところへ帰ってきておくれ」と言うバージョンは言葉づかいが変です。アントワネットの手の甲にオスカルがキスする仕草はぜひ!

●ベルサイユ宮の廊下
  オスカル、ジェローデル
  「私はあなたが痛々しい~わかりました、身を引きましょう。ただひとつの愛の証です」
  ♪私の求める愛は何処 私の求める愛は何(「愛の巡礼」)

  プロヴァンス、オルレアン
  ♪押し寄せる急流は誰も止められはしない(「押し寄せる急流」)

●ジャルジェ家・オスカルの私室
  オスカル、アンドレ
  「私の存在など、巨大な歴史の歯車の前には無にも等しい」~「千の誓いが欲しいか」~「今宵一夜、アンドレ・グランディエの妻に…」
  ♪愛 それは甘く 愛 それは強く(「愛あればこそ」)

 翌朝、ジャルジェ夫妻、オルタンス、ル・ルー、マロン・グラッセが出発を見送る。

 「アンドレ、私を抱け」「あなたの妻に」「あなたの妻と呼ばれたいのです」などすべてカット。
 このシーンだけは頼むから原作にないセリフは使ってほしくないです。
 逆に、あまり使われたことがないらしい「おれのものになってくれるのか」というセリフは加えてもいいと思うのですが。
 それと故・長谷川一夫大先生がなんとおっしゃったかは存じませんが、立て膝に膝枕はともかく、その後の倒れこみ方はあまりに不自然で美しく見えないと私は思います。昭和雪組版の汀オスカル・麻実アンドレのときのような、手の添え方の自然なキスシーンがいいなあ。

●パリ市街~バスティーユ
  オスカル、アンドレ、アラン、ベルナール、ロザリー、ブイエ、ダグー大佐、ジェローデル
 軍隊が民衆に発砲する。オスカルは伯爵号を捨て、民衆側につく。
    「我らは祖国の名もなき英雄として、民衆と共に戦おう!~さらば、もろもろの古きくびきよ」

 アンドレの落命
    「見えていないのか!? 何故ついてきた!~シトワイヤン、行こう!!」

 バスティーユが陥落する。「白旗が!」「フランス…万歳…!」

 どうして宝塚版ではダグー大佐が民衆側につくことに変更されているのでしょう。彼がブイエ将軍とはまたちがった意味で貴族の側に残る点に意味があるのになあ。
 オスカルの「この戦闘が終わったら結婚式だ」というセリフがないバージョンがありますが、ぜひ欲しいです。
 アンドレの絶命シーンは「白バラの人」を口ずさみながら、がいい。「命だけは大切に」というセリフは余計。

●スウェーデン、ストックホルム~オーストリア、ウイーン
  フェルゼン、ソフィア、ファビアン
  妹弟の制止をふりきって再びフランスに向かうフェルゼン
  ♪駆けろ 駆けろ 大空を行く ペガサスの如く駆けて行け(「駆けろペガサスの如く」)

  ヨーゼフ2世
  「妹を助けたくば自分自身でやることだ。自分で蒔いた種だ、自分で始末するがいい!」

●王室のパリ移送
  ルイ、アントワネット、王太子、王女、エリザベス内親王
  「私たちはお父様とご一緒に、この人たちとパリへ行きましょう」

 「フランスのためならば務めとしてどんな犠牲でも引き受ける」という前出のアントワネットのセリフが、このくだりでルイのセリフに書き換えられているバージョンもあります。そのまま革命委員会からの呼び出しにつなげるようなら、ルイの方がアントワネットより正確に現状を認識していたことにした方がいいと思います。

●パリ
  ジャンヌ ♪思い出してごらん 苦しかった日々を
 市民たちが亡命しようとする貴族を捕まえて血祭りにあげ、王妃の死刑を求める。

●コンシェルジュリー牢獄
  ベルナール、ロザリー、メルシー伯爵
  「王妃様にはこのままフランスの女王としてまっとうしていただきたいのです」
 フェルゼンが牢獄のアントワネットを訪ねてくる。
 フェルゼンは逃亡を提案するが、アントワネットは退ける。
   「あなたが今でもわたくしのことを愛してくださっているのなら、どうか私をフランスの王妃として立派に死なせてください」
  断頭台に向かうアントワネット「さようならベルサイユ、さようならパリ、さようならフランス!」
  フェルゼン「王妃様!!」
  ♪どうしてどうして 忘れることができよう(「愛の面影)

 非難轟々のステファン人形ですが、実は私は意外と嫌いではないんです。
「このお人形がわたくしで、わたくしがお人形だったのです」
 というセリフはなかなかに真実をついていて、泣かせます。イントロで少女時代のアントワネットがシェーンブルン宮を出るシーンが入れられるようなら、ぜひ入れたいエピソードではあります。ただ嫁入り馬車のシーンはどうかな…

●フィナーレ
  ボレロ
   女姿のオスカルとアンドレが踊る
  薔薇のタンゴ
   フェルゼンが男役連を従えて踊る
  デュエットダンス
   フェルゼンとアントワネットが踊る
  ロケット
   ♪シャンシャン鈴の音軽やかに ガラスの馬車は雲を行く
  パレード
   エトワール ♪青きドナウの岸辺に 生まれた一粒の種

 シャンシャンは紅白の薔薇の花束が好みです。キャンドルが付いているバージョンもありますが、あれって変じゃないでしょうか?
 基本的にはフィナーレはこれくらいで、時間目一杯お芝居をやってほしいのですが…これでもだいぶオーバーしているだろうな…

(おしまい)
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